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カテゴリ:話し言葉の方法のエントリー一覧

  • 269.公共の授業~論破で未来は創れない~

    ぼくの夜間高校での落語の授業は、ぼくの実演の後のディスカッションに重きを置いている。落語の内容の背景にある価値観や文化などテーマはいくらでもある。井戸端会議のノリで終わるときもあれば、喧々諤々の意見が飛び交うこともある。ぼくの履く雪駄から、日本の摺り足、西洋のバレエにまで話が及んだことも。芸能のルーツから祝祷芸、八百万の神へと話が広がったときは、キリスト教信者の生徒の一人が「神様は一人だから先生の...

  • 226.注文の多い落語塾~「愚か塾」の扉を叩く前に~

    花團治が主宰している落語塾「愚か塾」。個人宅での小さな小さな私塾ですが、おかげさまでここ2、3年は常に定員オーバーで、欠員待ちも15名前後、という状況です。それだけ多くの方が落語に魅力を感じてくださっているのは嬉しいかぎりですし、現塾生のほとんどが2年以上続けて熱心に通ってくださっていることに花團治は心から感謝しております。だからこそ、新たに「愚か塾」に興味をもってくださった方にお尋ねします。「花團...

  • 221.勘違いな「コミュ力」~お喋りにご用心~

    聴衆のなかには必ず相槌上手な人がいるものだ。「ほぉ」「なるほど」「そんなあほな」……黙っていてもそういうシグナルを適確に送ってくれる人がいる。話し手にとってこれほどありがたい存在はない。なかには腕組みの姿勢で口をへの字に不貞腐れたような態度で臨む聴衆もいるが、そういう人に限って終演後に名刺を携えて寄ってくるから始末に負えない。つい「壇上からも見えているんですよ」ということを言いたくなる。それにしても...

  • 220.独りよがりなお喋り~”習う”って、羽に白いと書くんやで~

    少し前の話だが、家人の治療のことである病院を紹介され、そこで手続きに関する説明を受けることになった。小部屋に通されるとずいぶん慣れた調子で担当の看護師が喋り始めた。もう毎度のことなんだろうか、かなりの早口である。質問を挟む余地もない。こちらに息を継ぐ暇も与えない。何か質問をしようものなら、咎められるようなバリアさえ感じた。何より彼女の語り口の独特な抑揚はひどく耳障りだった。何とか話についていこうと...

  • 205.談論のすすめ~ディベート反対のためのディベート~

    小中学校などに落語ワークショップで招かれるたび、頻繁に聞かされるのが「子どもたちのコミュニケーション力低下」についてである。と同時に、「自分の意見がはっきり言えない」ということもよく耳にする。そういった背景が、まだ一部の学校だけとはいえディベート教育の導入にも繋がっているのだろう。撮影:渡邊隆「ディベート」とは、自分と意見が異なる相手と議論して説得させることを指すが、小学生の頃に吃音症を経験してい...

  • 193.楽しい「声」で賑わいを~落語と狂言のワークショップin大阪福島さばのゆ温泉~

    ◆「第3回浅田飴のまちおこし」の詳細はここをクリック!◆大阪福島「さばのゆ温泉」はここをクリック!言葉の掛け方ひとつで患者の様子が変わるんです。演劇人の一人として、いかに言葉が大事か、思い知らされました。以前、狂言師の金久寛章が大学の看護学生を前にこう言った。大学で狂言演習を指導する金久寛章彼は大阪芸術大学の舞台芸術学科を卒業後、『劇団四季』に入団したものの、すぐに緑内障を患い、三か月の入院を余儀な...

  • 187.おしゃべりはやめて~弟弟子のこと、愚か塾のこと~

    花團治公式サイトはここをクリック!今から33年前、ぼくが先代春蝶の家に住み込みだった頃、師匠のもとに一人の入門志望の若者がやってきた。「人前で話すのが苦手で、なんとかそれを克服したいんです」。彼は大真面目な顔で弟子入りしたい理由を語った。「絶対、師匠はこいつを弟子に取らないだろう」と思っていたら、意外にもすんなりとぼくの弟弟子として迎えられた。「うちは話し方教室やないねやさかい」と自嘲気味に笑う師匠...

  • 184.耳で覚える~落語のお稽古~

    ◆花團治公式サイトはこちらをクリック!あるとき、ぼくは先輩に稽古をつけてもらっていてこんなことを言われた。「お前さんは目で覚えようとしてるやろ。せやから台詞が身体に入れへんねん」。当時のぼくの落語の覚え方は音源をもとに台詞をノートに書き写し、ひたすらそれを見ながらブツブツ口にするという方やり方だった。このときに言われたのが「耳で覚えんかい!」という言葉。今でも鮮明に覚えている。例えば20分の落語を師...

