2016年08月のエントリー一覧
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172.恩送り2~先代春蝶門弟として~
「花團治公式サイト」はここをクリック!ぼくの襲名記念の会に花束を持って駆けつけてくださった春團治師匠。このとき全くのサプライズでした。東京の落語界では、二つ目以下の落語家は、師匠が亡くなれば、必ず誰か他の真打の弟子にならなければならない、という決まりがあるそうです。でも、真打制度のない大阪では、そういう取り決めなどありません。うちの師匠(先代春蝶)が亡くなってすぐ。テレビの追悼番組には、師匠の師匠...
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171.落語に見る「聴き上手」~喜六の場合~
花團治HPはここをクリック!こんなエピソードがあります。勝新太郎さんを中心に、落語家やタレントが集まって座談や歌を楽しむといった番組でした。その終わり近くになって、勝さんがこんなことをおっしゃったそうです。「きょう、ぼくは都々逸などいくつかやらせてもらったけど、ここにいるみんなは、たいていその文句を知っているものばかりだっただろう。けれども、初めて聞くような顔をして、聴き入ってくれ、拍手もしてくれた...
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170.嫌われもしない奴は、好かれもしない~二代目春蝶のコトバ~
「嫌われもせん奴、好かれもせえへん」。生前、師匠(二代目桂春蝶)から掛けられた言葉である。二代目桂春蝶(撮影:後藤清)……つい先日、兄弟子の桂一蝶兄と、師匠の息子である三代目桂春蝶くんの三人でお茶をしていたときのこと。たまたまFacebookの話題になった。「春蝶が書いた今日のコメント、なかなかオモシロいなあ」とぼくが告げると、彼は笑みを浮かべながら「けどね、あれで友達(Facebookの中で繋がる友人)の数がゴソ...
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169.江戸落語にあって上方落語にないもの~例えば真打制度~
上方落語にあって、江戸落語にないもの。まず「見台」と「膝隠し」。これはかつて落語が野天で演じられたときの名残。見台を、小拍子木と張り扇でパチパチ叩いて、その音で通行人の気を引き寄せ、よしず張りの小屋の中へ客を招いた。映画「男はつらいよ」では、フーテンの寅さんによる「叩き売り」。あれに似ている。見台と膝隠しと座布団わざわざ野天で演じたのは、「座敷へ上げてもらえなかったからだ」という説がある。芸人自体...