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144.バッハと落語~関西室内楽教会の皆さんとともに~

「落語とは業の肯定である」とおっしゃったのは、
東京の故・立川談志師匠でした。

「人間っていうものは、
酒にしろ女にしろダメだって頭で分かっていてもついやっちまうもん。
それを描いたものが落語なんだ」という主張です。


先日、ぼくはクラシックの演奏会に語り部として参加させて頂きました。

コーヒーカンタータ、演奏
関西室内楽協会の皆さんとのコラボ。天満教会にて。

さて、所変われば品変わるものです。

その昔、トルコから発展したコーヒーは
17世紀頃になってヨーロッパに上陸、
ベネチアからフランス、オランダ、イギリス、ドイツ、オーストリアと
広まっていったそうです。

イギリスのコーヒー店ではコーヒーを提供するのみならず
様々な議論がなされるようになり歴史や文化をつくる場となっていきますが、
一方で、そういったコーヒーハウスに入り浸る亭主族への抗議から、
「コーヒーハウス反対運動」や「コーヒー有害論」にまで発展したと言います。


さて、イギリスに遅れること20年、ドイツでもコーヒー騒動が起こります。
「女性はコーヒーを飲むべきではない」とされ、
コーヒーハウスはもちろん女人禁制。


そんなコーヒーハウスで演奏していたのがバッハ。
バッハはビガンダーという詩人の歌に曲をつけました。

厳格な父シュレンドリアンと奔放な娘リースフェンのやりとり。
家父長制が当たり前だった時代、「コーヒーカンタータ」という曲です。


「コーヒーは素晴らしい」と歌い上げる娘に対して、
「コーヒーをやめないなら結婚はさせない」という父。
さすがの娘も「コーヒーをやめるわ」ととうとう根負け。
しかしこれは娘の作戦でした。結婚を直前にした娘は父に対してこう言います。
「お婿さんになる人に結婚契約書を書いて欲しいの」。

その契約書にはこんな文言が。

「妻が望んだら
いつでもコーヒーを飲ませるように」。


おあとがよろしいようで。
最後は、こんな三重唱で「コーヒーカンタータ」の幕が下ります。

「おばあちゃんも、お母さんも、
娘たちも、みんなコーヒーが大好き。
誰が何と言おうと
そんなに簡単にやめられるものではないわ」



威張ってる者が言い負かされて幕が下りる。
これ、喜劇の鉄則ですな。


コーヒーカンタータ、直前の楽屋
ぼくはずっと思い悩んでいました。
「ぼくの喋りが演奏の邪魔にならないだろうか」
「どこまでギャグが許されるか」
直前まで何度も手直し。
で、本番はいつもの「ええい、ままよ」



コーヒーカンタータ、カーテンコール1

コーヒーカンタータ、カーテンコール2

カーテンコールではぼくの出囃子「井出の山吹」をサプライズ演奏して下さいました。
三味線の音を洋楽器で拾うのは大変だったろうと思う。




落語の「業の肯定」に重ねつつ語らせていただいた今回の「コーヒーカンタータ」。
次回は、「農民カンタータ」なんてどうだろう。

村娘と農夫のやりとりなんてオモシロそう。
ちょっとセクハラまがいかもしれませんが。


近いうち、必ずまたコラボさせていただきたいと思います。
「関西室内楽協会」の皆さん、ありがとうございました!!!


バッハで「業の肯定」を叫ぶど!!!

コーヒーカンタータ、打ち上げ
打ち上げでは、次の構想について喧々諤々の皆さん。

スキャン_20150804
次に呼んでいただけることを心待ちにしています。



◆関西室内楽教会のサイトはこちらから

◆花團治公式サイトはこちらから
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蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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