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カテゴリ:イズムのエントリー一覧

  • 281.その男、身軽で気軽で一本気~住所不定の落語家・立川こしら~

    「旅するように暮らしたい」まるでファッション誌のキャッチコピーだが、そう思ったことはないだろうか。家など持たずに全国を旅しながら仕事ができたらどんなに楽しいだろう。しかし、ぼくにはそれを実行に移す気力も体力も知恵も勇気もない。が、ここに東西通じて唯一「住所不定」の落語家がいる。つまり定住の地を持たず放浪しながら公演を続けている。彼の名は立川こしら1996年、立川談志門下の志らくに弟子入り、2011年に真打...

  • 280.ざこば師匠に「うっせぇわ!」~そのしつこさは、優しさの裏返し~

    うちの女房が瞼の手術をすることになった。その病院は遠方からの患者も多く、名医と評判の病院だ。女房曰く、そこには先生が二人いて、一人は寡黙な男性で、もう一人はかなりお喋りな女性。女房の瞼は寡黙な男性が担当することになったが、手術を目前にもう一人の先生が執拗なぐらい語り掛けてきたという。「今日の昼ごはんは何を食べました?」という問いかけから始まり、「パスタです」と応えると「なぜだか女性はパスタ、男性は...

  • 279.叱るよりも、叱られたい~笑福亭仁勇兄を偲んで~

    先日、スーパーで「仁勇」という日本酒を見つけた。「じんゆう」と読むが、思わず6年前に亡くなった笑福亭仁勇(にゆう)兄を思い出した。仁勇兄はぼくより四つ年上で、高校の落語研究会の先輩でもある。ぼくが落語家になるときも、真っ先に相談したのが仁勇兄だった。以来、落語家になってからも何かにつけ、兄に報告した。「弟子にしてもらいました」「初高座が決まりました」「師匠をしくじりました」どんなことでもいつも穏や...

  • 278.ふるさとのリズム~身に沁みこんだ四拍子・心に刻む三拍子~

    明治になって唱歌が日本の音楽教育の一環として取り入れられた。何か新しいことを始めると必ず反対を唱える人が現れるのが世の常、唱歌も御多分に漏れず。「うさぎおいし、かのやま」で始まる「故郷」を小学校で合唱していると、「学校で宗教教育をするとは何事だ!」と怒鳴りこんでくる人がいたという。唱歌が讃美歌に聴こえたのだろう。夏目漱石「三四郎」にこんなくだりがある。「三四郎はまったく耶蘇教に縁のない男である。会...

  • 277.神になった三代目春團治~拍手について考えてみた~

    クラシック音楽の鑑賞で、楽章と楽章の間で思わず拍手をしてしまい、他の観客から舌打ちをされたり、拍手のタイミングが早すぎて失笑されたりという経験はないだろうか。実はぼくがそうだった。20代前半の頃、出会って間もない知人が出演するというので参加したコンサート。200人ほどのホールは満席で、何とも言えぬ高揚感のなか演奏が始まった。ぼくはこの感動を少しでも舞台にいる奏者に伝えたいと大きな拍手を送り、その洗礼を...

  • 276.何これ?ポリコレ ~正義の顔した言葉狩り~

    最近、「ポリコレ」という言葉をよく耳にするようになった。直訳すると、政治的配慮。ディズニー映画では、これまで白人だったヒロインを黒人に変えたり、同性愛者のキスシーンを入れたり…。背景には「ポリコレ」問題があるらしい。ディズニーランドでは「レディース&ジェントルマン、ボーイズ&ガールズ!」という呼びかけが「ハローエブリワン」に変わった。アメリカの街角では、「メリークリスマス!」というフレーズが、「ハ...

  • 271.戦う女子のヒストリー~我が家のプリキュア攻防戦~

    我が家のチャンネル権はすっかり5歳のムスメに制圧され、家族そろってテレビを観ることが当たり前になった。今夢中になっているのは「ひろがるスカイ!プリキュア」という少女向けアニメ。戦士に変身した女子中学生が、破壊活動を繰り返す悪者に立ち向かっていくというストーリー。そんな「プリキュア」に、つい先日の放送回で大きな異変が起こった。5歳のムスメは自然に受け止めていたが、昨年還暦を迎えたぼくには、とても画期的...

