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カテゴリ:メロディーのエントリー一覧

  • 49.久留島武彦、それから

    この春から、ぼくの水曜日は大阪天満宮から、箕面へという行動パターンになった。「繁昌亭落語家入門講座」を午前中に終えると、そのまま大阪青山大学へと向かう。人には、自分の知識をひけらかしたいという癖がある。ぼくは、その傾向が他人よりも特に強いようだ。それゆえ大学や高校、専門学校という場が、ぼくには、非常に有り難い。何より知識のアウトプットは、自身にとって刷り込み作業みたいなもので、これほど有意義なこと...

  • 47.密息2~日本のアンデルセン~

    今回は、前項「46.密息」と内容がかぶりますが、熊本県の人材派遣会社「リフティングブレーン」社様の発行する「リフブレ通信」に寄稿するために加筆・編集したものです。  「平常、二時間でも三時間でも喋り続けて平気な男が、  演壇に立つと頭の先からまるで絞り出すような声を出す。  普段、落ち着いて話される方が、  人前では何故に馬鹿に甲高くなってキーキー声を出すのか。  それは自己の呼吸を調節する練習をし...

  • 46.密息

    ぼくの口はとんがっている。身体はぐんと前のめり。肩に力が入っている。ぼくは今だって緊張しぃだが、昔はもっとガチガチだった。過去に遡れば遡るほど、その傾向は見て取れる。高座写真は色んなことを教えてくれる。ぼくは、昔よりも今の方が、ずっと若く見えると他人によく言われる。それはストレス等々、精神的な問題もあるだろうが、おそらく身体や息の使い方が一番大きい。ぼくが狂言の稽古を始めたのは、発声におけるコンプ...

  • 39.大根役者の蘇生法

    狂言の台詞回しには、俗に二字上がりと呼ばれる特徴がある。前項に紹介した「叩き」は、俳優養成学校の授業でも用いている。でも、最初は学生たちも、なかなかこの咄のリズムには乗れず難渋する。そんな時、この狂言台詞を間に放り込みながら並行して稽古を進める。これは経験上、効果抜群である。例えば、「これはこのあたりにすまいいたすものでござる」という台詞であれば,赤い文字のところで台詞に強弱をつけながら発声するの...

  • 38.話し言葉の句読点

    ここにござりました大阪のうまの合いました二人の男●ボチボチ時候も良うなったさかいにお伊勢参りでもしよやないかと、でも付きの伊勢参り●同道はうまの合うたる二人連れ、イヒヒンヒンと勇む旅立ち●仕度を整えますと友達に見送られ農人町の家を後に安堂寺橋を越えまして道を東へ東へ●大坂離れて早玉造●ここには桝屋芳兵衛、鶴屋秀次郎という二軒の茶店がござります●ここでちょっと酸い酒の一杯も飲みまして見送りの友達と別れます...

  • 32.グーチョキパー

    今から30年前、ちょうど二十歳の頃だった。大阪道頓堀・角座という劇場ではレツゴー三匹の師匠方が漫才を演じていた。腹がよじれるとはまさにこの事を言うのだろう。その怒濤の笑いが冷めやらぬうちに登場したのが、後に私の師匠となる故二代目桂春蝶であった。身長170センチに体重41キロという虚弱体質が現れると会場の雰囲気は一変した。ぼやくようなその自嘲気味の語り口に先ほどまでの空気は静まり、それが爆笑に至るまでさほ...

  • 28.ティッシュ配り

    街頭の広告入りポケットティッシュ配り。自然に思わず受け取らせてしまう者とそうでない者の差は歴然としている。相手のどの位置にティッシュを持っていくか、どんな体勢や距離感で相手と向き合うか。そして何よりもタイミング。瞬時に相手の呼吸に合わせるティッシュ配りは美しい。この術は、剣道の「間合い」にも似ている。通行の邪魔にならぬようクルクル回りながら、まるでダンスのようなティッシュ配りにしばしぼくは魅入られ...

  • 27.知文術

    前にもどこかに書いたと思うが、現在、私はウェブの編集学校で学んでいる。その編集稽古のひとつに「知文術」というものがある。校長の文体編集術を真似て、その本を読んだことのない人のために必要な知識や情報を提供するというものだが、これがなかなかに苦労した。760~800字にまとめるというルールのもと、全国の学衆仲間がこれに挑んだ。ちなみに、校長は以下のようなホームページを公開されている。「知文術」の見本です。是...

  • 26.落語の早朝稽古

    今、落語の早朝稽古の開催を考えている。サラリーマンやOLたちが出勤前に落語を演じてみるという企画だ。今、巷ではいろんなカルチュアーの朝レッスンが流行っているというが、落語ではまだどこもやっていなさそうだ。確かに朝の9時半から11時30分というのはある。繁昌亭の講座がそうだ。実は、私もその講師陣の一人として名を連ねさせてもらっている。私自身、朝一番ならいったいどういう層の方が参加されるのか面白そうだ...

  • 23.態は口ほどにモノを言い

     最近、とみに他人の姿勢が気になって仕方がない。電車で見かけるお嬢さん方の大半はその姿勢で損をしてらっしゃる。お能の面がその微妙な角度で表情を変えるように、姿勢ひとつで表情もその印象もガラリと変わってしまうものだ。私は俳優学校の教壇に立ち、そこでも落語を教えている。当然、授業は正坐ということになるが、最初から綺麗に坐れる学生はほぼ皆無に近い。まるでお婆さんが日向ぼっこをしているかのように背中を丸め...

  • 19.四股踏みレッスン

    元最年長力士の一ノ矢氏と能楽師で身体技法の研究でも有名な安田登氏。そんな二人によるこんな対談を見つけた。「能楽師の場合は、お相撲のようにきつくないので、逆に若い頃はダメだったのが65くらいを過ぎると急にすごくうまくなる人がいます。となると、その人は5歳くらいから始めたとして、60年間へたくそだって言われつづけて、65になって急にうまくなったってことなんですよね。」「若い頃は表面的な筋肉を使ってしま...

  • 6.一喋って十伝える

    とある師匠はご贔屓筋にも大層恵まれていて、独演会でもしようということになれば五百ぐらいの席はいとも簡単に埋めてしまう。キャリアがあるからそれぐらいの動員力は当然だと言ってしまえばそれまでだが、他の師匠方と比べてもその集客力は断トツである。]そんな師匠がふとこんなことを洩らした。「わしはな、相手が喋りたい人なのかそうでないのか瞬時に見分けることができるんや」。落語家を連れて歩こうかというお客さんには...

  • 4.笑わさん稽古

    役者や声優を目指す若者が集まる専門スクールに出講している。毎年、最初の授業で決まって言うのはこんな事だ。「私の授業では毎回同じ台詞の繰り返しばかり行います。とてもつまらないと思うかも知れません。でも、信じてついてきてくれたら必ずいい結果を生みます。それは頭で得るものでなく身体で感じられることです」そのつまらないものとは、落語家の多くが最初に稽古するという旅ネタ「東の旅・伊勢参宮は神の賑わい」の発端...

  • 3.気づくということ

     落語の楽しさは”気づき”と”共感”である。 いささか古い話で恐縮だが、友人の披露宴の司会を仰せつかった時のことである。祝辞を予定する方の中に当時アメリカ大統領に就任したばかりのオバマさんにそっくりな彼がいた。こんなおいしいことを材料にしない手はないと考えた私は彼に近づいて少し会話を交わした。わりに冗談の通じそうな感じで安心した。それでいよいよ本番、彼がマイクの前に立った時、私は彼の横まで行き、少し改...

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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