162.桂ざこ團治襲名か?~我ら日本團治!~
蝶六改メ、三代目桂花團治襲名 - 2016年04月04日 (月)
「團治ちゅう名前はよろしいなぁ。
春團治、小春團治、梅團治、花團治……
シュッとして恰好よろしいがな。
わたしも、ざこ團治にしよかしらん。
……あぁ、米團治もおったな。
あんなんはどうでもよろし」
昨年の4月26日、
池田アゼリアホールでの襲名披露公演でのこと。

日本経済新聞2015年4月27日
お客さんも「ざこば節」に大喜び。
会場はひときわ大きな笑いに包まれた。
「米團治もおったな」は、
米團治師匠を幼少からよく知っている身内だからこそのギャグ。
それはもう誰の目からもあきらかだった。
でもその時、大事な名前を忘れていることは、
おそらく客席にいた半数以上の方々が
気づいておられただろうと思う。
そう、その場にも並んでおられた
福團治師匠の名前である。

左から、桂春之輔師匠(司会)、桂福團治師匠、ぼく、桂文枝師匠、桂ざこば師匠
撮影:相原正明
しかし、披露口上はそのまま進んで、
いよいよ締めの手打ちということになった。
文枝師匠による大阪締め。
「では、みなさま、花團治くんの益々の~」と、
切り出したその瞬間、
ざこば師匠が、その言葉を遮った。
「ゴメン!
福團治兄ちゃんの名前、忘れてた!」
こ、このタイミングでそれを……
文枝師匠も、司会を務めてくださった春之輔師匠も、
これには思わずズッコケた。
場内はもう、大爆笑!!!!!!!!!
「春之輔〜!
なんで、お前、言うてくれへんねん」。
この瞬間がその日一番のクライマックス。
ざこば師匠がわざとでなく、
その時、本当に失念されていたことは、
あとの楽屋の会話でもよくわかった。
「福團治兄ちゃん、ホンマにごめんなさい」。
ざこば師匠は平謝りに謝っておられた。
でも、ざこば師匠のそれは、
まさに笑いの神の降臨だった。

撮影:山田りこ(初代花團治ひ孫)
ちなみにその時、福團治師匠だけは
ズッコケることなく、一人微動だにしなかった。
実は、長襦袢を白襟にするのを忘れてしまい、
代わりに、誰かの襟芯を借りて
首のところに挟んでいたのだ。
「蝶六ちゃん、わしな、ズレたら恰好悪いさかい、
でけるだけ首を動かさんようにしてるわな」。

挨拶回りでは、福團治師匠が一緒にまわってくださった。
写真:前列左から前田憲司先生(芸能史研究家)、桂福團治師匠
後列左から、ぼく、今井三紗子さん(福團治事務所)
撮影:相原正明
・・・・・・・今、思い出しても、
舞台も楽屋もドタバタで、楽しい御披露目だった。
ところで、ぼくの花團治襲名は、
米朝師匠の新聞コラムがきっかけだった。
「團治の名前は、春團治以外にも、
玉團治、米團治、麦團治……いろいろある」。
この一文をたまたま初代花團治の曾孫さんが目にしたおかげで
今に繋がっている。
このことについて、ぼくは「大阪日日新聞」のコラムでも触れている。(下記アドレスをクリック)👉👉👉
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/miotukusi/150417/20150417033.html
さて、「落語系図」(昭54年、名著刊行会発行)を開けると、
「團治」名があるわあるわ……。
文團治、米團治、春團治、麦團治、花團治、菊團治、玉團治、團治、小春團治、福團治、東團治、馬團治、正團治、梅團治、篤團治、鶴團治、小團治、歌團治、鯛團治、松團治、粉團治、笑團治……
もっとも、そこに
「ざこ團治」の名はありませんでした。
一説によると、「團治」名というのは、
市川右團次、市川左團次といった、
歌舞伎役者の名前にあやかってのことらしい。
当時のチラシを見れば、落語家の名前も「治」を使わずに、
「次」を使ったものが数多く見られますが、
こうしたことも背景にあるのかも知れません。

このチラシでは、「花團治」の「治」が「次」になっています。

落語系図(名著刊行会、昭和54年)
世界で最も有名な「團治」名・春團治師匠がお隠れになった今、
現在、現役で高座に上がる「團治」名の落語家は、
福團治、米團治、小春團治、梅團治、花團治の5名。
そんなわけで、このたび
「いけだ落語うぃーく」の千秋楽には、
この5名が番組に並びます。
我ら日本團治!!!
4月24日(日)は、
「團治」を象徴する存在だった「三代目桂春團治」の追善落語会です。
大師匠の思い出噺にも花を咲かそうという企画です。
ぜひお越しくださいね。

