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カテゴリ:芸能とその背景のエントリー一覧

  • 197.不足は創造の源~落語と映画と土団子~

    1970年代、ぼくが少年の頃、土団子が流行った。これは泥んこ遊びのひとつで、泥を丸めて作った玉にきめの細かい砂をまぶして固め、それを手のひらで磨いて硬くしていく。濡らしては固め、乾かせては濡らしの作業を繰り返すうち、やがてそれは艶々と輝き始め、見事な金の玉へと変貌する。こうして出来上がった玉を今度は友だち同士で競い合った。高いところから相手の団子目指して落とすのだ。それぞれが団子に向いた上質の土の在り...

  • 195.”離見の見”と”目前心後”~駅ナカ・デイパック禁止令~

    最近とみに気になるのが、大きなデイパック(リュック)を背負いながらスマホに夢中になる人の姿。背中に荷物を負えば両手が開くのでスマホを操作するには都合がいい。しかし、そのぶん満員電車内など周囲はかなり不愉快な思いをしている。当人が向きを変えるたび、思わずデイパックに頬を打たれそうになっている人。ましてやこれが駅のホームの上だったりすると危ないことこのうえない。当人の知らないところで自身が加害者になっ...

  • 185.テレマンと落語~すべてはカーテンコールのために~

    「花團治公式サイト」はここをクリック! クラシック音楽の方々との共演は実に楽しい。いつも刺激をいただいてます。でも、語り終えたあとのカーテンコールは実に気恥ずかしい。お客様へのご挨拶という名目ながら、なんだか拍手をもらうのが目的みたいで、どんな顔をして立っていればいいか、いつも悩んでしまう。「(じゅうぶんに満足させられず)ゴメンナサイ」では、せっかく拍手を下さるお客様に失礼な気がするし、「ドンナモ...

  • 182.天下一の軽口男~何を笑うか~

    「花團治公式サイト」はこちらをクリック!最近になってようやく『天下一の軽口男』(木下昌輝著)という時代小説を読んだ。大坂落語の祖・米沢彦八の生涯を綴ったものだが、これによると彦八は鹿野武左衛門という男を頼って大坂から江戸の町へ繰り出している。武左衛門は江戸落語の祖として知られているが、元はといえば大坂の生まれ。これは文献にも残っている。しかし、彦八が大坂から江戸に出たという記録は見当たらない。けれ...

  • 181.不況になればお笑いが流行る?~落語と狂言の親密な関係~

    作家の瀬戸内寂聴さんは、「(法話の際に)いきなり仏教のむつかしい話から始めても集まってくれる人は聞く耳を持たない。だから笑い話から始める」とおっしゃってますが、大昔からそういう風習はあったようです。このような法話を落語のルーツとする説もあります。それに、大真面目な真剣な話を聞くときにはグッと息を詰めていなければなりませんが、そのためにもまず大きく息を吸う必要があります。大笑いするということはすなわ...

  • 178.バッハ『農民カンタータ』~せまじきものは宮仕え~

    「バッハはんから依頼があってな、なんでもこのたび新しいご領主さまを迎えることになってな、そのご領主さまの歓迎パーティーで演奏する曲らしい」「つまり、お追従、おべんちゃらの詩を書いてほしいということでっか?」「平たくいえばそういうこっちゃ」 こんな経緯から生まれたのが、バッハの『農民カンタータ』です。この作品のなかで、農民が税収係をボロカスにけなします。実は、作詞担当のピガンダー本人の生業が税金徴収...

  • 175.最強のモタレ芸・チンドン~路上の達人から板の上の妙手へ~

    『花團治公式サイト』はこちらをクリック!チンドン屋って、ネコとお友達になるようなもんでね。『ちんどん通信社』の代表・林幸治郎氏が、ふとそんなことをつぶやきだした。花團治襲名披露公演に並ぶ行列を癒してまわる『ちんどん通信社』 撮影:相原正明例えばね、猫の写真を撮ろうとして、不用意に近づいていったら逃げてしまうじゃないですか。あえて、興味がないふりをして向こうを向いたり、そんなことをしながら距離を詰め...

  • 174.伝承と継承~繁昌亭と夏目漱石~

    『花團治公式サイト』はこちらをクリック!土居さんもお練りに参加したかったやろな。せめてあとひと月だけでも長く生きてはったらな。商店街の方も言うてはったけど、このお練りを一番心待ちにしてはったんは、天神橋筋商店街連合会の元会長・土居年樹さん(8月23日没)やった。9月15日、大阪の落語家にとって60年の悲願だった天満天神繁昌亭10周年を記念しての落語家による商店街お練り。この商店街は南北に2.6キロ。日本一...

