40.要素・機能・属性
このブログの読者には、
春からの講義に備えて、シラバスとにらめっこしながら
ご覧になっている方もおられるかと思います。
この春、タレント養成学校の教務の方から打診されたのは、
例えば、『笑点』のような大喜利ワークのようなものは
できないでしょうか?という内容でした。
そこで、ぼくの考えを少し述べてみたいと思います。
まず、ぼくの授業は、
落語家としてこれまで学んできたものを中心にお届けしていきます。
それに加え、最近ぼくが受講生として参加した『イシス編集学校』の方法も
応用しつつ進めていきたいと思います。
イシス編集学校のホームページには、「編集」についてこんな紹介があります。
「編集」という言葉を聞いて、何を想像しますか?
新聞や雑誌、映像の編集を思い浮かべられた方も多いでしょう。
ですが、イシス編集学校では、「編集」をもっと広くとらえています。
ふだんの会話にも、恋愛、料理、子育てにも、
そして学校の勉強からビジネスにも「編集」が働いています。
文字・言語による情報はもちろん、
五感や心で受け取るあらゆることを情報であると考え、
情報を収集し、分類し、関係づけ、表現をする。
ごちゃごちゃしている情報を、すっきりと整理して
「必要な情報」「意味のある情報」「使える情報」に変えること。それが「編集」です。
わたしたちのまわりにはあらゆる情報が満ちていますが、
それらの情報はいろいろな形で編集をされています。
例えば、昨日みた映画、一日のスケジュール、国の法律、海外旅行のプラン、
ふだんの会話、これらがどのように編集されているかというと、
なかなか取り出すことができません。
そこで、それぞれのシーンで、使われていた「方法」をとり出し、
さまざまな場面や局面に活かすようにしてみようというのが「編集術」になります。
「方法」を修得して、利用し、応用します。
イシス編集学校では、
さまざまな「方法の型」「方法のモデル」「方法のパターン」を
稽古によって身につけることで、自らの思考やそのクセに目を凝らし、
いままで自分では気づくことができなかった方法を「編集術」として学びます。
引用が長くなりましたが、
ぼくはここで、これまで気付かなかったことにおおいに気付かされました。
世の中のすべてに「型」があるように、言語の世界にも「型」があります。
「思考のカーソル」を動かしながら、
同時に「言葉のボキャブラリー」を増やしていくというのが
ぼくの授業の狙いのひとつです。。
最初の授業では、代表的な大喜利遊びにも興じてもらいますが、
基本的な「型」を身につけたうえで、再度同じことをやってみると、
その自分の進化に驚かれると思います。
勿論、笑いの手法は日々進化し続けていますが、
まず最初に基本的な「思考の型」を身につけることが大切です。
芸人は、決まったカリキュラムを踏むのではなく
感覚的に身につけていくことが多いのですが、
限られた授業の中で着実に身につけるには、
カリキュラムに基づいた「型」のお稽古が必要だと考えます。
ぼくがイシスの編集稽古を応用したものとして、
例えば、「謎掛け」というお遊びがあります。
「~とかけて、~と解く、その心は~」というものですが、
最初に「リンゴ」なら「リンゴ」に関連する言葉を浮かべるのですが、
すぐには多くの言葉がなかなか出てこないものです。
そこで、リンゴを「要素」「機能」「属性」に分けてみました。
「要素」
① 芯・・・リンゴとかけて、武士道と解く/その心は、真ん中に芯が通っています
② 赤い・・・信号/青いと思えば黄色くなったり赤くなったり
③ 種・・・マジック/種もある
④ 皮・・・入れ歯/刃(は)の当たりが気になる
⑤ 酸味・・苦み走ったいい男/高倉健/酔いも甘いも噛み分けます
⑥ 虫・・・かまって欲しい/無視は嫌!
