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39.大根役者の蘇生法

狂言の台詞回しには、俗に二字上がりと呼ばれる特徴がある。
前項に紹介した「叩き」は、俳優養成学校の授業でも用いている。
でも、最初は学生たちも、なかなかこの咄のリズムには乗れず難渋する。
そんな時、この狂言台詞を間に放り込みながら並行して稽古を進める。
これは経験上、効果抜群である。

例えば、「こはこりにすいいすものでござる」という台詞であれば,
赤い文字のところで台詞に強弱をつけながら発声するのである。

これには、大蔵流狂言方・安東伸元先生によれば、
「台詞が下降しない」「感情移入しやすい」といった効用がある。

また、この「二字上がり」について、前項でも紹介した鴨下信一氏は、
「下手な役者を一瞬で巧くする法則」と位置づけたうえでこう述べている。

「このテクニックは、実はリアルな現代劇、テレビドラマでもまったく通用します。
経験上、いろんな俳優さんに教えて、特に新人はこれで急速にセリフが改良される。
二つめの音に表情をつけると日本語のセリフがよくなるのかは、
はっきりしたことはわかりません。次は僕の仮説です。
日本語の単語の第一音はアクセントを左右する音なので、
これに表情をつけるととたんに音高が上下してアクセントが変わってしまう。
日本語が高低アクセントであるために、第一音に表情をつけるのには制約があるのです。
語句の末尾はたいてい活用語尾で、これまた表情がつけにくい。
語尾変化をはっきりわかるように発声するのがまず先決で、
妙に表情をつけて変化が不明になっては元も子もない。
こうなると、第二音が、専門的に表情を音で表現する機能を持つようになる。
おそらくこれが二字起こしの真相ではないでしょうか。」

日本語の呼吸

ちなみに、浄瑠璃の義太夫節にもこの特徴が見られる。
ごろは、はひっさん、どでどしているのやら・・・・・・

先人たちが練り上げて完成させた結晶=型に学ぶ意義は大きい。
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蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

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