  • 169.江戸落語にあって上方落語にないもの~例えば真打制度~

    上方落語にあって、江戸落語にないもの。まず「見台」と「膝隠し」。これはかつて落語が野天で演じられたときの名残。見台を、小拍子木と張り扇でパチパチ叩いて、その音で通行人の気を引き寄せ、よしず張りの小屋の中へ客を招いた。映画「男はつらいよ」では、フーテンの寅さんによる「叩き売り」。あれに似ている。見台と膝隠しと座布団わざわざ野天で演じたのは、「座敷へ上げてもらえなかったからだ」という説がある。芸人自体...

  • 160.正論って、正しいんやろか?~萬歳の起源より~

    ♪争う人は正しさを説く、正しさゆえの争いを説く。その正しさは気分がいいか、正しさの勝利が気分いいんじゃないのか。ファッションブランドのコマーシャルにも使われていたので聞き覚えのある方も多いんじゃないでしょうか?中島みゆきの『Nobdy is Right』という曲です。宮崎あおい、アースミュージック&エコロジーCMこの曲がテレビから流れてきたとき、まだ落語家になって間もない昔を想いだしました。若かりし頃のぼく。24...

  • 159.東京進出を拒んだ二代目春蝶~大阪落語の発祥から形成まで~

    最後に、花團治・東京3月公演のお知らせがございます。「枝雀くんも、ざこばくんも、三枝くんもみんな来てくれた。けどな、一人だけ、頼みを聞いてくれへんかった奴がいてる。それが君とこの師匠や!」君とこの師匠とは、つまり、ぼくの師匠である二代目桂春蝶(1993年1月4日没、享年51)のこと。なんともうちの師匠らしいエピソードです。内弟子の頃に師匠一家と並んで撮って頂いたのはこれ一枚きり。ぼくにとって、大変貴重な写...

  • 154.正月なので獅子舞について考えてみた~チンドン屋の流儀~

     「ちんどん通信社」は実に居心地がいい。お正月の仕事始めといえば、ここ数年「チンドン通信社」と現場が一緒である。今年もやっぱり現れた。それも「獅子舞」として。ぼくにとって、新春の寿ぎはあの篠笛の音色と共にある。上の一枚目が「ホテルニューオオタニ大阪」、二枚目が尼崎「ショッピングセンターつかしん」にて。元旦は「ホテルニューオータニ大阪」で落語、二日は「つかしん」で狂言でした。三枚目は、二枚目と同じく...

  • 151上方落語の復活~戦後70年~

    初代花團治は、終戦の3年前、二代目花團治は、終戦の年に命を落とした。ゆえに、二人とも「楽語荘」メンバーでありながら、終戦後初・落語会への出演が叶わなかった。このたび、終戦後復活落語70周年の企画が持ち上がった。不肖、この三代目がその記念すべき「11月21日」の前座を務めることになった。戦前の寄席事情から「楽語荘」誕生、終戦後の落語復活までの軌跡をここに記しておこうと思う。まだテレビ・ラジオのなかった時代...

  • 147.大須大道町人祭~投げ銭の嬉しさ~

    街が大道芸の舞台になる。今年で38回目を迎えた「大須大道町人祭」。15か所以上の特設ステージを含む会場では、朝から晩までパフォーマンスが繰り広げられました。林幸治郎率いる「ちんどん通信社」は「大道町人祭」草創期からの参加。この祭りをずっと支えてきました。乙女文楽の吉田光華師匠。たった一人で操る文楽人形ですが、光華師の手にかかると何とも表情豊かです。琵琶の音色と川村旭芳さんの語りに皆がうっとり。何とも不...

  • 144.バッハと落語~関西室内楽教会の皆さんとともに~

    「落語とは業の肯定である」とおっしゃったのは、東京の故・立川談志師匠でした。「人間っていうものは、酒にしろ女にしろダメだって頭で分かっていてもついやっちまうもん。それを描いたものが落語なんだ」という主張です。先日、ぼくはクラシックの演奏会に語り部として参加させて頂きました。関西室内楽協会の皆さんとのコラボ。天満教会にて。さて、所変われば品変わるものです。その昔、トルコから発展したコーヒーは17世紀頃...

  • 116.「ホモと落語」考

    優れた俳優には女性性格が絶対的に必要である。高校生だったぼくは、その頃からすでに生業として芸人を目指していた。「芸」に関するあらゆる本を手当たり次第に乱読した。それでたどり着いたのが『私は河原乞食・考』という一冊だった。以来、小沢先生が紹介した冒頭のこの一言がぼくのなかにずっと居座り続けた。私は河原乞食・考 (岩波現代文庫)(2005/09/16)小沢 昭一商品詳細を見る「女性的精神の可塑性は、他の感情表象に適応...

  • 102.異国の地に修行する日本人アーティスト

    世界の伝統芸能に魅せられた、日本人アーティストたち。彼らはなぜ海を越え、「この芸能で生きる」ことを決めたのか?踊りや音楽など、芸術・芸能を習得するには大変な努力を必要とする。ましてそれが生まれ育った国以外の由来をもつ伝統芸能であった場合、その地の言語はもちろんのこと、歴史や文化を一から学び・身につける必要があり、多くの苦労を伴う。そのようなハンデを背負いながらも、伝統芸能に魅せられて海を渡り、異国...