  • 166.劣等感のチカラ~落語に学ぶコミュニケーション術~

    小学生の頃、担任の先生が放った一言からぼくの屈折人生が始まりました。終了前のホームルームのときでした。先生の話が終わって、クラス委員が「起立!」と声を掛けました。でも、ぼくはなぜか立てませんでした。その声がちゃんと耳に届いているにも関わらず、ぼくはただボーっと椅子に掛けたまま、外を眺めていました。気がつけば自分の世界に入り込んで周りを一切見ようとしない。ぼくはいつだってそんな子でした。そのときも、...

  • 163.劣等感バンザイ!!!~不足から満足へ~

    東京豪徳寺・イシス編集工学研究所にて 2016年3月19日不足はいつしか強い満足に反転していく。上方落語は大阪弁、江戸落語は江戸ことばで語られる。したがって、他府県出身の者はまずこの言葉の壁にぶつかる。しかし、落語の世界はなかなかに自由だ。江戸ことばが苦手なら堂々と自身のお国言葉で演じればいい。なんなら江戸という舞台背景を変えてしまえばいい。現に、鹿児島出身で東京在住の三遊亭歌之助師匠は鹿児島弁落語で人...

  • 161.宛先のない手紙は届かない~みなさん・あなた・わたしのベクトル~

    かつては宴席での一席というのが多々あった。落語というものがあまり浸透していなかったせいもあるのだろう。「お食事中、BGM代わりに落語をやって欲しい」という依頼があった。今なら、依頼の段階でお断りするか、食事と落語の時間を分けてほしいと願い出るか、あるいは、適当に小咄かなんかでお茶を濁して、早々に退散するところだが、当時のぼくは若かった。そんな場所でも大真面目にたっぷり古典を演った。「一人でも聞いてく...

  • 137.実演販売~マーフィー岡田氏に遭遇した~

    先日、百貨店で買い物をしていると実演販売の声が聞こえてきた。商売柄、こういうことにはいたって興味がある。駆けつけてみたがすでにそこは人だかり。販売士のエプロンには大きく「マーフィー岡田」と刺繍が施されていた。おそらく今、日本で一番有名な実演販売士であろう。ちなみに「マーフィー」の名づけ親は、上岡龍太郎師匠である。お決まりの「見て!見て!見て!見て!」のフレーズも聞けました!マーフィー岡田氏の実演販...

  • 124.パンソリ・浪曲・落語のピッチ

    「あれ?調子笛を使われるんですね?」と、浪曲師の春野恵子さん。「ええ、ピッチが下がるとお客さんが離れてしまうもんで」と、パンソリの安聖民さん。浪曲とパンソリは、それぞれ日本と韓国を代表する「語り物音楽」。昨年12月、コリアタウン御幸森小学校で開催されたパンソリ・浪曲・落語による三人会。(上から、パンソリ、浪曲)聖民さんは続けてこう言った。「パンソリを唱い続けていると段々声が嗄れてくるんです。そうなる...

  • 92.「怪談」を踏み外す

    思えば、あれがぼくにとっての「落語初体験」だった。確か小学3年か4年の頃である。担任の先生がお休みということで、教頭先生だったか校長だったかは忘れたが、代わりに男の先生が教壇に立たれた。「今日は、みなさんにお話をします」断片的に覚えている箇所を繋ぎ合わせるとあれは、おそらく落語の『鰍沢』だった。その先生は、一人ひとりに語りかけるように、ゆっくりと間を取りながら話を進めていった。怪談ではなかったが本...

  • 88.モードを取り込む コトバとカラダの作法より

    「今日はひとつ、わし、○○師匠でやってみるさかいな」うちの師匠は、時折こんな言葉を言い残しつ高座に向かっていった。同じ咄でも、少しモードを変えて演じてみる。初めてうちの師匠の、その咄を聞くお客には、その違いがよく分からないかも知れない。でも、その咄を始終、袖から聞いているぼくには、師匠のそんな試みがたまらなく嬉しかった。間の取り方、突っ込みの言い回し、ちょっとしたメロディーライン・・・・・・それぞれの師匠...

  • 82.愛のメモリー 松崎さんに学んだこと

    かれこれ10年ぐらい前になる。松崎しげるさんのショ―の司会をさせて頂いた。神戸のホテル。1週間連続で貸し切りのトークコンサートだった。その初日、あまりの大役につい舞い上がってしまったぼくは、司会者として大失態をやらかした。松崎さんの、仕切りの上手さもあって、ショ―自体は、一見何の問題もないように見えたが、女性プロデューサーはかなりお冠であった。終演を迎え、楽屋に向かうぼくに対して、プロデューサーからキ...