  • 267.40年目の赤っ恥~落語のなかの人権問題~

    「感激したわぁ!ほんま来てよかったわ」終演後、お客様の見送りをしていると一人の妙齢の女性が駆け寄ってきて熱く感想を語ってくれた。芸歴40年を迎えたばかりだが、これほど褒められたのは初めてかもしれない。とはいえ、それは落語そのものではなく、その後に話した内容についての賛辞だった。芸歴40年&還暦記念独演会で話す筆者(撮影:坂東剛志)「世の中のあらゆる作品に作者や演じ手の考え方や思想が反映される。表現物...

  • 264.昔々あるところで…ではなくなった戦争~切実から生まれた芸術~

    毎日のように流れるロシアのウクライナ侵攻のニュース。かつて日本でも「鬼畜米英」「遂げよ聖戦!興せよ東亜!」といったスローガンが叫ばれ、国民の多くがこの戦争を正義と信じて疑わなかった。万歳三唱の掛け声と共に戦地に送り出される兵隊さん。しかし、戦地に行くことを誉れと思う者ばかりではない。醤油を飲んで腎臓障害を患って兵役を逃れたという話は有名だが、ロシアでは骨折屋という商売が現れたらしい。プロパガンダ然...

  • 263.泣いた赤鬼~アイツはヨソ者やと彼らが言った理由~

    10年ほど前、ある催事会場で一人の職人さんと懇意になった。世間ばなしをするうち、Aという共通の知人がいることがわかった。A氏はすでに亡くなっておられたが、ぼくにとっては生涯忘れられない大恩人。しかもその職人さんとA氏は幼馴染みで、今もA氏の実家の三軒隣に住んでいるという。一週間後、ぼくは職人さんの家を訪ねた。するとそこへA氏の幼馴染みが続々と集まってきた。「Aはヤンチャもするけど気のエエ奴で…」「憎めん奴...

  • 260.一見さんお断り~一期一会を100倍ステキにする方法

    「一見さんお断り」という京都花街のしきたりはあまりにも有名だ。この慣習が「敷居が高い」というイメージに繋がっているのは言うまでもないが、「おもてなし」という観点からみれば実に理にかなっている。花街で提供される「おもてなし」は顧客の好みによって内容がさまざま。お茶屋は顧客の好みを十分にわかったうえで芸舞妓さんや料理の手配をするが、そのときに全く情報のない客ではどのようなサービスをしていいのかわからず...

  • 259.最後の贈り物~笑いと、涙と、あの人と~

    今年の3月、師匠の奥さんが亡くなった。コロナ禍ということもあり、密を避け家族葬で見送ることになったが、親族や弟子の他に、奥さんとごく親しい友人二人も駆けつけておられた。このお二方の女性は芸界にも通じていて、師匠とも番組はじめ公私にわたって交流のあった方々だ。ぼく自身も若い頃、ずいぶんとお世話になった。仕事を世話してもらったり、たまにはお小言やアドバイスをもらうことも。ところが、その頃のぼくは糞生意...

  • 258.ウィル・スミスのビンタ~何を笑うか?~

    先日のアカデミー賞授賞式での出来事は前代未聞だった。3度目のノミネートで悲願のオスカー賞を受賞した俳優のウィル・スミスが、プレゼンターのコメディアン、クリス・ロックに皆が見守る壇上での平手打ち。ウィル・スミスの妻は脱毛症に苦しんでいて頭は丸坊主である。それをクリス・ロックがネタにした。相手の気にする身体的要素、しかも笑われた相手のそれは病気によるもの。ウィル・スミスが思わずカッとなったのは理解でき...

  • 256.ふるさと~肥溜め踏みし、かの頃~

    ぼくが早朝の大阪城公園でのラジオ体操に通いだしたのは昨年12月から。日頃の運動不足解消が目的だが、参加するほとんどが70歳以上のお年寄りで今年還暦のぼくはかなり若手の部類で肩身が狭い。多くが常連さんらしく、こんな会話が飛び込んできた。「○○さん、最近見まへんなぁ」「また温くなったら出てきはんのと違いますか」「元気にしてまっしゃろか」「さぁ…、最近わたしも病院行ってまへんしなぁ」これまで集いの場だった診療...

  • 252.仁鶴師匠と敏江師匠~二代目春蝶生誕祭に寄せて~  

    生前、ぼくの師匠の二代目桂春蝶がぽつりと呟いた。「春輔兄さんは後世ずっと語られることになるけど、わしが死んだらすぐに忘れられるんやろな」春輔兄さんとは奇行エピソードが尽きることのない「伝説の落語家」この言葉が脳裏にずっと残っていたぼくは、師匠が亡くなって20年を越えた頃、兄弟子の桂一蝶や師匠の子息である大助こと当代春蝶に相談した。ここから師匠の誕生日である10月5日に、毎年「二代目春蝶生誕祭」を開催す...

