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カテゴリ:芸能とその背景のエントリー一覧

  • 258.ウィル・スミスのビンタ~何を笑うか?~

    先日のアカデミー賞授賞式での出来事は前代未聞だった。3度目のノミネートで悲願のオスカー賞を受賞した俳優のウィル・スミスが、プレゼンターのコメディアン、クリス・ロックに皆が見守る壇上での平手打ち。ウィル・スミスの妻は脱毛症に苦しんでいて頭は丸坊主である。それをクリス・ロックがネタにした。相手の気にする身体的要素、しかも笑われた相手のそれは病気によるもの。ウィル・スミスが思わずカッとなったのは理解でき...

  • 256.ふるさと~肥溜め踏みし、かの頃~

    ぼくが早朝の大阪城公園でのラジオ体操に通いだしたのは昨年12月から。日頃の運動不足解消が目的だが、参加するほとんどが70歳以上のお年寄りで今年還暦のぼくはかなり若手の部類で肩身が狭い。多くが常連さんらしく、こんな会話が飛び込んできた。「○○さん、最近見まへんなぁ」「また温くなったら出てきはんのと違いますか」「元気にしてまっしゃろか」「さぁ…、最近わたしも病院行ってまへんしなぁ」これまで集いの場だった診療...

  • 254.おじいちゃんのざんげ~戦争を知らない子どもたち~

    ぼくが小学生3年か4年生の頃。正月に母方の祖父の家に親戚一同が集まり、その頃は高校生で後に音楽大学に進んだ叔母がピアノを披露し、祖父は詩吟か何かを詠い、余興の順番がぼくにまわってきた。ぼくはその少し前に流行った杉田二郎の戦争を知らない子どもたちを歌った。 戦争が終わって 僕等は生れた戦争を知らずに 僕等は育ったおとなになって 歩き始める平和の歌を くちずさみながら僕等の名前を 覚えてほしい戦争を知ら...

  • 250.軽口仁輪加・考~春團治・五郎兵衛一門とニワカの深~い関係~

    今、繁昌亭では「15周年記念特別公演」の真っ最中。9月6日(月)から12日(日)は「春團治・五郎兵衛ウィーク」落語はもちろんのこと、今回ぼくが特に見て頂きたいのが「軽口仁輪加」なんです。・・・ということで、今回は「軽口仁輪加」のご紹介です。「軽口仁輪加」とは、今でいうコントや漫才のようなもの。ダジャレやスカタンを言いながら、歌舞伎の芝居の真似事などをする芸。新喜劇の源流という説もあります。ルーツは江戸時...

  • 247.時代に翻弄された落語家~初代&二代目・花團治クロニクル

    ◆初代春団治やエンタツ・アチャコと共にナンセンスな演出などで一部の評論家から「落語の破壊王」と批判の対象になることもあった爆笑王・初代桂春団治。漫才師として初めてスーツ姿で舞台に立ち、それまで音曲が中心だった萬歳から音曲を無くし、しゃべくりのみに変えた「近代漫才の父」横山エンタツ・花菱アチャコ。初代・二代目花團治は、こうした時代の変革者たちと同時代に生きた咄家でした。1875(明治8)初代花團治生まれ...

  • 246.戦時下を生きた芸能~”笑い”という名の毒を飲む~

    襲名をして以来、毎年6月になるたびどうしても戦争のことが頭をよぎってしまう。先代の二代目花團治が1945年(昭和20年)6月15日に大阪空襲の犠牲になっているからだ。遺族によると、防空壕の入り口で亡くなっていたらしい。しかも、襲名してわずか一年後のこと。どれほど無念だったろう。後列左から三人目が二代目花團治(写真提供:前田憲司)あれは今から35年ほど前、落語家に入門して3年ほどだったぼくが、地方のある敬老会に...

  • 244.ツラくとも、クサれども~それでも笑いが必要~

    大阪商人の間には今も「泣いてる暇があったら笑ろてこまそ」という言葉が残っている。例えば、店が大赤字で困っているときにも商売仲間との会話では、「おたくの店、商売は順調でっか?」「赤子(赤ん坊)の行水ですわ」「何でんねん」「タライで(足りなくて)泣いてます」と笑いを誘う洒落を交えた。この「笑い精神」は大阪に限ったことではない。商売人というのはすべからくそうだ。憔悴する姿は同情を誘いこそすれお客や取引先...

