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カテゴリ:師弟関係のエントリー一覧

  • 113.会社に入ったら三年間は「はい」と答えなさい

    「お前、今日からわしの弟子や」「は、はい。ありがとうございます」。入門初日はこんな会話から始まった。Photo by Masaaki Aiharaフォトブログ 写真家 相原正明先生の見た桂蝶六最初の半年間は師匠の家に通いだった。朝9時に師匠宅に伺い、一日師匠の家で過ごして帰るという日々が続いた。炊事、掃除、犬の世話、買い物・・・・・・師匠の側にいるということが何よりの修行だった。破門にされるんじゃないだろうか。ぼくはいつもそ...

  • 97.わらいばなしに涙する 追悼・桂文春くん

    「何や、それ?」と文珍師匠。繁昌亭がオープンして、この9月15日で丸7周年。いまも大勢のお客様にご来場いただき、ぼくも一落語家として大変嬉しく思っている。でも、この時期になると決まって思い出す顔がある。桂文春くんである。今から7年前、彼もまた『繁昌亭』のオープンを心待ちにしていた。こけら落としでの出演は9月24日と決まっていた。桂 文春本名:時枝 伸幸(1965年7月18日 - 2006年9月21日)は、和歌山県和...

  • 94.ヒーローの条件

    「ええか、ヒーローになるもんはやな、 最初に、挫折っちゅうもんを  必ず味わうもんやねん」今も師匠のこの言葉だけはしっかりと覚えている。当時、ぼくはラジオ大阪の『ヤングラジオ』という番組でパーソナリティーの一人として参加していた。入門してまだ半年の頃だった。野球中継がない半年間という契約だったが、それが終了したとき、ぼくは妙に虚しさを感じていた。芸人枠は、月曜日が楽珍、火曜日があやめ、水曜日がす...

  • 89.弟子の決断・師匠の覚悟

    当時、奥様は35歳。そこへ20歳の素性の分からぬ、得体も知れぬ男がいきなり生活のなかに転がり込んできた。長男は小学1年生、長女は幼稚園に通い出したばかり。それでも、奥様はとても温かく男を迎え入れ、行儀や礼儀作法の一から教え始めた。「この世界はね、晩に会っても、おはようございます」「部屋に入ったら、こっちが上手で、こっちが下手」「カミのものとシモのものを一緒にしたらダメ!」「掃除はちゃんと畳の目に添って...

  • 85.叱られて

    うちの師匠は「叱り方の上手な人」だった。師匠がぼくを叱る時、たいてい二人きりだった。そう言えば、落語のなかでも、旦那が番頭に意見をするシーン。「ああ、番頭どんか、さあさあ、こっちへ入りなはれ。 後、ピシャッと閉めてな、お座布当てなはれ。 いや、おまはんを呼びにやったのは他でもないねやが・・・」 人払いしたうえで、「二人きりで」というのが原則。丁稚や手代の見ている前で番頭を叱るようなことはしない。ぼく...

  • 76.「贈与」で送る落語界

    師弟関係のいいところっていうのは、生徒にとって「この先生の最高の面を知っているのは私だけだ」という幸福な錯覚が敬意を生み出し、学びを起動させるという点にあるんです。「オレはお前のためにこれだけの贈与をしてやる。オレに感謝しろよな」って渡すような贈り物はあんまりうまく回らないような気がする。あっちからパスが来たから、次の人にパスする、そうするとまた次のパスが来る。そういうふうに流れているんですよ。弟...

  • 60.春団治 初代・二代目法要

    ...

  • 56.ふるきゃらと先代春蝶

    山と川と田んぼと海と生きてゆくのさおれたち私たち畑耕すいとしさを作物にそえ とどけたいのさ遠くの町へと人を愛する せつなさを山の彼方に叫びたい山の空気を吸い込むと身体が緑に 染まるのさどうしてこんなに美味いのか梢をすぎゆく風にある筈もない味なのに俺の元気は蘇る日暮山から流れてくる水が甘くてキレイなら浜の昆布も 魚も貝も塩吹浜は大漁さおまえがいて おれがいて遠くの町に友だちがいる生きているのさこの町...

  • 55.破門騒動と桂雀喜くん

    いよいよ上方落語協会誌「んなあほな」27号がゴールデンウィークに合わせて発刊されます。※天満天神繁昌亭の他、大阪・千日前の波屋書房、 なんばパークス5階の&音(あんどん)、 ジュンク堂の千日前店でもお買い求めいただけます。 また、島之内寄席をはじめ、落語会会場でも販売しています。  詳しくは、上方落語協会ホームページまで。先日、安藤忠雄先生設計の協会会館にて最終の編集会議が行われました。同じく編集委員...

  • 50.繁昌亭の楽屋番のこと、師弟のこと

    ...

