109.狂言表現を教育に生かす~大阪青山大学学生のみなさんへ~
~将来の保育士・小学校の先生さんたちへ~

春から3回目の授業を終えたところです。あと12回。
今日もいつものように皆さんの出席カードに目を通し、
それぞれの感想や意見にコメントを添えさせて頂きました。
それぞれの色んな感じ方があるんだなあ…すごく勉強になります。
ところで先日、ぼくが学校のスケジュールを勘違いして
「狂言観賞は来週です」と言ってしまったものですから、
ずいぶんがっかりされた方も多いのではないかと思います。
金久寛章先生は、5月15日(木)の来校です。

左が金久寛章先生。
大阪芸術大学舞台芸術学科を卒業後、劇団四季研究所。
その後、大蔵流狂言方安東伸元先生に師事しながら
多くの舞台に立ってきました。
かつて、ぼくも何度も狂言でご一緒させていただきました。
第12回古典伝統国際演劇フェスティバルにおいて名誉ディプロマ賞を受賞。
現在は、舞台を中心に役者として活躍しておられます。
また、『大阪市立咲くやこの花高校』では演劇科講師を勤めています。
写真は先日、兵庫芸術文化センターで開かれた舞台公演『お家さん』の
舞台終演後にロビーで撮ったぼくとのツーショットです。
主役である竹下景子さんとの絡みもあり、かなり見応えがありました。
この授業では、
「狂言」から「型」や「方法」「らしさ」
といったものを抜き出し、
それらをもとに、昔話『桃太郎』を
狂言仕立てにして発表して頂きます。
前回は、まず『桃太郎』を個々にあらすじを思い出し、
それを狂言風に「台詞仕立て」にするところまでいきました。
次回以降は、班ごとにそれぞれの配役を決めて、
「狂言劇」を創作する作業へと移っていきます。

「これはこのあたりに住まいいたす桃太郎でござる。
このあいだより鬼が人間に迷惑をかけて困るによって、
只今より鬼ヶ島に参り鬼をやっつけに参ろうと存ずる。
それにつき、身ども一人では心許ないによって、犬と
猿とキジとを呼び出し、供に連れようと存ずる。やい
やい、犬はおるかやい」「びょうびょうびょう」・・・・・・。
さて、出来栄えはいかに。皆さんの発表を待ちたい。
それでは、前回、皆さんからお預かりした出席カードの一部を
紹介させて頂きます。
コメントの下には、コラム等のアドレスも載せましたので、
どうか参考になさってください。