  • 241.「かわいそう」という名のナイフ

    その女性が児童養護施設で職員として働くようになったのは、高校時代、かねてより好意を寄せていた同級生の男の子に告白したことがきっかけだった。彼からの返事は「住む世界が違うから付き合えない」 というひと言。このときはじめて彼が児童養護施設の子だということを知った。彼女は彼に寄り添うつもりで応えた。「わたしはそんなこと気にしないよ」すると彼は「ほらな。やっぱり住む世界が違うんだ」わたしと彼と、どう世界が...

  • 240.うちのムスメは何でも食らう~優しい文化を召し上がれ~

    近頃はコロナ禍の影響もあって自宅で過ごすことがずいぶん増えた。我が家はヨメはんと2歳半になる娘との3人家族。娘はぼくのことをよく観察しているのかすぐに真似をしたがる。例えば、稽古場の高座に座って落語の真似事。まるでルーティンワークのように「寿限無」の文句に始まり、落語らしき文言を唱え出すようになった。ひとしきりそれが終わると、今度はぼくに向かって「(次は)おとーしゃん、(稽古を)どうぞ~」と言って...

  • 238.あめあめふれふれ父さんが…

    唱歌における父親はどうも肩身が狭い。日本の唱歌に登場する親は母親ばかり。「あめあめふれふれ母さんが…」(あめふり)「かあさんが夜なべをして…」(かあさんの歌)「かあさん、お肩を叩きましょう」(肩たたき)「ぞうさん、ぞうさん、お鼻が長いのね、そうよ母さんも長いのよ」(ぞうさん)……もちろん父さんが出てくる唱歌もあるにはあるが、『グッドバイグッドバイ、グッドバイバイ…』(グッドバイ)と家におらずお出掛けし...

  • 237.賛否両論バンザイ!~大阪万博2025ロゴマークに寄せて~

    先日、大阪万博2025のロゴマークが発表された。ネット上では「怖い」「気持ち悪い」といったコメントが飛び交っている。なかには「これはコロナウイルスを模している」といった意見まで。ぼく自身も最初にこれを見たとき、思わず「何じゃ、こりゃ⁈」と口にし、そのあと「わしは松田優作か」と一人ツッコミ。けれども、今ではこのロゴがすっかり気に入ってしまった。今にも動き出しそうで、生命そのものに見えてくる。愛らしいこと...

  • 234.当たり前の向こう側~そして、彼女はオッサンになった~

    混み合う車内に、棚に並ぶマスクやトイレットペーパー…。そんな他愛もない光景がやけにまぶしく映った。この日は久しぶりの出前寄席。県をまたいでの移動はおよそ4か月ぶりのことだった。自粛解除とはいえ手放しで安心するには程遠い状況ゆえ、お客様のなかには家族から嫌味のひとつも言われた方もおられよう。それでもわざわざ集まってくれた。こちらもずっと休業状態で巣ごもりしてきた身。喋る場が与えられただけでもありがた...

  • 233.神様・仏様・アマビエ様~よくもわるくも妖怪のせい~

    「トイレの神様」という歌がヒットしたのはちょうど10年前のこと。「トイレには、それはキレイな女神様がいるんやで。だから毎日キレイにしたら別嬪さんになれるんやで」という歌詞は今もふと口ずさんでしまう。この曲がヒットしている頃、ぼくは講師を務める夜間高校での授業のなかでこれを話題にした。「神事と芸能」を講義するうえでこれほどタイムリーなツカミはなかった。しかし、このとき一人の女子学生がふっと笑みを浮かべ...

  • 229.左利きが抱えるもの~”甘夏とオリオン”の世界にたゆたう~

    かつて左利きは縁起が悪いとされ、矯正するべきという考え方が当たり前だった。今もご年輩のなかには左利きの者に対して「何で親は治さなかったのか」と半ば憐れむような言い方をする人がいる。かくいうぼくも元は左利きだった。ぼくの母は血を見るのが何よりも怖かったぼくの左手の甲にヨードチンキを塗りつけ、なるべくぼくに左手を使わせないようにした。その結果、ぼくはペンやお箸を持つ手は右利きになった。しかし、消しゴム...

  • 224.すべてはアフターのために~神管寄席後記~

    興奮と感動からの学びは子どもの目の色を変える。先日、その瞬間を目の当たりにする機会に恵まれた。神戸でクラシックの演奏会があって、ぼくはその語り部として参加させてもらった。曲の合間に作品の時代背景やその曲の風景を落語風に紹介していくのだが、公演を無事に終え、ホッとしながら楽屋で着替えをしているとモニターに小学生10余名と楽団員らの姿が映し出された。気になって舞台に駆け付けると、それぞれの奏者が子どもた...

