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250.軽口仁輪加・考~春團治・五郎兵衛一門とニワカの深~い関係~

今、繁昌亭では「15周年記念特別公演」の真っ最中。
9月6日(月)から12日(日)は
「春團治・五郎兵衛ウィーク」


落語はもちろんのこと、今回ぼくが特に見て頂きたいのが
「軽口仁輪加」なんです。


・・・ということで、今回は「軽口仁輪加」のご紹介です。


「軽口仁輪加」とは、
今でいうコントや漫才のようなもの。
ダジャレやスカタンを言いながら、
歌舞伎の芝居の真似事などをする芸。
新喜劇の源流という説もあります。

ルーツは江戸時代に遡ります。
江戸時代の作家・十返舎一九の著した「東海道中膝栗毛」で、
弥次さん・喜多さんの二人連れが天満の天神さんを訪れたときに、
「軽口物真似」という芸が紹介されていますが、これが「軽口仁輪加」の源流。
歌舞伎役者の声帯模写をしたり、しぐさ・身振りを真似たりしたそうです。

つまり「軽口仁輪加」は、もともとは大道芸でした。
明治に入ってから寄席芸として確立しました。
色物としてだけではなく、
「軽口仁輪加」専門の小屋もあったそうです。

NHK朝の連続ドラマ小説「わろてんか」では
寄席風景のなかで紹介されていましたが、
このとき、「軽口仁輪加」を演じていたのは
露の団四郎・露の団六のご両人。

団四郎師は、「軽口仁輪加」の名跡である
一輪亭花咲(いちりんていはなさく)を襲名
しています。

花咲の先代は団四郎師の師匠である露の五郎兵衛師


fcにわか稽古、団四郎、梅團治_convert_20210831023850
仁輪加の稽古をつける四代目一輪亭花咲こと露の団四郎師
(奥から、露の団姫、露の団四郎、桂梅團治)





ところで、「軽口仁輪加」といえば、
紙で作った張り子の鬘・ボテ鬘(かずら)がおなじみですが、
本鬘を使わないのには、ちゃんと理由がありました。

明治時代の芸人は税制により、営業をするには、
「遊芸稼ぎ人」という鑑札を手に入れる必要がありました。

このとき、もし「ボテ鬘」ではなく、「本鬘」を使うとなれば、
「一等俳優」とか、「二等俳優」という鑑札になり、
税金は何倍にも膨れ上がった
とか。

つまり、単に「安上がりだから」というだけでなく、
にわか師にとって、ボテ鬘は税金対策でもありました。

しかし、にわか師のなかには、
「ボテ鬘」を拒否する芸人もいたようで、
税金を多く払ってでも「本鬘」にこだわる人もいました。

その一人が「鶴屋団十郎」という方。

鶴屋は、江戸時代に活躍した歌舞伎戯作者「鶴屋南北」から、
団十郎は、歌舞伎の大名跡「団十郎」からちょっと拝借。
「鶴屋団十郎」の一座は当時大人気を博したようです。

この鶴屋団十郎の弟子の一人に、「団治」というお方が、
後に(初代)渋谷天外を名乗り、
その息子の二代目渋谷天外が松竹新喜劇を創設。
NHK朝の連続ドラマ小説「おちょやん」では、
この二代目天外を成田凌が演じていました。
「軽口仁輪加」が新喜劇のルーツと呼ばれる所以です。

fcにわか、参考書_convert_20210831024328
今回はこちらの本を参考にさせていただきました。


にわか師のなかには、
落語家から転向する人も多く、
その第一号が、初代桂梅團治


(今の梅團治師は四代目)
桂梅團治・桂篤團治のコンビで「軽口仁輪加」を演じました。

どうやら花團治の先代も「軽口仁輪加」を
演じていたみたいです。



五郎兵衛一門にも、春團治一門にも縁の深い「軽口仁輪加」。
その演目のひとつである「宝蔵」を、
「繁昌亭15周年記念特別公演」の
「春團治・五郎兵衛ウィーク」にて、
日替わりコンビで披露します。

組み合わせによってこうも趣が変わるものか。
ちなみに、ぼくは親子ほども歳の離れた瑞との掛け合い。
瑞がツッコミで、ぼくがボケ担当。
お稽古でもコテンパンにやられっぱなし。
それを観ていた我がムスメ3歳は
手を叩いてめっちゃ笑ってました。

fcにわか稽古、瑞と_convert_20210831024055
花團治宅稽古場にて(左から露の瑞、わがムスメ、ぼく)




【繁昌亭・春團治&五郎兵衛一門ウィーク・軽口仁輪加】

6日(月)団四郎&団姫
7日(火)団六&梅團治
8日(水)都&一蝶
9日(木)千橘&春雨
10日(金)吉次&壱之輔
11日(土)花團治&瑞
12日(日)新治&福楽


一日と言わず、二日、三日…
それぞれ異色コンビが織りなす笑いをお楽しみください。

繁昌亭15周年春団治ウィーク番組


繁昌亭15周年春団治ウィーク


◆繁昌亭公式サイトはこちらをクリック!


◆花團治公式サイトはこちらをクリック!



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蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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