  • 101.授業という名の井戸端会議~「教える」から「教わる」へ~

    「たたき売りちゅうのん、見んようになったなあ」「昔な、天王寺公園で蛇使いをよう見たでえ」「覗きからくりなあ、あれ、金を払わんと勝手に覗いたら、 おっちゃんに棒でしばかれるねん」「おばちゃんがなあ、スカートめくって中見せよんねん。 マッチの灯りでなあ、マッチ一本いくらっちゅうやっちゃ」「それ、泣き売(なきばい)、ちいまんのん?・・・・・・うん、路上で万年筆売ってたで」「その催眠商法ちゅうのんなあ、わて中に...

  • 54.久留島武彦、それからそれから、稗田阿礼。

    「イザナキ・イザナミに命じる。 この浮遊している国土を固め直して整備をせよ。 ……これは、天の沼矛というものじゃ。これを使うたらええわい」 「へ、へえ、かしこまりました。ほなイザナミはん、 天上の神さんも、あない言うてはるさかい、ぼちぼち始めまひょか」 「ええ、そしたら、この天の浮橋から……」天の浮橋というのは、天と地の間に架かっている橋ですな。ここから、二人は矛を海水に向けてさし下し、かき回しよった...

  • 51.フラジャイル~弱さからの出発~

    ...

  • 45.月見座頭

    落語は、喜劇である。喜劇とは、人の愚かさを描いたものである。ただ滑稽なものは喜劇とは言わない。それは、笑劇(ファース)という言葉で区別されている。当事者にとっての悲劇が、第三者からは喜劇と映ることがある。男と女の諍いが当人たちにとって悲劇であったにせよ、周りからは喜劇として捉えられることもある。喜劇か悲劇か、それはその事件に対するそれぞれの立ち位置いかんである。喜劇は滑稽に描かれたもので、悲劇は哀...

  • 44.シンディ・ローパー

    第二次大戦中、食べるものがなく飢えている弟に向かい、姉はこう言った。「ねえ、何が食べたい?いちばん食べたいものは何?」二人は笑いながらおいしいものを次々とあげた。「そんなに食べたら、おなかこわしちゃうわね」弟はおどけて、でんぐり返しをして見せた。おなかがいっぱいで、もう大丈夫だというように。今はもう、勇気づけのために架空のメニューなど作る必要のない時代。では、精神的にはどうでしょう。1993年、オノヨ...

  • 41.風の丘を越えて

    恨(ハン)を積むとは生きること。生きるとは、恨を積むこと。お前は肉親を失ったうえに光まで失った。人一倍、恨が鬱積しているはずだが何故声に出ない。お前の声は美しいだけで、恨がない。父は娘にそう語った。二人は、親子とはいえ娘は養女で二人は血が繋がっているわけではない。孤児だった娘にパンソリを仕込もうと男が引き取った。辛く貧しい放浪の旅である。芸の道は険しい。しかし、芸のために、何も娘の光まで奪うことも...

  • 35.カチューシャの歌

    青年貴族士官のネリュードフは、小間使いのカチューシャを可愛がっていたが後になっていじめるようになった。そのためカチューシャは卑しい女となって罪を犯しシベリアに送られた。これを知ったネリュードフはそれまでの地位と富を捨てカチューシャを追って人間性復活の道を歩き始める。美しく哀れなカチューシャが高貴な青年に救われるというこの甘いロマンスが大正時代の人々の心を捉えて離さなかった。「芸術座」が世に送ったロ...

  • 24未知の世界

    船の上から満天の星を眺めていると思うんですよ。人間はえらそうなこと言ったって、まだまだ分からないことだらけだなって。どんなにエライ学者の先生だって、宇宙のこと、ほんの一部しか知らないよ。ある先生も言ってた。全宇宙のなかで人間が知ってることはたったの4パーセントだって。あれ知ってる、これ知ってるってえばるよかさ、俺、これ知らない、あれ知らないって聞いてまわってる方がさあ、ちっとは人間賢くなるんじゃね...

  • 15.落語の立ち位置

    全ての表現物はプロパガンダである。どういう立場から描くかによって同じ歴史上の出来事であっても全く趣が変わってしまう。例えば、能や歌舞伎の題材にもなっている「藤戸」の戦い。今からおよそ800年前、日本では源平の戦いが繰り広げられていた。藤戸は当時の地名で今の岡山県倉敷市の辺り。小島が点々と並ぶ比較的浅瀬の多いところだ。そこで源氏と平家は海を挟んでのにらみ合いを続けていた。源氏はすぐにでも攻め入りたかっ...

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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