  • 219.繊細なコロス~2018M-1グランプリより~

     テレビで『M-1グランプリ』を観た。結成15年までの漫才師のなかから日本一を決めるコンテストである。現在の世相が色濃く反映されていてとても興味深いものであった。今、パワハラやセクハラといった言葉を聞かない日はない。それだけ世間は「言葉」というものに敏感である。例えば、相方に対して「お前はハーフ顔やな」と持ち上げるように言いながら、そのあと「東南アジア系のハーフやけどな」と落とすやり方。以前ならド...

  • 212.6月15日に思うこと~大阪大空襲と花團治~

    もっともっと、落語をしたかった。「初代」も「二代目」もきっとそう思っていたに違いありません。今から73年前の今日、昭和20年6月15日。先代(二代目)花團治(花次改め)は、襲名した翌年、「第四次大阪大空襲」によって命を落としました。ご遺族の方によると、防空壕の入り口あたりで亡くなっていたらしいとのことです。二代目花團治ちなみに、初代の花團治は「吉本興業専属第一号」でした。そんな栄えある名跡にも関わらず、...

  • 209.命懸けの道成寺~能はロックだ!?~

    ”大鼓”と書いて”おおつづみ”と読みます。「カーン」という乾いた音色が特徴ですが、実はこの楽器、「世界で一番硬い楽器」だそうです。 ”小鼓”は「ポンポン」と水を含んだような音ですが、”大鼓”は乾いた高音。”小鼓”はたえず息を吹きかけたりして湿らせた状態にします。時折、舞台上で革にハァーしてる姿を見受けます。余談ですが、モノを冷ますときの息はフゥーで、温めるときの息はハァーですよね。ちなみに飲酒検問のときはハ...

  • 208.映画『福井の旅』と『男はつらいよ』~はみ出しものの視点から~

    その兄弟子は、もうどうしようもない落語家だった。平気で仕事に穴をあける、朝から酒浸り、自分勝手、飽き性、協調性ゼロ……とにかくだらしがないこと、このうえない。でも、どこか憎めない。 ある日、そんな兄弟子から弟弟子のもとへ一本の電話。「とにかく福井まで来てほしい」という。それだけ言うなり、プツッと電話を切った兄弟子。大阪でラジオのレギュラー番組を持ち忙しい弟弟子は、「何でぼくが福井にまで……」と訝りなが...

  • 202.客いじりのある高座風景~言霊から漫才まで~

    寄席の高座でその場のお客をネタにしたり、直接話しかけたりすることは「客弄り(いじり)」といってあまり好まれることではない。寄席のお客は芸を楽しみに来ているのであって、そういう対話を目的に来ているのではないというのがその主な理由。おまけに寄席の出番はあらかじめそれぞれの持ち時間が決まっているので、「客弄り」はタイムオーバーの原因にもなる。筆者の高座風景(撮影:相原正明)ずいぶん前になるが、その日の夜...

  • 200.センセ、着物って逆さに着たらアカンの?~落語の授業にて~

    今年も夜間高校で「落語の授業」が始まりました。10代から70代までの学生たち。そこで投げかけられる素朴な疑問の数々が、ぼくにとっては戦々恐々、また毎度の楽しみなのです。 例えば、ぼくの雪駄を見た学生が、「センセ、そのスリッパ、サイズ小さいんと違う?」 雪駄というものは、足のかかとが少し出るぐらいでちょうどいいのですが、馴染みのない学生には奇異に映るらしい。 「雪駄って、こんなもんやで」と返すものの、これ...

  • 197.不足は創造の源~落語と映画と土団子~

    1970年代、ぼくが少年の頃、土団子が流行った。これは泥んこ遊びのひとつで、泥を丸めて作った玉にきめの細かい砂をまぶして固め、それを手のひらで磨いて硬くしていく。濡らしては固め、乾かせては濡らしの作業を繰り返すうち、やがてそれは艶々と輝き始め、見事な金の玉へと変貌する。こうして出来上がった玉を今度は友だち同士で競い合った。高いところから相手の団子目指して落とすのだ。それぞれが団子に向いた上質の土の在り...

