2015年10月のエントリー一覧
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149.弟子の決断・師匠の覚悟(新聞コラム版)
当時、奥様は35歳。小学1年生の男の子と幼稚園に通い出したばかりの女の子。そんな平穏な家庭にどこの骨とも分からぬ20歳の男がいきなり転がり込み、奇妙な共同生活が始まった。ヘマばかりを繰り返す男。それでも奥様は嫌な顔ひとつ見せず、行儀や礼儀作法の一から教え始めた。この「男」とは、つまりぼくのこと。師匠と一つ屋根の暮らしは緊張の連続だったが、傍にずっといられるという喜びでいっぱいだった。師匠(先代桂春蝶)...
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148.憧れの恋雅亭~花團治襲名記念公演~
神戸「もとまち寄席」はぼくにとって特に思い出ぶかい落語会のひとつ。内弟子の頃、師匠の鞄持ちとして何度も何度も通いました。また、若手の間ではなかなか出番を割ってもらえない会として通っていて、初めて番組に名前が名前が並んだときには、「ああ、これでやっと落語家の端くれとして認めてもらえた!」と祝杯を挙げたことをよく覚えています。入り口には出演者の赤提灯が並びます。そんな特別の寄席に今回はトリで出演できる...
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147.大須大道町人祭~投げ銭の嬉しさ~
街が大道芸の舞台になる。今年で38回目を迎えた「大須大道町人祭」。15か所以上の特設ステージを含む会場では、朝から晩までパフォーマンスが繰り広げられました。林幸治郎率いる「ちんどん通信社」は「大道町人祭」草創期からの参加。この祭りをずっと支えてきました。乙女文楽の吉田光華師匠。たった一人で操る文楽人形ですが、光華師の手にかかると何とも表情豊かです。琵琶の音色と川村旭芳さんの語りに皆がうっとり。何とも不...