2015年12月のエントリー一覧
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153.病いはことばから~看護と狂言~
「これまでぼくはなんて独りよがりだったんでしょう」最後に彼は自身の半生をポツリポツリと語りだした。大阪青山大学での特別授業でのことだ。それまでの笑いが渦巻いた雰囲気とはうって変わり、一言一言を聞き漏らすまいという学生たちの真剣な眼差しが印象に残った。「ぼくは入院して良かったと思います」ちなみにここにいる学生の多くは未来の看護師さんたちだ。狂言師・金久寛章。高校生の頃、演劇に出会った。たいして興味も...
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152.自分以外はみな先生~夜間高校で学んだこと~
「これからは笑うてる場合やないなぁ」夜間高校の教壇に上がるようになってはや20年。ここには10代から70代までの学生が集っている。70代というのは、若い頃様々な事情からこれまで教育を受けたくても受けられなかった方々。夜間中学から進学して来られる方も多い。年に20コマがぼくの担当だ。「落語の授業」とはいえ、ちゃんと試験というものがある。試験を前にして、この日はその練習問題の日だった。「テストがこないにムツカシ...