  • 250.軽口仁輪加・考~春團治・五郎兵衛一門とニワカの深~い関係~

    今、繁昌亭では「15周年記念特別公演」の真っ最中。9月6日(月)から12日(日)は「春團治・五郎兵衛ウィーク」落語はもちろんのこと、今回ぼくが特に見て頂きたいのが「軽口仁輪加」なんです。・・・ということで、今回は「軽口仁輪加」のご紹介です。「軽口仁輪加」とは、今でいうコントや漫才のようなもの。ダジャレやスカタンを言いながら、歌舞伎の芝居の真似事などをする芸。新喜劇の源流という説もあります。ルーツは江戸時...

  • 249.鶴の恩送り~弟子にしたのは俺や、辞めさすのも俺や~

    お釈迦さんは数多の弟子に多くの教えを示したが、相手やその時どきに応じて、内容を変えている。落語家の師匠も同じで、「前に言ってたことと全然違うやん!」ということが多々ある。入門した当初は師匠の台詞をしっかりなぞることを強いても、ある段階までくると全く正反対の言葉に代わることも。それに指南というものはさりげない日常会話のなかに含まれることが多く、弟子の側にもしっかりそれを受け止めるアンテナを持つことが...

  • 247.時代に翻弄された落語家~初代&二代目・花團治クロニクル

    ◆初代春団治やエンタツ・アチャコと共にナンセンスな演出などで一部の評論家から「落語の破壊王」と批判の対象になることもあった爆笑王・初代桂春団治。漫才師として初めてスーツ姿で舞台に立ち、それまで音曲が中心だった萬歳から音曲を無くし、しゃべくりのみに変えた「近代漫才の父」横山エンタツ・花菱アチャコ。初代・二代目花團治は、こうした時代の変革者たちと同時代に生きた咄家でした。1875(明治8)初代花團治生まれ...

  • 245.澤田隆治先生ありがとうございました。

    澤田先生が、澤田隆治先生が逝ってしまった。ぼくが「澤田隆治」という名を知ったのは高校生の頃。当時、「花王名人劇場」という番組が流行っていて毎週欠かさず見たものである。その番組タイトルの肩には「澤田隆治プロデュース」とあって、このとき「プロデュースとは何ぞや?」という興味がわき、澤田先生が「スチャラカ社員」「てなもんや三度笠」「新婚さんいらっしゃい」などなど伝説の人気番組を手掛けた人だということを知...

  • 244.ツラくとも、クサれども~それでも笑いが必要~

    大阪商人の間には今も「泣いてる暇があったら笑ろてこまそ」という言葉が残っている。例えば、店が大赤字で困っているときにも商売仲間との会話では、「おたくの店、商売は順調でっか?」「赤子(赤ん坊)の行水ですわ」「何でんねん」「タライで(足りなくて)泣いてます」と笑いを誘う洒落を交えた。この「笑い精神」は大阪に限ったことではない。商売人というのはすべからくそうだ。憔悴する姿は同情を誘いこそすれお客や取引先...

  • 241.「かわいそう」という名のナイフ

    その女性が児童養護施設で職員として働くようになったのは、高校時代、かねてより好意を寄せていた同級生の男の子に告白したことがきっかけだった。彼からの返事は「住む世界が違うから付き合えない」 というひと言。このときはじめて彼が児童養護施設の子だということを知った。彼女は彼に寄り添うつもりで応えた。「わたしはそんなこと気にしないよ」すると彼は「ほらな。やっぱり住む世界が違うんだ」わたしと彼と、どう世界が...

  • 240.うちのムスメは何でも食らう~優しい文化を召し上がれ~

    近頃はコロナ禍の影響もあって自宅で過ごすことがずいぶん増えた。我が家はヨメはんと2歳半になる娘との3人家族。娘はぼくのことをよく観察しているのかすぐに真似をしたがる。例えば、稽古場の高座に座って落語の真似事。まるでルーティンワークのように「寿限無」の文句に始まり、落語らしき文言を唱え出すようになった。ひとしきりそれが終わると、今度はぼくに向かって「(次は)おとーしゃん、(稽古を)どうぞ~」と言って...