  • 195.”離見の見”と”目前心後”~駅ナカ・デイパック禁止令~

    最近とみに気になるのが、大きなデイパック(リュック)を背負いながらスマホに夢中になる人の姿。背中に荷物を負えば両手が開くのでスマホを操作するには都合がいい。しかし、そのぶん満員電車内など周囲はかなり不愉快な思いをしている。当人が向きを変えるたび、思わずデイパックに頬を打たれそうになっている人。ましてやこれが駅のホームの上だったりすると危ないことこのうえない。当人の知らないところで自身が加害者になっ...

  • 185.テレマンと落語~すべてはカーテンコールのために~

    「花團治公式サイト」はここをクリック! クラシック音楽の方々との共演は実に楽しい。いつも刺激をいただいてます。でも、語り終えたあとのカーテンコールは実に気恥ずかしい。お客様へのご挨拶という名目ながら、なんだか拍手をもらうのが目的みたいで、どんな顔をして立っていればいいか、いつも悩んでしまう。「(じゅうぶんに満足させられず)ゴメンナサイ」では、せっかく拍手を下さるお客様に失礼な気がするし、「ドンナモ...

  • 182.天下一の軽口男~何を笑うか~

    「花團治公式サイト」はこちらをクリック!最近になってようやく『天下一の軽口男』(木下昌輝著)という時代小説を読んだ。大坂落語の祖・米沢彦八の生涯を綴ったものだが、これによると彦八は鹿野武左衛門という男を頼って大坂から江戸の町へ繰り出している。武左衛門は江戸落語の祖として知られているが、元はといえば大坂の生まれ。これは文献にも残っている。しかし、彦八が大坂から江戸に出たという記録は見当たらない。けれ...

  • 181.不況になればお笑いが流行る?~落語と狂言の親密な関係~

    作家の瀬戸内寂聴さんは、「(法話の際に)いきなり仏教のむつかしい話から始めても集まってくれる人は聞く耳を持たない。だから笑い話から始める」とおっしゃってますが、大昔からそういう風習はあったようです。このような法話を落語のルーツとする説もあります。それに、大真面目な真剣な話を聞くときにはグッと息を詰めていなければなりませんが、そのためにもまず大きく息を吸う必要があります。大笑いするということはすなわ...

  • 178.バッハ『農民カンタータ』~せまじきものは宮仕え~

    「バッハはんから依頼があってな、なんでもこのたび新しいご領主さまを迎えることになってな、そのご領主さまの歓迎パーティーで演奏する曲らしい」「つまり、お追従、おべんちゃらの詩を書いてほしいということでっか?」「平たくいえばそういうこっちゃ」 こんな経緯から生まれたのが、バッハの『農民カンタータ』です。この作品のなかで、農民が税収係をボロカスにけなします。実は、作詞担当のピガンダー本人の生業が税金徴収...

  • 175.最強のモタレ芸・チンドン~路上の達人から板の上の妙手へ~

    『花團治公式サイト』はこちらをクリック!チンドン屋って、ネコとお友達になるようなもんでね。『ちんどん通信社』の代表・林幸治郎氏が、ふとそんなことをつぶやきだした。花團治襲名披露公演に並ぶ行列を癒してまわる『ちんどん通信社』 撮影:相原正明例えばね、猫の写真を撮ろうとして、不用意に近づいていったら逃げてしまうじゃないですか。あえて、興味がないふりをして向こうを向いたり、そんなことをしながら距離を詰め...

  • 174.伝承と継承~繁昌亭と夏目漱石~

    『花團治公式サイト』はこちらをクリック!土居さんもお練りに参加したかったやろな。せめてあとひと月だけでも長く生きてはったらな。商店街の方も言うてはったけど、このお練りを一番心待ちにしてはったんは、天神橋筋商店街連合会の元会長・土居年樹さん(8月23日没)やった。9月15日、大阪の落語家にとって60年の悲願だった天満天神繁昌亭10周年を記念しての落語家による商店街お練り。この商店街は南北に2.6キロ。日本一...

  • 169.江戸落語にあって上方落語にないもの~例えば真打制度~

    上方落語にあって、江戸落語にないもの。まず「見台」と「膝隠し」。これはかつて落語が野天で演じられたときの名残。見台を、小拍子木と張り扇でパチパチ叩いて、その音で通行人の気を引き寄せ、よしず張りの小屋の中へ客を招いた。映画「男はつらいよ」では、フーテンの寅さんによる「叩き売り」。あれに似ている。見台と膝隠しと座布団わざわざ野天で演じたのは、「座敷へ上げてもらえなかったからだ」という説がある。芸人自体...

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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