  • 80.ナゾランケイコ 世阿弥考2

    「おまはんは、もうこの世界に入って何年になる?」「はい、ちょうど10年です」「ほうか、10年かぁ、ほたら、もうええかな。 ……なあ、今日はちょっと違うことしよ」「はっ?…」「うん、おまはんがこれまでやってきた咄を、ちょっと挙げてんか」「ええと、子ほめに牛ほめ、皿屋敷、持参金……」「ああせや!…その、子ほめにしよ」「はっ?」「いや、せやから、今からその、春蝶さんがおまはんにつけた『子ほめ』をやってんか」うちの...

  • 78.作為・無作為 世阿弥考

    もう25年以上も前の話だ。当時、ぼくは摂津市千里丘に住んでいて、地元のある会社の社長に、ずいぶんお世話になっていた。毎晩のように、ご馳走してもらっていたし、仕事もよく紹介してもらっていた。ちょっとした余興や司会のお仕事、たまに落語。その頃のぼくは、この社長なしには生きていけなかった。その社長がお亡くなりになったのが、2001年。社長のお嬢さんは、今、ミュージシャン、タレントとして最近も、バラエティー番組...

  • 39.大根役者の蘇生法

    狂言の台詞回しには、俗に二字上がりと呼ばれる特徴がある。前項に紹介した「叩き」は、俳優養成学校の授業でも用いている。でも、最初は学生たちも、なかなかこの咄のリズムには乗れず難渋する。そんな時、この狂言台詞を間に放り込みながら並行して稽古を進める。これは経験上、効果抜群である。例えば、「これはこのあたりにすまいいたすものでござる」という台詞であれば,赤い文字のところで台詞に強弱をつけながら発声するの...

  • 38.話し言葉の句読点

    ここにござりました大阪のうまの合いました二人の男●ボチボチ時候も良うなったさかいにお伊勢参りでもしよやないかと、でも付きの伊勢参り●同道はうまの合うたる二人連れ、イヒヒンヒンと勇む旅立ち●仕度を整えますと友達に見送られ農人町の家を後に安堂寺橋を越えまして道を東へ東へ●大坂離れて早玉造●ここには桝屋芳兵衛、鶴屋秀次郎という二軒の茶店がござります●ここでちょっと酸い酒の一杯も飲みまして見送りの友達と別れます...

  • 32.グーチョキパー

    今から30年前、ちょうど二十歳の頃だった。大阪道頓堀・角座という劇場ではレツゴー三匹の師匠方が漫才を演じていた。腹がよじれるとはまさにこの事を言うのだろう。その怒濤の笑いが冷めやらぬうちに登場したのが、後に私の師匠となる故二代目桂春蝶であった。身長170センチに体重41キロという虚弱体質が現れると会場の雰囲気は一変した。ぼやくようなその自嘲気味の語り口に先ほどまでの空気は静まり、それが爆笑に至るまでさほ...

  • 26.落語の早朝稽古

    今、落語の早朝稽古の開催を考えている。サラリーマンやOLたちが出勤前に落語を演じてみるという企画だ。今、巷ではいろんなカルチュアーの朝レッスンが流行っているというが、落語ではまだどこもやっていなさそうだ。確かに朝の9時半から11時30分というのはある。繁昌亭の講座がそうだ。実は、私もその講師陣の一人として名を連ねさせてもらっている。私自身、朝一番ならいったいどういう層の方が参加されるのか面白そうだ...

  • 6.一喋って十伝える

    とある師匠はご贔屓筋にも大層恵まれていて、独演会でもしようということになれば五百ぐらいの席はいとも簡単に埋めてしまう。キャリアがあるからそれぐらいの動員力は当然だと言ってしまえばそれまでだが、他の師匠方と比べてもその集客力は断トツである。]そんな師匠がふとこんなことを洩らした。「わしはな、相手が喋りたい人なのかそうでないのか瞬時に見分けることができるんや」。落語家を連れて歩こうかというお客さんには...

  • 4.笑わさん稽古

    役者や声優を目指す若者が集まる専門スクールに出講している。毎年、最初の授業で決まって言うのはこんな事だ。「私の授業では毎回同じ台詞の繰り返しばかり行います。とてもつまらないと思うかも知れません。でも、信じてついてきてくれたら必ずいい結果を生みます。それは頭で得るものでなく身体で感じられることです」そのつまらないものとは、落語家の多くが最初に稽古するという旅ネタ「東の旅・伊勢参宮は神の賑わい」の発端...

  • 3.気づくということ

     落語の楽しさは”気づき”と”共感”である。 いささか古い話で恐縮だが、友人の披露宴の司会を仰せつかった時のことである。祝辞を予定する方の中に当時アメリカ大統領に就任したばかりのオバマさんにそっくりな彼がいた。こんなおいしいことを材料にしない手はないと考えた私は彼に近づいて少し会話を交わした。わりに冗談の通じそうな感じで安心した。それでいよいよ本番、彼がマイクの前に立った時、私は彼の横まで行き、少し改...

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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