2018年08月のエントリー一覧
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216.やるかやられるか~師匠と弟子の奇妙な関係~
若手の頃、ぼくはよく師匠の前座を務めさせてもらっていた。それも師匠とぼくと一席ずつという現場が多かった。師匠は番組のレギュラーも多く、まるでパズルのピースを埋め込むようなスケジュールで、ギリギリに現場到着ということも少なくなかった。その日もぼくは、まだ楽屋入りしていない師匠を気にしながら高座に上がった。予定では、いつも通り演じて下りたとしても、師匠は出番に何とか間に合うはずだが、どんなアクシデント...
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215.指南・考~導く方向・見つける方法~
師匠のもとに入門してまもない、まだ芸名すらもらっていない頃だった。師匠の鞄を持って新幹線の新大阪駅まで同行することになった。駅につくと、二番弟子の桂蝶太兄(昭和63年没、享年36)が待っていた。師匠とはそこで別れたのだが、そのあと兄弟子と二人で喫茶店に入った。今思えば、師匠がわざわざ兄弟子を呼び寄せたのであろう。蝶太兄は芸界のしきたりについて色々教えてくれた。挨拶の仕方に始まって、誰を「師匠」と呼び、...