247.時代に翻弄された落語家~初代&二代目・花團治クロニクル
◆初代春団治やエンタツ・アチャコと共に
ナンセンスな演出などで一部の評論家から
「落語の破壊王」と
批判の対象になることもあった爆笑王・初代桂春団治。
漫才師として初めてスーツ姿で舞台に立ち、
それまで音曲が中心だった萬歳から音曲を無くし、
しゃべくりのみに変えた「近代漫才の父」
横山エンタツ・花菱アチャコ。
初代・二代目花團治は、
こうした時代の変革者たちと同時代に生きた咄家でした。
1875(明治8)初代花團治生まれる
1878(明治11)初代春団治生まれる
1884(明治17)五代目松鶴生まれる
1896(明治29)横山エンタツ生まれる
1897(明治30)花菱アチャコ生まれる
1897(明治30)二代目花團治生まれる

手前から、男性3人目が二代目桂花團治(当時・花次)
女性を一人挟んでお酌してもらうアチャコ 写真提供:前田憲司

二代目花團治(手前から4人目) 写真提供:前田憲司
◆吉本の専属第一号だった初代花團治
明治の文明開化と共に西洋文化が日本へ流入、
やがて和洋折衷「大正ロマン」の流行が生まれました。
日本初のオリジナルポップミュージックとしても知られる
「カチューシャの唄」はそんな時代の落し子。
初代花團治が吉本興業の専属になったのは大正元年。
色気のある芸風で定評がありました。
1912(大正元年)吉本が「天満天神」裏で寄席経営に乗り出す
1912(大正元年)新世界に初代「通天閣」完成
1912(大正元年)初代花團治が吉本専属第一号
1914(大正3)「カチューシャの唄」(松井須磨子)
1914(大正3)吉本の寄席チェーン化が進む
1916(大正5)二代目花團治入門(19歳)

初代花團治

二代目花團治
◆落語から漫才の時代へ
漫才の台頭と共に吉本が勢力を伸ばしていった頃、
二代目花團治も吉本の意向で漫才や喜劇役者として活躍。
一方、初代花團治は寄席の世界から身を引き、
絵画で生計を立てるようになりました。

初代花團治の描いた絵
1920(大正9)初代花團治が寄席の世界から一旦身を引く(45歳)
1921(大正10)初代春団治が吉本専属になる
1926(大正15)花次が吉本の若手落語家グループ「花月ピクニック」に参加(29歳)※下記写真
1927(昭和2)吉本主催の「全国漫才座長大会」に花次(二代目花團治)も漫才で参加
1928(昭和3)「私の青空」(二村定一・天野喜久代)
1929(昭和4)「浪花小唄」(藤本二三吉)
1930(昭和5)エンタツ・アチャコ結成
1934(昭和9)初代春団治亡くなる(享年57)
1934(昭和9)二代目春団治襲名
1935(昭和10)五代目松鶴襲名
1937(昭和12)日中戦争始まる

後列左から三人目が二代目花團治(当時・花次29歳) 写真提供:前田憲司
◆上方落語・存続の危機
「このままでは上方落語がなくなってしまう」と
危機感を覚えた五代目笑福亭松鶴は吉本を飛び出し、
今里片江の自宅を事務所に「楽語荘」を発足。
花團治の初代も二代目も共に参加
初代は17年ぶりの高座復帰でした。
1937(昭和12)五代目松鶴が「楽語荘」発足
1937(昭和12)花團治の初代・二代目が「楽語荘」参加(初代は17年ぶりの高座復帰)
1940(昭和15)「蘇州夜曲」(渡辺はま子)
1941(昭和16)太平洋戦争勃発
1942(昭和17)初代花團治没(享年67)
1942(昭和17)「南の花嫁さん」(高峰三枝子)

五代目笑福亭松鶴
◆大阪大空襲
五代目松鶴の意向で
二代目花團治を継いだ桂花次は、
その翌年、
「第四次大阪大空襲」の犠牲に。
1944(昭和19)二代目花團治襲名(47歳)
1945(昭和20)6月15日 第四次「大阪大空襲」により二代目花團治没(享年48)
1945(昭和20)8月15日、終戦
1945(昭和20)「リンゴの唄」(並木路子)が戦後ヒット曲第一号

