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117.チンドン・あめちゃん・寄席囃子

チンドンを生んだのは飴ちゃんである。


昔、大阪千日前のテキ屋さんのところに『飴勝』という若い衆。
この方は飴を売る口上が実に上手い。

その頃、大阪では寄席のポスターを禁止されていた。
「それじゃあ」ということで、頼みの綱となったのがこの『飴勝』さんであった。

『飴勝』さんは、飴売り口上の節で寄席を宣伝して廻った。

すると、これがかなりの評判となり、
やがてこの方は「代理宣伝業」を生業とするようになった。
つまり、これが「チンドン屋」さんのルーツである。


このことはものがたり芸能と社会に詳しい。

ものがたり芸能と社会ものがたり芸能と社会
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小沢 昭一

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さて、実はこのたび、私事だが、ぼくの独演会に
チンドン屋さんがゲストで出演してくれることになった。

ここは誰もが認める日本一のチンドン屋さんである。

第15回「蝶六の会」


え?チンドンが寄席の舞台に?と思われる方もあろう。
しかし、そもそも芸の多くは大道芸から始まっている。

落語も野天から始まった。

江戸中期、米沢彦八なる人物が、
谷町九丁目・生国魂神社の境内において
よしず張りの小屋で落語を演じたと文献にもある。

座布団の前の小机=見台は、その名残でもある。
これを小拍子と張り扇でパチパチ叩き、道行く人の気を惹き寄せた。

彦八まつり神社入り口
毎年九月になると開催される『彦八まつり』
年に一度の、落語家による落語ファンへの感謝デーだ。
高座はもちろん、境内の屋台も落語家が担当している。


『彦八まつり実行委員会へのリンク ↓↓↓
http://www.kamigatarakugo.jp/hikohachi_img/14/24%20hikohachi%20flyer.pdf

能舞台
能狂言も、元はといえば屋外で演じられていた。
能舞台の背景にある鏡板の老松はその名残。



さて先日、ぼくは独演会の打ち合わせをするため、
谷町六丁目にあるチンドン通信社を訪れた。

チンドン通信社看板

こちらの営業を取り仕切っている猪俣はじめさんには
大阪芸術大学の落研時代からずいぶんお世話になっている。
(ぼくは一年で学校を卒業させて頂いたが)

猪俣氏とぼくと生喬
大阪芸術大学落研出身の三名。
(左からぼく、笑福亭生喬、猪俣はじめ氏)


ぼくは、打ち合わせの際、こう切り出した。

「トリ(最後の演目)の前のモタレなので、
あまりコッテリやられても困るし、
サラッとやって頂いて、なおかつ感心も得心もさせて・・・・・・」

すると、猪俣さんのこう応えられた。

「ええ、うちは相手を立てるのが仕事ですから」。


ぼくは先輩に対し、
何という愚問を投げかけたのだろう。


そう言えば、昔、代表の林幸治郎氏が、
著書のなかでこんなことをおっしゃっていた。

「チンドンの音楽は
歓迎する人たちばかり相手にしていられない。
聞きたくない人まで視野に入れ、
尊重せないかん宿命がある。
しかも、そんな彼等の存在を肯定的にとらえる事で、
逆に自分たちの居場所を大いに確保していくという
ややこしい関係になっているんです」。


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つまり、常に自分たちの立ち位置をはかりながら
練り歩いていくのがチンドン屋。

チンドン屋は究極のモタレ芸でもある。


「芸人は行く先々の水に合わねば」の
王道を歩んでいる。


『コラム:チンドンと落語』へのリンク ↓↓↓
http://choroku569.blog.fc2.com/blog-entry-30.html


ところで今回、『ちんどん通信社』は『囃子座』という名に変え、
チンドンの代名詞ともいうべきのメイクも無しにすっぴんである。

囃子座3人組
『ちんどん通信社』の古参3名で結成された『囃子座』。
左から、小林信之介、林幸治郎、ジャージ川口。


野天から小屋に移り、落語は「仕方咄」という形に発展した。
これは身振り手真似をまじえた咄。つまり、今の落語である。
落語の「物語性」も小屋なくしては完成しなかった。

チンドンもまた、小屋に入ることで、
新たなカスタマイズを繰り返していくことになるだろう。

チンドンがいずれ
寄席の定番になるのは
間違いない。



歴史が物語るように、
チンドンは「飴ちゃん」から生まれた
大阪発祥の文化である。
同時に、大阪のおばちゃん文化は
「飴ちゃん」なしには語れない。


そして、近い将来、千日前あたりで、
『彦八まつり』ならぬ『飴勝まつり』が開かれたなら、
ぼくは真っ先に駆けつけよう。

その前に、まず

NHK大阪は、朝の連続ドラマ小説
『あまちゃん』ならぬ、
『あめちゃん』を制作すべきである。





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蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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