同じ『桃太郎』でもそれぞれ話が違っていて面白かった。
台詞の言い回しひとつで人物や性格が違って見えるのも面白い。
(M・H男子)
ぼくも色んな『桃太郎』に驚かされました。
その人によって作品のツボが違うものですね。(六)
コラム:モードを取りこむ
狂言は普通に読むのとは違い、言い回しや発声が難しい。
(H・K男子)
言葉の緩急、強弱や高低、ツブ立て、発声法……
落語もそうですが、狂言にも「言葉を伝える」うえで
とても大事なエッセンスが含まれています。
その「方法」をこれから学んでいきましょう。(六)
コラム:大根役者の蘇生法
コラム:密息
パターンが分かればもっと楽に分かるようになるのではないかと
思いました。犬・猿・キジをどのように喋らせたら面白くなるか。
それぞれのフレーズなどを考えたいと思います。(K・R女子)
おっしゃる通りだと思います!
世の中の全てに「型」や「方法」があって、
それを抜き出すことで他のものにも応用できます。
また、それぞれの動物の「らしさ」をいかに表現するか?
Kさんの手腕に期待したいと思います。(六)
コラム:モードを取りこむ
コラム:要素・機能・属性
先生がみんなの書いた台本を狂言にして実演してくれた。
歩いている途中(道行)に台詞を言っているとき、
鬼が島に向けて進んでいる雰囲気がよく表されていた。
幕のない舞台でいかに場面転換を表現するか。
600年の前の知恵には驚かされますよね。(六)
『桃太郎』は、最初の誕生のところは結構覚えていましたが、
どういう経緯で鬼を退治に行ったのか、あまり覚えていなかった。
これを機会に『桃太郎』を読みなおしてみようと思います。
(S・Y男子)
是非、色んな『桃太郎』に触れてみてください。
また、『桃太郎』以外にも他の昔話でも。
それぞれに作者の意図や時代背景が絡んでいるはず。
昨年、申した「プロパガンダ」にも通じています。(六)
コラム:落語の立ち位置
物語は喋るよりも書く方が難しいと思いました。
これからは書く方もしっかりしたいです。
(T・Y男子)
ぼくは昔、落語家の先輩に「お前は作文が下手やろ」と、
言われました。「何でそんなことが分かるんですか」と
聞き返すと、「話の組み立て方が下手やからや」と
言われました。
頭のなかのモヤモヤを紙の上に落としてみる作業は、
きっと話の技術向上にも繋がってくるはずです。(六)
コラム:書くということ
『桃太郎』を子どもたちに分かるように書くのが難しかった。
人によって『桃太郎』が違っているのは面白かった。
(K・A女子)
「誰にこれを届けるか」という意識が大切だと思います。
ぼくは、内田樹先生が講演でおっしゃったこんな言葉が
とても印象に残っています。(六)
「宛先のない手紙は届かない」
これからもっと落語や狂言に触れ合っていこうと思います。
今度いらしてくれる先生に、普通の発声、狂言の発声、
その他の舞台での発声の違いを是非教えてもらいたいです。
(A・M女子)
先にも紹介しましたが、色んな経験をお持ちの先生です。
きっと応えてくれると思いますよ。期待しましょう。(六)
コラム:四股踏みレッスン
物語を全部「 」で表現するのが楽しかったです。
もっと色んな話でこれをやってみたいです。(K・S女子)
お、いいですねえ。意欲的で。
狂言は日本で最初に誕生した台詞劇。
落語は一人芸のなかで唯一、
台詞だけで進展していく芸。
どんどん「台詞芸」を深めていきましょう。(六)

では学生の皆さん、次回は連休明けの8日(木)に学校でお会いしましょう。
遊びすぎ、バイトのしすぎで体調を壊さぬよう。
このブログが皆さんの予習・復習に繋がれば幸いです。
桂蝶六のホームページはこちらから

春から3回目の授業を終えたところです。あと12回。
今日もいつものように皆さんの出席カードに目を通し、
それぞれの感想や意見にコメントを添えさせて頂きました。
それぞれの色んな感じ方があるんだなあ…すごく勉強になります。
ところで先日、ぼくが学校のスケジュールを勘違いして
「狂言観賞は来週です」と言ってしまったものですから、
ずいぶんがっかりされた方も多いのではないかと思います。
金久寛章先生は、5月15日(木)の来校です。

左が金久寛章先生。
大阪芸術大学舞台芸術学科を卒業後、劇団四季研究所。
その後、大蔵流狂言方安東伸元先生に師事しながら
多くの舞台に立ってきました。
かつて、ぼくも何度も狂言でご一緒させていただきました。
第12回古典伝統国際演劇フェスティバルにおいて名誉ディプロマ賞を受賞。
現在は、舞台を中心に役者として活躍しておられます。
また、『大阪市立咲くやこの花高校』では演劇科講師を勤めています。
写真は先日、兵庫芸術文化センターで開かれた舞台公演『お家さん』の
舞台終演後にロビーで撮ったぼくとのツーショットです。
主役である竹下景子さんとの絡みもあり、かなり見応えがありました。
この授業では、
「狂言」から「型」や「方法」「らしさ」
といったものを抜き出し、
それらをもとに、昔話『桃太郎』を
狂言仕立てにして発表して頂きます。
前回は、まず『桃太郎』を個々にあらすじを思い出し、
それを狂言風に「台詞仕立て」にするところまでいきました。
次回以降は、班ごとにそれぞれの配役を決めて、
「狂言劇」を創作する作業へと移っていきます。

