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カテゴリ:呼吸・姿勢・声のエントリー一覧

  • 255.雪駄とサンダル~なぜ踵を出して歩くのか~

    ずいぶん前の話になるが、呉服屋の店主に新発売だという雪駄を薦められた。確かに軽く、デザインもいい。思わず財布の紐がゆるみそうになったが、店主の「サンダルみたいに履けますよ」というひと言に一気に興醒めしてしまい、何も買わずそそくさと店を後にした。雪駄とサンダルは似て非なるもので、やはり着物には雪駄だからだ。このことを家に帰って嫁はんにぼやくと「何で?サンダルみたいに楽に履けるってええやん」と全く賛同...

  • 236.ヴィバルディの”虫のこえ”~さて鈴虫は何と鳴く?~

    小学一年生の頃、ぼくは福岡県那珂川にある岩戸小学校に通っていた。親の転勤ですぐに大阪に越してしまったが、ぼくのなかで日本の原風景は今もこのときの想い出のなかにある。ぬかるんだ田んぼのあぜ道を歩いたり、夏場はカチコチに乾いた肥溜めの上を根性試しと称して踏んでみたり…、確かに春の小川はさらさら流れていた。あれ松虫が鳴いている チンチロ チンチロ チンチロリンあれ鈴虫も泣き出した リンリン リンリン リ...

  • 228.あの娘を好きになったワケ~態は口ほどにモノを言う~

    ずいぶん前の話になるが、俳優スクールで授業をしていた時のこと。マンツーマンではなく大勢を相手に落語の台詞を口移しで稽古をつけていた。その時、ぼくはある一人の女子学生の佇まいが気になって仕方がなかった。全員正坐をしていたのだが、彼女の様子はまるでコンビニの前で深夜たむろしているような、ぼくの目にはかなりダラしない姿に映った。腰骨も後ろに倒れ、しかも身体が横に歪んでいるような恰好だった。「やる気のなさ...

  • 211.ハロー効果~座布団までの歩み~

    落語家のある師匠がこんなことを言われてました。「売れてる奴は高座に現れた瞬間から顔が違う」そういえば、あるマジシャンも舞台へ出るときの心得についてこう言われてます。「ステージの上手(かみて)から出るときは、最初の一歩は右足を出します。下手(しもて)から出るときは左足を出します」ちなみに、客席から向かって舞台の右手を上手といい、左手を下手といいます。つまり、身体をひねらず観客に向かい合う形で出ること...

  • 210.「月亭可朝」と「若井はやと」の伝説~誰が喋ってもオモシロイ台本でウケてもオモシロないがな~

    月亭可朝師匠が亡くなられた。ギター漫談で売り出し、自ら作詞・作曲した「嘆きのボイン」は80万枚のヒットを記録。トレードマークはちょび髭とカンカン帽だった。(ちなみに、このカンカン帽はまとめて大量に購入していたそうだ。「お客が欲しがりよんねん。帽子にサインしてあげてしまうもんやから何ぼあっても足りへん」とおっしゃっていた)『嘆きのボイン』1.ボインは 赤ちゃんが吸うためにあるんやでお父ちゃんのものと違...

  • 207.叩きとバランス~相撲と合気道に落語を教わった~

    先日の大相撲三月場所(大阪場所)中、ある相撲部屋で行われたちゃんこ鍋会に参加させてもらった。最近、整骨院通いをしていることもあって、アスリートの身体の使い方や「バランス」に興味津々のぼくが力士達を質問攻めにすると、一人の力士が懇切丁寧に教えてくれた。「相撲もバランスなんですよ」相撲は単に力技ではなく、いかに相手のバランスを崩して勝利に導く頭脳戦の側面もあるのだ。小兵であっても大きい力士をひょいと倒...

  • 203.努力って嫌な言葉ですな~芸の歪みは身体の歪みから~

    うちの師匠(二代目春蝶)は「努力」という言葉が嫌いな人だった。「そんなに頑張って喋らんでもええがな」というぼくへのダメ出しはもはや口癖に近かった。「もっと普通に喋らんかい」とも言われた。師匠の追悼CDアルバムのリーフレットのなかには師匠のこんなエッセイが紹介されている。「出来ないのか、好きでないのか”力仕事”と名の付くものが、まったく苦手である。従って、こじつけやないが”努力”という言葉は大嫌いである。...

  • 198.せぬひまがおもしろい~はたしてぼくは待ちぼうけのとき、どんな顔をして立っているのだろうか?~

    これも職業病だろうか?他人の佇まいというものがつい気になってしまう。電車のなかで前の座席に座るおじさん、コンビニのレジで順番を待つ学生、オープンカフェでくつろぐOL、客席で落語に聴き入るご婦人……。シャーロックホームズさながらその人の職業や趣味、普段の生活などを想像してしまうのである。駅の改札近くで待ち合わせをしている男性はひょっとして恋人との待ち合わせだろうか。それにしても颯爽と立つその姿は同性の...

  • 180.親子チンドン~うちの居場所、見つけてん~

    「チンドンって、火消しに通じるのよ」 2015年、花團治襲名披露公演の街頭宣伝(撮影:相原正明)ああっ、また林幸治郎さんが意味不明なことを言い始めた。声を張るでなく、淡々と、しかもそれまでの脈絡と関係なく。皆が傍でワァワァ騒いでいる間、林さんだけはずっと思考モードのままだったのだ。だから、林さんとの会話はいつも油断がならない。 その日は、近日にせまった「芸術鑑賞会」の打ち合わせ。ぼくの出講する夜間高校か...

