2016年03月のエントリー一覧
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161.宛先のない手紙は届かない~みなさん・あなた・わたしのベクトル~
かつては宴席での一席というのが多々あった。落語というものがあまり浸透していなかったせいもあるのだろう。「お食事中、BGM代わりに落語をやって欲しい」という依頼があった。今なら、依頼の段階でお断りするか、食事と落語の時間を分けてほしいと願い出るか、あるいは、適当に小咄かなんかでお茶を濁して、早々に退散するところだが、当時のぼくは若かった。そんな場所でも大真面目にたっぷり古典を演った。「一人でも聞いてく...
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160.正論って、正しいんやろか?~萬歳の起源より~
♪争う人は正しさを説く、正しさゆえの争いを説く。その正しさは気分がいいか、正しさの勝利が気分いいんじゃないのか。ファッションブランドのコマーシャルにも使われていたので聞き覚えのある方も多いんじゃないでしょうか?中島みゆきの『Nobdy is Right』という曲です。宮崎あおい、アースミュージック&エコロジーCMこの曲がテレビから流れてきたとき、まだ落語家になって間もない昔を想いだしました。若かりし頃のぼく。24...
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159.東京進出を拒んだ二代目春蝶~大阪落語の発祥から形成まで~
最後に、花團治・東京3月公演のお知らせがございます。「枝雀くんも、ざこばくんも、三枝くんもみんな来てくれた。けどな、一人だけ、頼みを聞いてくれへんかった奴がいてる。それが君とこの師匠や!」君とこの師匠とは、つまり、ぼくの師匠である二代目桂春蝶(1993年1月4日没、享年51)のこと。なんともうちの師匠らしいエピソードです。内弟子の頃に師匠一家と並んで撮って頂いたのはこれ一枚きり。ぼくにとって、大変貴重な写...
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158.落語的編集稽古の薦め~プロにはプロの理屈があんねん~
※ 最後に落語イベント(東京・豪徳寺)のお知らせがございます。「プロにはな、プロの理屈があんねん」 入門して間がない頃、師匠の二代目桂春蝶から教えられた言葉だ。 桂春蝶( 1993年1月4日没、享年51)撮影:後藤清 ところで、あれは今から6年前のこと。ぼくは、ある企業で講座を持った。その企業の社員研修はとてもユニークで、それまでもネイルアーティスト、ミュージシャン……各方面からいろんな講師を招き、社員の感性を刺...