「これはこのあたりに住まいいたす桃太郎でござる。
このあいだより鬼が人間に迷惑をかけて困るによって、
只今より鬼ヶ島に参り鬼をやっつけに参ろうと存ずる。
それにつき、身ども一人では心許ないによって、犬と
猿とキジとを呼び出し、供に連れようと存ずる。やい
やい、犬はおるかやい」「びょうびょうびょう」・・・・・・。
さて、出来栄えはいかに。皆さんの発表を待ちたい。
それでは、前回、皆さんからお預かりした出席カードの一部を
紹介させて頂きます。
コメントの下には、コラム等のアドレスも載せましたので、
どうか参考になさってください。

同じ『桃太郎』でもそれぞれ話が違っていて面白かった。
台詞の言い回しひとつで人物や性格が違って見えるのも面白い。
(M・H男子)
ぼくも色んな『桃太郎』に驚かされました。
その人によって作品のツボが違うものですね。(六)
コラム:モードを取りこむ
狂言は普通に読むのとは違い、言い回しや発声が難しい。
(H・K男子)
言葉の緩急、強弱や高低、ツブ立て、発声法……
落語もそうですが、狂言にも「言葉を伝える」うえで
とても大事なエッセンスが含まれています。
その「方法」をこれから学んでいきましょう。(六)
コラム:大根役者の蘇生法
コラム:密息
パターンが分かればもっと楽に分かるようになるのではないかと
思いました。犬・猿・キジをどのように喋らせたら面白くなるか。
それぞれのフレーズなどを考えたいと思います。(K・R女子)
おっしゃる通りだと思います!
世の中の全てに「型」や「方法」があって、
それを抜き出すことで他のものにも応用できます。
また、それぞれの動物の「らしさ」をいかに表現するか?
Kさんの手腕に期待したいと思います。(六)
コラム:モードを取りこむ
コラム:要素・機能・属性
先生がみんなの書いた台本を狂言にして実演してくれた。
歩いている途中(道行)に台詞を言っているとき、
鬼が島に向けて進んでいる雰囲気がよく表されていた。
幕のない舞台でいかに場面転換を表現するか。
600年の前の知恵には驚かされますよね。(六)
『桃太郎』は、最初の誕生のところは結構覚えていましたが、
どういう経緯で鬼を退治に行ったのか、あまり覚えていなかった。
これを機会に『桃太郎』を読みなおしてみようと思います。
(S・Y男子)
是非、色んな『桃太郎』に触れてみてください。
また、『桃太郎』以外にも他の昔話でも。
それぞれに作者の意図や時代背景が絡んでいるはず。
昨年、申した「プロパガンダ」にも通じています。(六)
コラム:落語の立ち位置
物語は喋るよりも書く方が難しいと思いました。
これからは書く方もしっかりしたいです。
(T・Y男子)
ぼくは昔、落語家の先輩に「お前は作文が下手やろ」と、
言われました。「何でそんなことが分かるんですか」と
聞き返すと、「話の組み立て方が下手やからや」と
言われました。
頭のなかのモヤモヤを紙の上に落としてみる作業は、
きっと話の技術向上にも繋がってくるはずです。(六)
コラム:書くということ
『桃太郎』を子どもたちに分かるように書くのが難しかった。
人によって『桃太郎』が違っているのは面白かった。
(K・A女子)
「誰にこれを届けるか」という意識が大切だと思います。
ぼくは、内田樹先生が講演でおっしゃったこんな言葉が
とても印象に残っています。(六)
「宛先のない手紙は届かない」
これからもっと落語や狂言に触れ合っていこうと思います。
今度いらしてくれる先生に、普通の発声、狂言の発声、
その他の舞台での発声の違いを是非教えてもらいたいです。
(A・M女子)
先にも紹介しましたが、色んな経験をお持ちの先生です。
きっと応えてくれると思いますよ。期待しましょう。(六)
コラム:四股踏みレッスン
物語を全部「 」で表現するのが楽しかったです。
もっと色んな話でこれをやってみたいです。(K・S女子)
お、いいですねえ。意欲的で。
狂言は日本で最初に誕生した台詞劇。
落語は一人芸のなかで唯一、
台詞だけで進展していく芸。
どんどん「台詞芸」を深めていきましょう。(六)

では学生の皆さん、次回は連休明けの8日(木)に学校でお会いしましょう。
遊びすぎ、バイトのしすぎで体調を壊さぬよう。
このブログが皆さんの予習・復習に繋がれば幸いです。
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