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151上方落語の復活~戦後70年~

初代花團治は、終戦の3年前、
二代目花團治は、終戦の年に命を落とした。
ゆえに、二人とも「楽語荘」メンバーでありながら、
終戦後初・落語会への出演が叶わなかった。

このたび、終戦後復活落語70周年の企画が持ち上がった。
不肖、この三代目がその記念すべき「11月21日」の前座を務めることになった。

戦前の寄席事情から「楽語荘」誕生、終戦後の落語復活までの軌跡を
ここに記しておこうと思う。

戦後70年落語会



まだテレビ・ラジオのなかった時代、落語は娯楽の王道だった。
戦前は大阪の町のあちらこちらに寄席小屋が存在した。
しかし、ラジオの放送が始まり、
エンタツ・アチャコというスターが誕生したあたりから
寄席の中心も落語から漫才へと移行していった。
落語の出番は当然減っていった。
また、席主の意向により
軽口(漫才)や滑稽踊りへの転向を余儀なくされた落語家も少なからずいた。


初代花團治チラシ
落語家が漫才への転向を余儀なくされ始めた頃。トリに初代花團治(花團次)の名前がある。
(上方芸能研究史家・前田憲司・蔵)


エンタツ・アチャコ
エンタツ・アチャコ

そんななか、「このままでは落語という芸能が滅んでしまう」と
強い危機感を持ったのが五代目笑福亭松鶴師匠だった。
五代目師匠は東成区片江の自宅を『楽語荘』と名付け、
落語研究と新人養成に務めた。

五代目笑福亭松鶴
五代目笑福亭松鶴

楽語荘メンバー
左から、旭堂小南陵(のちの三代目旭堂南陵)、桂あやめ(後の五代目桂文枝、桂米之助、笑福亭枝鶴(のちの六代目笑福亭松鶴)、
前の子どもが和多田勝(当時、笑福亭小つる)


初代花團治は、落語への愛着とこだわりから、
寄席の世界から一旦身を引くことになる。
二代目花團治は、弟弟子の桂金之助と軽口(漫才)のコンビを組まされた。
しかし、五代目師匠の『楽語荘』結成により、
初代も二代目も、落語の世界に返り咲いたのである。

初代花團治500
初代花團治

二代目花團治500
二代目桂花團治


花團治代々について(花團治公式サイト)は
こちらから是非ご覧ください。




『楽語荘』の機関誌『上方はなし』の第一号で
五代目師匠は「巻頭言」としてこのように述べておられる。

「落語界の衰退ということがしきりに云々される。
漫才興隆して落語は凋落すともいわれる。
いわれるばかりでなく、事実が既にこれを雄弁に物語りつつある。
そしてこの事実は落語家自身の罪であるようにいわれることが多い。
なるほど、出てくる人物がいつまでも八つぁん熊さんでは困る。
江戸末期の世帯人物をそのまま踏襲してそれ以上に出ないこと、
それが昭和の御代、1936年の今日まで通用するわけがない。(後略)」。



昭和20年、日本は終戦を迎えた。


大半の寄席や劇場は大阪空襲で焼けてしまってもはや跡形もない。
闇市が横行していた。
市民は生きるだけでも精一杯の時代だった。それでも、


「こんな時だからこそ落語会をやろう」と言いだしたのは
五代目笑福亭松鶴師匠だった。


戦後復活第一回落語会
戦後初の落語会の案内状(上方芸能史家・前田憲司・蔵)

会場には焼野原のなか、ポツンと残された四天王寺の本坊客殿が選ばれた。
終戦の8月15日からわずか3か月、その年の11月21日午後1時、
大阪四天王寺本坊客殿は大勢の客でごった返した。
市民もまた「こんな時だからこそ」笑いを求めた。
そうして一度は滅びかけた落語界も大きく前進し始めた。
しかし、そんな矢先の昭和25年、五代目師匠が脳溢血で倒れ帰らぬ人となってしまった。

次いで昭和26年には立花家花橘師、四代目米團治師、
昭和27年には二代目林家染丸師、
昭和28年には二代目桂春團治師匠と、当時の大看板が相次いで亡くなった。
新聞はこぞって「此れで上方落語は滅びた」と書き立てた。


その頃はまだ若干28歳だった三代目春團治師匠が当時をこう振り返った。
「六代目(松鶴)さんとな、そらわしらが力合わせないかんなあて話をしてな、
それから米朝さんや文枝くん(五代目)もみんなで頑張った」。

ブログ:福團治、ぼく、春團治
右から三代目桂春團治、ぼく、桂福團治

今や落語界は250名を超える大所帯である。
今年は戦後に落語会が復活して70年の節目。
寄席ではその記念企画が予定されている。
ぼくもそのひとつに出演が決まった。
ここに「花團治」という看板を上げていただいた。
誠にありがたいことだと心より感謝している。

戦後70年落語会

文枝事務所
花團治襲名の報告に伺った際の一枚。桂文枝事務所にて。
この時、文枝会長が「君も協力してや」と襲名行事監修の上方芸能史家・前田憲司先生におっしゃった。
手前の大きな背中が前田憲司先生。(撮影:相原正明)


終戦後復活落語70周年落語会の詳細は
こちらの花團治公式サイト「出演情報」から
ご覧いただけます。
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蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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