二代目花團治(当時・花次)は喜劇でも活躍 資料提供:前田憲司


「第7回・花團治の会」ゲストのお二人(左から青木美香子・仮屋崎郁子)
▶花團治公式サイトはこちらをクリック!
ナンセンスな演出などで一部の評論家から
「落語の破壊王」と
批判の対象になることもあった爆笑王・初代桂春団治。
漫才師として初めてスーツ姿で舞台に立ち、
それまで音曲が中心だった萬歳から音曲を無くし、
しゃべくりのみに変えた「近代漫才の父」
横山エンタツ・花菱アチャコ。
初代・二代目花團治は、
こうした時代の変革者たちと同時代に生きた咄家でした。
1875(明治8)初代花團治生まれる
1878(明治11)初代春団治生まれる
1884(明治17)五代目松鶴生まれる
1896(明治29)横山エンタツ生まれる
1897(明治30)花菱アチャコ生まれる
1897(明治30)二代目花團治生まれる

手前から、男性3人目が二代目桂花團治(当時・花次)
女性を一人挟んでお酌してもらうアチャコ 写真提供:前田憲司

二代目花團治(手前から4人目) 写真提供:前田憲司
◆吉本の専属第一号だった初代花團治
明治の文明開化と共に西洋文化が日本へ流入、
やがて和洋折衷「大正ロマン」の流行が生まれました。
日本初のオリジナルポップミュージックとしても知られる
「カチューシャの唄」はそんな時代の落し子。
初代花團治が吉本興業の専属になったのは大正元年。
色気のある芸風で定評がありました。
1912(大正元年)吉本が「天満天神」裏で寄席経営に乗り出す
1912(大正元年)新世界に初代「通天閣」完成
1912(大正元年)初代花團治が吉本専属第一号
1914(大正3)「カチューシャの唄」(松井須磨子)
1914(大正3)吉本の寄席チェーン化が進む
1916(大正5)二代目花團治入門(19歳)

初代花團治

二代目花團治
◆落語から漫才の時代へ
漫才の台頭と共に吉本が勢力を伸ばしていった頃、
二代目花團治も吉本の意向で漫才や喜劇役者として活躍。
一方、初代花團治は寄席の世界から身を引き、
絵画で生計を立てるようになりました。

初代花團治の描いた絵
1920(大正9)初代花團治が寄席の世界から一旦身を引く(45歳)
1921(大正10)初代春団治が吉本専属になる
1926(大正15)花次が吉本の若手落語家グループ「花月ピクニック」に参加(29歳)※下記写真
1927(昭和2)吉本主催の「全国漫才座長大会」に花次(二代目花團治)も漫才で参加
1928(昭和3)「私の青空」(二村定一・天野喜久代)
1929(昭和4)「浪花小唄」(藤本二三吉)
1930(昭和5)エンタツ・アチャコ結成
1934(昭和9)初代春団治亡くなる(享年57)
1934(昭和9)二代目春団治襲名
1935(昭和10)五代目松鶴襲名
1937(昭和12)日中戦争始まる

後列左から三人目が二代目花團治(当時・花次29歳) 写真提供:前田憲司
◆上方落語・存続の危機
「このままでは上方落語がなくなってしまう」と
危機感を覚えた五代目笑福亭松鶴は吉本を飛び出し、
今里片江の自宅を事務所に「楽語荘」を発足。
花團治の初代も二代目も共に参加
初代は17年ぶりの高座復帰でした。
1937(昭和12)五代目松鶴が「楽語荘」発足
1937(昭和12)花團治の初代・二代目が「楽語荘」参加(初代は17年ぶりの高座復帰)
1940(昭和15)「蘇州夜曲」(渡辺はま子)
1941(昭和16)太平洋戦争勃発
1942(昭和17)初代花團治没(享年67)
1942(昭和17)「南の花嫁さん」(高峰三枝子)

五代目笑福亭松鶴
◆大阪大空襲
五代目松鶴の意向で
二代目花團治を継いだ桂花次は、
その翌年、
「第四次大阪大空襲」の犠牲に。
1944(昭和19)二代目花團治襲名(47歳)
1945(昭和20)6月15日 第四次「大阪大空襲」により二代目花團治没(享年48)
1945(昭和20)8月15日、終戦
1945(昭和20)「リンゴの唄」(並木路子)が戦後ヒット曲第一号

二代目花團治(当時・花次)は喜劇でも活躍 資料提供:前田憲司


「第7回・花團治の会」ゲストのお二人(左から青木美香子・仮屋崎郁子)
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