  • 238.あめあめふれふれ父さんが…

    唱歌における父親はどうも肩身が狭い。日本の唱歌に登場する親は母親ばかり。「あめあめふれふれ母さんが…」(あめふり)「かあさんが夜なべをして…」(かあさんの歌)「かあさん、お肩を叩きましょう」(肩たたき)「ぞうさん、ぞうさん、お鼻が長いのね、そうよ母さんも長いのよ」(ぞうさん)……もちろん父さんが出てくる唱歌もあるにはあるが、『グッドバイグッドバイ、グッドバイバイ…』(グッドバイ)と家におらずお出掛けし...

  • 237.賛否両論バンザイ!~大阪万博2025ロゴマークに寄せて~

    先日、大阪万博2025のロゴマークが発表された。ネット上では「怖い」「気持ち悪い」といったコメントが飛び交っている。なかには「これはコロナウイルスを模している」といった意見まで。ぼく自身も最初にこれを見たとき、思わず「何じゃ、こりゃ⁈」と口にし、そのあと「わしは松田優作か」と一人ツッコミ。けれども、今ではこのロゴがすっかり気に入ってしまった。今にも動き出しそうで、生命そのものに見えてくる。愛らしいこと...

  • 235.リメンバー・ミー~思うことは活きること~

    遅ればせながら、今頃になってディズニー映画「リメンバー・ミー」(2017)を観た。死者の国では「死者の日」だけ現世の家族に会いに行けるという決まりだ。日本でいうお盆のようなものである。ただし、それは自宅の祭壇に先祖の遺影が飾られた者だけに限られていて、そうでない死者は死者の国を出ることができない。ひょんなことからミゲルという少年は死者の国に迷い込んでしまい、紆余曲折の末ようやく自分の高祖父にあたるヘク...

  • 234.当たり前の向こう側~そして、彼女はオッサンになった~

    混み合う車内に、棚に並ぶマスクやトイレットペーパー…。そんな他愛もない光景がやけにまぶしく映った。この日は久しぶりの出前寄席。県をまたいでの移動はおよそ4か月ぶりのことだった。自粛解除とはいえ手放しで安心するには程遠い状況ゆえ、お客様のなかには家族から嫌味のひとつも言われた方もおられよう。それでもわざわざ集まってくれた。こちらもずっと休業状態で巣ごもりしてきた身。喋る場が与えられただけでもありがた...

  • 233.神様・仏様・アマビエ様~よくもわるくも妖怪のせい~

    「トイレの神様」という歌がヒットしたのはちょうど10年前のこと。「トイレには、それはキレイな女神様がいるんやで。だから毎日キレイにしたら別嬪さんになれるんやで」という歌詞は今もふと口ずさんでしまう。この曲がヒットしている頃、ぼくは講師を務める夜間高校での授業のなかでこれを話題にした。「神事と芸能」を講義するうえでこれほどタイムリーなツカミはなかった。しかし、このとき一人の女子学生がふっと笑みを浮かべ...

  • 232.祝うて三度でご出棺~別れの言葉はサヨナラじゃなくて~

    亡くなる十日ほど前だったか、がん患者によく見られる皮膚の突起が義父の額の真ん中にもくっきりと表れるようになった。義父は自身のそれを指しながら「お釈迦さんみたいやろ」と子どもみたく笑った———。コロナ騒ぎの緊急事態宣言により、全てに自粛が叫ばれるなか、女房の父が静かにあの世へ旅立った。葬儀は三密を避けるため、ごく身内だけで執り行うことになった。その通夜を済ませた夜に女房の兄貴・つまり義兄が電話でぼくに...

  • 231.黒子に魅せられて~家とブロマイドとぼく~

    歌舞伎の「黒子」は、役者の後ろの方で、姿勢を低くして目立たぬように早変わりのサポートをしたり、小道具を渡したり…。全身を黒で包んで現れているものは、「存在しないことにする」という約束事。客も「見えていないもの」として見ている。一昨年からぼくの落語教室に通ってくるある男性は、45歳前後だろうか、ぼくより確か一回りほど年下である。飄々とした雰囲気で、演じる落語も可笑しみに溢れている。「笑わせてやろう」と...

  • 229.左利きが抱えるもの~”甘夏とオリオン”の世界にたゆたう~

    かつて左利きは縁起が悪いとされ、矯正するべきという考え方が当たり前だった。今もご年輩のなかには左利きの者に対して「何で親は治さなかったのか」と半ば憐れむような言い方をする人がいる。かくいうぼくも元は左利きだった。ぼくの母は血を見るのが何よりも怖かったぼくの左手の甲にヨードチンキを塗りつけ、なるべくぼくに左手を使わせないようにした。その結果、ぼくはペンやお箸を持つ手は右利きになった。しかし、消しゴム...

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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