  • 179.落語と狂言はさも似たり~落語家による落語と狂言の会・やるまいぞ寄席~

    「声を出す」のではなくて「息を吐く」。謡曲のお稽古で学んだことです。「肚の底で声を支える」ということは、頭では分かっているつもりでも、我流でなんとかなるようなものではありません。ぼくにとって、謡曲のお稽古は身体のメンテナンスのようなもので、お稽古のあとは、声の通りもいくぶん良くなったような気がします。謡曲も狂言も、身体にいい。謡曲は水田雄晤先生(シテ方観世流能楽師準職分)にお稽古をつけて頂いてます...

  • 143.大須大道町人まつりに出演します~相方の狂言指導について~

    大須大道町人まつりに、花團治が「辻ばなし」「辻狂言」で出演します!!!今年で38年目を迎える大道芸のお祭りです。今年(2015年)は、10月10日(土)・11日(日)大須大道町人まつりのサイトはここをクリック↓↓↓大須大道町人まつり公式サイト「大須大道町人まつり」浅間神社で演じる「ちんどん通信社」。狂言の相方は、いつものように金久寛章さん。そんなわけで、今回は相方のお稽古風景について紹介してみたいと思います。狂...

  • 107.督促に学ぶ落語の効用~”督促OL修行日記”から~

    最近読んだ『督促OL修行日記』が面白かった。著者は支払い延滞顧客への督促を行うコールセンターで働いている。今、300人のオペレーターを指示する立場にいる。人間の脳は疑問を投げかけられると、無意識にその回答を考えはじめる。「お金を返してください」とこちらの要求を押しつけても、相手の反対や怒りを誘う。だったら「入金できる日はいつ?」という質問を投げかけて、脳に回答を考えてもらうようにすれば、罵倒されずに...

  • 49.久留島武彦、それから

    この春から、ぼくの水曜日は大阪天満宮から、箕面へという行動パターンになった。「繁昌亭落語家入門講座」を午前中に終えると、そのまま大阪青山大学へと向かう。人には、自分の知識をひけらかしたいという癖がある。ぼくは、その傾向が他人よりも特に強いようだ。それゆえ大学や高校、専門学校という場が、ぼくには、非常に有り難い。何より知識のアウトプットは、自身にとって刷り込み作業みたいなもので、これほど有意義なこと...

  • 47.密息2~日本のアンデルセン~

    今回は、前項「46.密息」と内容がかぶりますが、熊本県の人材派遣会社「リフティングブレーン」社様の発行する「リフブレ通信」に寄稿するために加筆・編集したものです。  「平常、二時間でも三時間でも喋り続けて平気な男が、  演壇に立つと頭の先からまるで絞り出すような声を出す。  普段、落ち着いて話される方が、  人前では何故に馬鹿に甲高くなってキーキー声を出すのか。  それは自己の呼吸を調節する練習をし...

  • 46.密息

    ぼくの口はとんがっている。身体はぐんと前のめり。肩に力が入っている。ぼくは今だって緊張しぃだが、昔はもっとガチガチだった。過去に遡れば遡るほど、その傾向は見て取れる。高座写真は色んなことを教えてくれる。ぼくは、昔よりも今の方が、ずっと若く見えると他人によく言われる。それはストレス等々、精神的な問題もあるだろうが、おそらく身体や息の使い方が一番大きい。ぼくが狂言の稽古を始めたのは、発声におけるコンプ...

  • 28.ティッシュ配り

    街頭の広告入りポケットティッシュ配り。自然に思わず受け取らせてしまう者とそうでない者の差は歴然としている。相手のどの位置にティッシュを持っていくか、どんな体勢や距離感で相手と向き合うか。そして何よりもタイミング。瞬時に相手の呼吸に合わせるティッシュ配りは美しい。この術は、剣道の「間合い」にも似ている。通行の邪魔にならぬようクルクル回りながら、まるでダンスのようなティッシュ配りにしばしぼくは魅入られ...

  • 27.知文術

    前にもどこかに書いたと思うが、現在、私はウェブの編集学校で学んでいる。その編集稽古のひとつに「知文術」というものがある。校長の文体編集術を真似て、その本を読んだことのない人のために必要な知識や情報を提供するというものだが、これがなかなかに苦労した。760~800字にまとめるというルールのもと、全国の学衆仲間がこれに挑んだ。ちなみに、校長は以下のようなホームページを公開されている。「知文術」の見本です。是...

  • 23.態は口ほどにモノを言い

     最近、とみに他人の姿勢が気になって仕方がない。電車で見かけるお嬢さん方の大半はその姿勢で損をしてらっしゃる。お能の面がその微妙な角度で表情を変えるように、姿勢ひとつで表情もその印象もガラリと変わってしまうものだ。私は俳優学校の教壇に立ち、そこでも落語を教えている。当然、授業は正坐ということになるが、最初から綺麗に坐れる学生はほぼ皆無に近い。まるでお婆さんが日向ぼっこをしているかのように背中を丸め...

  • 19.四股踏みレッスン

    元最年長力士の一ノ矢氏と能楽師で身体技法の研究でも有名な安田登氏。そんな二人によるこんな対談を見つけた。「能楽師の場合は、お相撲のようにきつくないので、逆に若い頃はダメだったのが65くらいを過ぎると急にすごくうまくなる人がいます。となると、その人は5歳くらいから始めたとして、60年間へたくそだって言われつづけて、65になって急にうまくなったってことなんですよね。」「若い頃は表面的な筋肉を使ってしま...

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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