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271.戦う女子のヒストリー~我が家のプリキュア攻防戦~

我が家のチャンネル権はすっかり5歳のムスメに制圧され、
家族そろってテレビを観ることが当たり前になった。
今夢中になっているのは「ひろがるスカイ!プリキュア」という少女向けアニメ。

戦士に変身した女子中学生が、
破壊活動を繰り返す悪者に立ち向かっていくというストーリー。
そんな「プリキュア」に、つい先日の放送回で大きな異変が起こった。

5歳のムスメは自然に受け止めていたが、
昨年還暦を迎えたぼくには、
とても画期的で歴史的一大事に映った。もちろん良い意味でだが。

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プリキュアになりきる筆者のムスメ


「戦う女子」アニメで、ぼくと同世代の者が真っ先に思い浮かべるのは
「リボンの騎士」(1967~1968年)だろう。

おそらくこれが「戦う女子」アニメの最初だった。
この後に「キューティーハニー」(1973~1974年)、
「美少女戦士セーラームーン」(1992年~1997年)、
「プリキュア」シリーズ(2004年~)と続いている。


「リボンの騎士」が後続のヒロインたちと決定的に違うのは、
女子なのに男の姿を借りて戦ったという点。

「女は守られるものであり、
闘う存在ではない」という意識

根っこにあったのだろう。
続く「キューティーハニー」は男装とは真逆のお色気満載な衣装。
女の子向けというより、明らかに「男性が喜ぶ」ことを意識していた。
当時小学生だったぼくは、アニメなのに親に隠れるように見ていた。
それが「セーラームーン」になると、
女子中学生の制服をアレンジした衣装になった。

このアニメが最初に放映された頃、社会はバブルが崩壊し、
男子が女子にお金をかける時代が終わった。

かつての「女の子はこうあるべきだ」という
ステレオタイプからの脱皮
が、
「セーラームーン」や「プリキュア」にも反映されたのだろうか。


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「リボンの騎士」と筆者(宝塚市立手塚治虫記念館にて)


「プリキュア」シリーズの第一弾「ふたりはプリキュア」の放映が始まって以来、
シリーズとしてはそれから20年近く続いていて、
「トロピカルージュ!プリキュア」「デリシャスパーティー♡プリキュア」といった具合に、
その年ごとにバージョンが代わっていくが、
「女の子が変身」するという当たり前はシリーズを通して、
「ひろがるスカイ!プリキュア」の今もずっと変わらない。

ところが4月2日、すでに登場していた女子二人のプリキュア戦士に続いて、
ついに男の子のプリキュアが誕生したのだ。



三人が力を合わせて戦う姿は実に自然で、
大切なものを守る行為に男も女も関係ない。
そんなごく当たり前のことに改めて気づかせてもらった気がした。

ぼくの子どもの頃には実写の「仮面ライダー」が流行り、
皆が「ライダーごっこ」に興じたものだが、
それは男の子の遊びで女の子はその傍らでままごと遊びというのがお決まりだった。
これからは「戦闘ごっこ」も「ままごと」も性差に関係なく
やりたい子がする、が当たり前になるだろう。


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変身を試みる筆者のムスメ



突出した個(ヒーロー、ヒロイン)が活躍するというのではなく、
仲間が協力し合って初めて力が生み出されるというのが
「プリキュア」の世界。それぞれの個を大切にしつつ、
お互いが足りない面を補って…というと、
何だか説教臭く、「道徳の教科書みたい」みたく思われるかも知れないが、
このアニメで育った子どもたちが次代を担っていくことを思うと、やはり頼もしい。


ただひとつ、このアニメの難を言えば、
キャラクターグッズ販売の商魂がたくまし過ぎることだ。
すでに、我が家にはプリキュアの衣装に加えて
ティアラにイヤリング、さらには変身バトンまで揃っている。

なのに、アニメの途中に挿入されるコマーシャルでは
毎度「新グッズ登場」と宣伝され、その度にムスメの「これ買って!」攻撃が始まる。

親の小言には馬耳東風でも、プリキュアの呼びかけには素直なムスメ。

…登場人物の一人に
「何でもかんでも欲しがってはダメ!我慢も必要よ‼」と叫んでもらえないだろうか。(了)


※この原稿は、熊本の(株)リフティングブレーンが発行する
月刊「リフブレ通信」に連載中のコラム「落語の教え」のために書き下ろしたものです。




花團治・文都ふたり会20230701


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蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

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