カテゴリ:発想の方法のエントリー一覧
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261.「ジョーシキ」という先入観 ~「米朝」だって、間違ってるかもしれないじゃない?~
4歳になるムスメのおかげでぼくも絵本を読むようになった。たかが絵本とあなどるなかれ。例えば、ヨシタケシンスケさんの「りんごかもしれない」(ブロンズ新社)という一冊。「テーブルの上にりんごがおいてあった……でももしかしたら、これはりんごではないのかもしれない」という問いかけから始まる。「もしかしたらおおきなサクランボのいちぶかもしれない」「なかみはぶどうゼリーなのかもしれない」「あかいさかながまるまっ...
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251.ビル・ゲイツなぼく~”皿洗い”に救われる~
旧知の友人がソロキャンプにはまっていて、その様子を不定期ながらYoutubeに公開している。たき火の揺らぎは画面ごしでも気持ちが安らぐ。近所にたき火ができる場がなく、車の免許も持たないぼくは時折この動画を眺めて瞑想タイムのおすそ分けをもらっている。瞑想とは無心になること。つまり煮詰まった頭をリセットすることだ。terucamp ←ソロキャンプの動画はこちらから ずいぶん前の話になるが、とあるバーで月に一度だけ昼下...
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239.それしかないわけないでしょう~大人はけっこう間違える~
ホテルのフロントに一本の電話が入った。「ホテルのバーはいつ開くか」という問い合わせだった。それに対し、ボーイは「午前10時でございます」と応えた。すると、その1時間後に同じ客から全く同じ問い合わせ。当然ボーイは「午前10時でございます」と同じように応えた。しかしそれからまた1時間経って全く同じやりとり。とうとう我慢に達したボーイは「10時までお客様をお入れすることはできません!」と強い口調でどなってしま...
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217.顧客ファースト~まずは目の前のお客様から~
先日、うちの家内が意気揚々と帰ってきた。家内はいわゆる「美容室ジプシー」というやつで、『ホットペッパービューティー』というサイトを見ながら色んな美容室を渡り歩いている。初来店のときはクーポンが使えても二回目以降は使えず値段が高くなるということがほとんどらしく、そんなことも彼女を「美容室ジプシー」化させる要因のひとつになっているらしい。しかし、今度ばかりはこれまでと少し様子が違っていた。帰ってくるな...
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201.知らないことからアハ体験~落語の授業にて~
自分が「知っていて当たり前」と思っていることが、相手にとって当たり前とは限らない。大学・高校などでぼくが講師を務める「落語の授業」では、幾度となくそういう場面に直面してきた。夜間高校の授業風景。10代から70代までが集っている。例えば、『道具屋』という落語。夜店の古道具屋を覗いた客が笛に指を突っ込んだところ、指が抜けなくなってしまった。「抜けないなら買ってもらわなければ仕方がない」という店主に客が値段...
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192.芸人の危機管理~アドリブとは備えのことなり~
あれは30年以上前、タクシーでの移動中だった。師匠がポソッとこんなことを漏らした。「あいつなぁ、普段は腐った魚みたいな目ェしとるのに、こういうことがあると俄然イキイキしよる」あいつとは、師匠のマネージャーのこと。こういうこととは、仕事上のあるトラブルのことだった。この時はダブルブッキング(同じ時間帯に仕事が重なること)だったが、マネージャーのトラブル処理は目を見張るものがあり、臨機応変に動いてはみご...
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158.落語的編集稽古の薦め~プロにはプロの理屈があんねん~
※ 最後に落語イベント(東京・豪徳寺)のお知らせがございます。「プロにはな、プロの理屈があんねん」 入門して間がない頃、師匠の二代目桂春蝶から教えられた言葉だ。 桂春蝶( 1993年1月4日没、享年51)撮影:後藤清 ところで、あれは今から6年前のこと。ぼくは、ある企業で講座を持った。その企業の社員研修はとてもユニークで、それまでもネイルアーティスト、ミュージシャン……各方面からいろんな講師を招き、社員の感性を刺...
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126.落語の授業のつくり方
撮影:渡邊隆氏(まちづくり仕掛け人)渡邊隆氏のホームページ毎年、この時期になると学生たちのレポートが届けられる。楽しみでもあるが悩みの種でもある。成績をつけねばならぬのだ。落語で学んだコミュニケーション術をバイト先の居酒屋で実践して褒められた学生、声が前に出るようになったと喜ぶ学生、高校時代にクラブで経験した吹奏楽やバスケットのことと落語を結び付けて論じる学生、自身のいじめ体験と落語を結び付けて告...
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62.見立ての日本文化・住まいのミュージアム
ある会社の幹部社員に、その場でニワトリの絵を描いてもらうという実験を行ったところ、30人中、20人近くが変なニワトリを描いたという。なかには足が4本のニワトリもいた。イシス編集学校の松岡正剛校長は、このエピソードを聞いて、その場は大笑いしたものの、ふとこんなことを思った。彼らにとって、ニワトリというイメージが漠然と分かっていればいい。本物のニワトリに会えば、それがニワトリと同定できる。それでいい。われ...
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40.要素・機能・属性
このブログの読者には、春からの講義に備えて、シラバスとにらめっこしながらご覧になっている方もおられるかと思います。この春、タレント養成学校の教務の方から打診されたのは、例えば、『笑点』のような大喜利ワークのようなものはできないでしょうか?という内容でした。そこで、ぼくの考えを少し述べてみたいと思います。まず、ぼくの授業は、落語家としてこれまで学んできたものを中心にお届けしていきます。それに加え、最...
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20.編集稽古
現在、私はウェブ学校の受講生である。「昨日見た映画、一日のスケジュール、普段の会話など身の周りのあらゆる情報からその編集の方法を取り出し、それを様々な場面や局面に生かすよう“型”を身につけていく」。校長はこれを“編集工学”と名付けている。十名の受講者に対し一人の先生だが、ここではあえて“先生”とは言わずに“師範代”と言い、“教える”とは言わず“指南する”と言う。つまり、教えを“導く”のである。ついでに言うと“解...
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14.アドリブ考
「アドリブ」という言葉がある。辞書では「即興」と訳されている。元々業界用語だが今は一般にもずいぶん馴染みの言葉である。私はある先輩芸人にこう言われた。「芸人にとってのアドリブは世間で言うアドリブとはちょっと意味が違うんやで」。世間一般的にアドリブとは突発的にその場の思いつきで台詞を発する事を指すようだが芸界ではそれでは通用しないと言うのがその先輩の主張である。先輩曰く、芸界でのアドリブとはその場の...
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7.書くということ
教授がこんな話をして下さった。「私にも師匠がいましてね、その師匠によく言われたものです。とにかくまず楷書で“文章”が書けるようになりなさいって。書けるようになれば話すのが上手くなる。書ける人は話が上手い。でも、話すのが上手だからといって書くのが上手いとは限らないって」。この住岡英毅教授の専門は教育社会学で、私を大学に推してくれた大恩人であり上司でもある。だが、その一方では私の主宰する落語塾の稽古人の...