  • 37.昭和任侠伝

        強かったなあ、あの時の阪神は、十一連勝!  と、喜んでいたら、あと八連敗。  そこが、また阪神らしいところかねえ。  勝つ時はムチャクチャ強いけど、  肝心な時にはよう裏切られるねん。  思たら、昭和四十八年 最終戦、  巨人に勝ったら優勝やいう時に九対〇の完敗。  あの時は三日間寝込んでしもうた。あの悔しさ分かるか。  選手は替っても、ファンは死ぬまで阪神ファンやねん。  そこんとこ分か...

  • 34.師弟の親子

    ぼくの落語家人生は故二代目桂春蝶宅での住み込み生活から始まった。炊事、洗濯、掃除、犬の散歩・・・師匠の身の廻り全てが内弟子の仕事である。家にいる間は奥さんが師匠のようなもので、師匠同様に奥さんにも可愛がってもらえるよう勤めることも大事。それに奥さんをしくじると師匠に余計な気苦労を与えるだけだ。奥さんにはご飯の炊き方から庖丁の使い方、掃除の仕方、着物の畳み方、挨拶の仕方、謝り方、人の話の聴き方・頷き...

  • 31.六代目松鶴師匠

    「六代目松鶴師匠に言われた言葉で、一番印象に残っている言葉ねえ?……己のことしか考えられん奴は落語家になる資格がない、ちゅうことですかな」。生前、師匠(故・二代目桂春蝶)はラジオのインタビューでこう応えていた。先日、故・六代目松鶴師の一門の方とご一緒した時にこの事を話した。すると、その先輩は「そやねん、うちの師匠はな、弟子が集まって飯を食うてるやろ。そしたらその場で一番の若手にずいぶん気を遣いはるね...

  • 25.笑いの基底にあるもの

    「おい、こらおっさん。もっと酒飲ましたらんかい!何でわしが帰されないかんねん!」12月13日。落語家は毎年この日に正月を迎える。私は師匠の故・先代桂春蝶や兄弟子らと共に大師匠に当たる三代目桂春団治のご自宅へと向かっていた。ちょうど車がその門前まで差し掛かった時にその罵声が放たれた。はがいじめにされていた男は私より1年先輩の落語家。当時、私も入門したばかりの頃である。その先輩はかなり泥酔していた。私は師...

  • 22.緊張の薦め

    今日も楽屋の見習い君たちは緊張の面持ちで先輩師匠方を出迎えます。私もこの業界に30年ほど勤めているので彼らは一応「師匠」と呼んでくれてます。着物を畳んだりお茶を入れたり演目帳に名前を記入したり、そういった楽屋の用事全般が彼らの仕事です。彼らはできるだけ先輩方の邪魔にならぬよう、用事があればすぐに飛んで走れるよう、全身をアンテナにしながら楽屋の隅や舞台袖に待機しています。私が入門した頃にはまだ今のよう...

  • 18.古を稽ふる

    十数年ぶりに再会した彼はすっかりみちがえっていた。あれほど猫背でどこかに暗い影を落としていた彼がすっくと立ち、誰よりも周りに光を放つ存在になっていた。今は立派に日本舞踊の名手としてその名を知られている。私と初めて出会った頃、彼は大学生で芸術関係の道を目指していたものの将来に関してまだ漠然としていた時期であった。大学の教官から紹介された私は、落語会の裏方などを時折手伝ってもらっていた。「あの頃、蝶六...

  • 11.実況アナウンサー・吉田勝彦先生

    厚かましさでは全国的に定評のある大阪だが、商人の間には「下駄を預ける」という美しい風習が今もちゃんと残っている。例えば、店主に曜日を尋ねたとする。「今日は何曜日でしたかいな」に対し、「今日は月曜日です」とは言わず「ええっと、月曜日と、ちゃいまっしゃろか?」と応える。つまり、“結論を相手に委ねる”というのが大阪流であり「下駄を預ける」作法。これにより預けられた相手は優位に立つことになる。優位に立った相...

  • 10.人は変われる

    私はずいぶん根にもつタイプである。ついこの間まで小学生の頃の出来事をずっと引きずりながら生きてきた。小学生の頃の私は今以上にかなり不器用で覚えも人一倍遅かった。例えば掛け算の九九なども何度口にしても覚えられず、来る日も来る日も一人教室に居残りをさせられていた。その時の担任は本当に辛抱強く付き合ってくれて本当に感謝している。しかし、学年が変わってある一人の新任教師だけはずっと許せないままでいた。それ...

  • 8.聴く・学ぶ

    一面において物事の道理に暗いのは、かならず他面において物事の道理に明るいからである。一面において物事の道理に目を塞がれているのは、かならず他面において物事の道理に通じているからである。一一(部分としてのありかた)は、そうなるほかはない。そもそも、ひとが生きていけば、かならず習慣に染まる。習慣に染まれば、その生地を見失う。そのばあい、習慣のせいで物事の道理に暗いのは、学問によって治療できるが、学問の...

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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