2016年11月のエントリー一覧
-
181.不況になればお笑いが流行る?~落語と狂言の親密な関係~
作家の瀬戸内寂聴さんは、「(法話の際に)いきなり仏教のむつかしい話から始めても集まってくれる人は聞く耳を持たない。だから笑い話から始める」とおっしゃってますが、大昔からそういう風習はあったようです。このような法話を落語のルーツとする説もあります。それに、大真面目な真剣な話を聞くときにはグッと息を詰めていなければなりませんが、そのためにもまず大きく息を吸う必要があります。大笑いするということはすなわ...
-
180.親子チンドン~うちの居場所、見つけてん~
「チンドンって、火消しに通じるのよ」 2015年、花團治襲名披露公演の街頭宣伝(撮影:相原正明)ああっ、また林幸治郎さんが意味不明なことを言い始めた。声を張るでなく、淡々と、しかもそれまでの脈絡と関係なく。皆が傍でワァワァ騒いでいる間、林さんだけはずっと思考モードのままだったのだ。だから、林さんとの会話はいつも油断がならない。 その日は、近日にせまった「芸術鑑賞会」の打ち合わせ。ぼくの出講する夜間高校か...
-
179.落語と狂言はさも似たり~落語家による落語と狂言の会・やるまいぞ寄席~
「声を出す」のではなくて「息を吐く」。謡曲のお稽古で学んだことです。「肚の底で声を支える」ということは、頭では分かっているつもりでも、我流でなんとかなるようなものではありません。ぼくにとって、謡曲のお稽古は身体のメンテナンスのようなもので、お稽古のあとは、声の通りもいくぶん良くなったような気がします。謡曲も狂言も、身体にいい。謡曲は水田雄晤先生(シテ方観世流能楽師準職分)にお稽古をつけて頂いてます...
-
178.バッハ『農民カンタータ』~せまじきものは宮仕え~
「バッハはんから依頼があってな、なんでもこのたび新しいご領主さまを迎えることになってな、そのご領主さまの歓迎パーティーで演奏する曲らしい」「つまり、お追従、おべんちゃらの詩を書いてほしいということでっか?」「平たくいえばそういうこっちゃ」 こんな経緯から生まれたのが、バッハの『農民カンタータ』です。この作品のなかで、農民が税収係をボロカスにけなします。実は、作詞担当のピガンダー本人の生業が税金徴収...