※24日(日)「春團治追善落語会」にご来場のお客様には、
三代目桂春團治オリジナル手拭をプレゼント!!!
👉👉 詳細はこちらの花團治公式サイトからご覧くださいませ。(ここをクリック!)
春團治、小春團治、梅團治、花團治……
シュッとして恰好よろしいがな。
わたしも、ざこ團治にしよかしらん。
……あぁ、米團治もおったな。
あんなんはどうでもよろし」
昨年の4月26日、
池田アゼリアホールでの襲名披露公演でのこと。

日本経済新聞2015年4月27日
お客さんも「ざこば節」に大喜び。
会場はひときわ大きな笑いに包まれた。
「米團治もおったな」は、
米團治師匠を幼少からよく知っている身内だからこそのギャグ。
それはもう誰の目からもあきらかだった。
でもその時、大事な名前を忘れていることは、
おそらく客席にいた半数以上の方々が
気づいておられただろうと思う。
そう、その場にも並んでおられた
福團治師匠の名前である。

左から、桂春之輔師匠(司会)、桂福團治師匠、ぼく、桂文枝師匠、桂ざこば師匠
撮影:相原正明
しかし、披露口上はそのまま進んで、
いよいよ締めの手打ちということになった。
文枝師匠による大阪締め。
「では、みなさま、花團治くんの益々の~」と、
切り出したその瞬間、
ざこば師匠が、その言葉を遮った。
「ゴメン!
福團治兄ちゃんの名前、忘れてた!」
こ、このタイミングでそれを……
文枝師匠も、司会を務めてくださった春之輔師匠も、
これには思わずズッコケた。
場内はもう、大爆笑!!!!!!!!!
「春之輔〜!
なんで、お前、言うてくれへんねん」。
この瞬間がその日一番のクライマックス。
ざこば師匠がわざとでなく、
その時、本当に失念されていたことは、
あとの楽屋の会話でもよくわかった。
「福團治兄ちゃん、ホンマにごめんなさい」。
ざこば師匠は平謝りに謝っておられた。
でも、ざこば師匠のそれは、
まさに笑いの神の降臨だった。

撮影:山田りこ(初代花團治ひ孫)
ちなみにその時、福團治師匠だけは
ズッコケることなく、一人微動だにしなかった。
実は、長襦袢を白襟にするのを忘れてしまい、
代わりに、誰かの襟芯を借りて
首のところに挟んでいたのだ。
「蝶六ちゃん、わしな、ズレたら恰好悪いさかい、
でけるだけ首を動かさんようにしてるわな」。

挨拶回りでは、福團治師匠が一緒にまわってくださった。
写真:前列左から前田憲司先生(芸能史研究家)、桂福團治師匠
後列左から、ぼく、今井三紗子さん(福團治事務所)
撮影:相原正明
・・・・・・・今、思い出しても、
舞台も楽屋もドタバタで、楽しい御披露目だった。
ところで、ぼくの花團治襲名は、
米朝師匠の新聞コラムがきっかけだった。
「團治の名前は、春團治以外にも、
玉團治、米團治、麦團治……いろいろある」。
この一文をたまたま初代花團治の曾孫さんが目にしたおかげで
今に繋がっている。
このことについて、ぼくは「大阪日日新聞」のコラムでも触れている。(下記アドレスをクリック)👉👉👉
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/miotukusi/150417/20150417033.html
さて、「落語系図」(昭54年、名著刊行会発行)を開けると、
「團治」名があるわあるわ……。
文團治、米團治、春團治、麦團治、花團治、菊團治、玉團治、團治、小春團治、福團治、東團治、馬團治、正團治、梅團治、篤團治、鶴團治、小團治、歌團治、鯛團治、松團治、粉團治、笑團治……
もっとも、そこに
「ざこ團治」の名はありませんでした。
一説によると、「團治」名というのは、
市川右團次、市川左團次といった、
歌舞伎役者の名前にあやかってのことらしい。
当時のチラシを見れば、落語家の名前も「治」を使わずに、
「次」を使ったものが数多く見られますが、
こうしたことも背景にあるのかも知れません。

このチラシでは、「花團治」の「治」が「次」になっています。

落語系図(名著刊行会、昭和54年)
世界で最も有名な「團治」名・春團治師匠がお隠れになった今、
現在、現役で高座に上がる「團治」名の落語家は、
福團治、米團治、小春團治、梅團治、花團治の5名。
そんなわけで、このたび
「いけだ落語うぃーく」の千秋楽には、
この5名が番組に並びます。
我ら日本團治!!!
4月24日(日)は、
「團治」を象徴する存在だった「三代目桂春團治」の追善落語会です。
大師匠の思い出噺にも花を咲かそうという企画です。
ぜひお越しくださいね。

※24日(日)「春團治追善落語会」にご来場のお客様には、
三代目桂春團治オリジナル手拭をプレゼント!!!
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