⑦ 肥料・・・声楽家/声(肥え)を気にします
⑧ 腐る・・・マンネリ夫婦/熟したり腐ったり
⑨ 落ちる・・落語家/落ちがいいのは熟れている
⑩ アップル・・・コンピューター/アップルもあります
アップル・・・ジャイアント馬場/アップー
⑪ リンゴ追分・・・四谷怪談/お岩け~
⑫ 椎名林檎・・・石田ゆり子/椎名とくっつきます
⑬ リンゴスター・・60年代の若者風俗/ビートルズと共に・・・
⑭ ジューシー・・・中学2年制/十四(歳)
「機能」
① かじると歯茎から血が出る・・・じゃんけん/パー(歯)から血(チー・チョキ)が出ることがあります
② かじると歯に挟まる・・・新米政治家の答弁/かじったばかりで歯に挟まったみたいです
③ かじると酸っぱい・・・何にでも首を突っ込んだ青春時代/かじってばかりの酸い思い出です
④ リンゴジュースにして飲む・・・テニスの試合/ジュースに持ち込むこともあります
⑤ リンゴパイにして食べる・・赤ちゃん/パイも気になる
⑥ カレーに入れる・・・愛する乙女/彼(カレー)の中へ飛び込むの
⑦ デザート・・・18番/コースの最後に楽しみます
「属性」
① 青森産・・・今日からお友達/つがるに声をかけてね
② 果実・・・あれが私の元居た場所です/古巣(フルーツ)
③ 八百屋・・・東大阪の向こう/やお(八尾)や!(大阪ローカルネタです)
④ 箱入り・・・良家の娘の縁談/箱入りで送られます
⑤ 無農薬・・・阿呆の振り/無能役
如何でしょうか?
この「フィルター」をかけるという方法。
これはイシス編集学校の「守」「破」「離」の三つのコースのうち、
「守」の38のお稽古のひとつを応用したものです。
どんな職業であれ、プロには必ず理屈があります。
様々な思考の方法を用いながら、
「頭の中のカーソル」を動かしていく術を身につけていく。
これをぼくも皆さんと共に実践していこうと思うのです。
ぼくにとってもアウトプットは、最高のインプットとなります。
・・・・・・何だか『イシス』の宣伝みたいになりましたね。
『イシス編集学校』
桂蝶六のホームページはこちらです
春からの講義に備えて、シラバスとにらめっこしながら
ご覧になっている方もおられるかと思います。
この春、タレント養成学校の教務の方から打診されたのは、
例えば、『笑点』のような大喜利ワークのようなものは
できないでしょうか?という内容でした。
そこで、ぼくの考えを少し述べてみたいと思います。
まず、ぼくの授業は、
落語家としてこれまで学んできたものを中心にお届けしていきます。
それに加え、最近ぼくが受講生として参加した『イシス編集学校』の方法も
応用しつつ進めていきたいと思います。
イシス編集学校のホームページには、「編集」についてこんな紹介があります。
「編集」という言葉を聞いて、何を想像しますか?
新聞や雑誌、映像の編集を思い浮かべられた方も多いでしょう。
ですが、イシス編集学校では、「編集」をもっと広くとらえています。
ふだんの会話にも、恋愛、料理、子育てにも、
そして学校の勉強からビジネスにも「編集」が働いています。
文字・言語による情報はもちろん、
五感や心で受け取るあらゆることを情報であると考え、
情報を収集し、分類し、関係づけ、表現をする。
ごちゃごちゃしている情報を、すっきりと整理して
「必要な情報」「意味のある情報」「使える情報」に変えること。それが「編集」です。
わたしたちのまわりにはあらゆる情報が満ちていますが、
それらの情報はいろいろな形で編集をされています。
例えば、昨日みた映画、一日のスケジュール、国の法律、海外旅行のプラン、
ふだんの会話、これらがどのように編集されているかというと、
なかなか取り出すことができません。
そこで、それぞれのシーンで、使われていた「方法」をとり出し、
さまざまな場面や局面に活かすようにしてみようというのが「編集術」になります。
「方法」を修得して、利用し、応用します。
イシス編集学校では、
さまざまな「方法の型」「方法のモデル」「方法のパターン」を
稽古によって身につけることで、自らの思考やそのクセに目を凝らし、
いままで自分では気づくことができなかった方法を「編集術」として学びます。
引用が長くなりましたが、
ぼくはここで、これまで気付かなかったことにおおいに気付かされました。
世の中のすべてに「型」があるように、言語の世界にも「型」があります。
「思考のカーソル」を動かしながら、
同時に「言葉のボキャブラリー」を増やしていくというのが
ぼくの授業の狙いのひとつです。。
最初の授業では、代表的な大喜利遊びにも興じてもらいますが、
基本的な「型」を身につけたうえで、再度同じことをやってみると、
その自分の進化に驚かれると思います。
勿論、笑いの手法は日々進化し続けていますが、
まず最初に基本的な「思考の型」を身につけることが大切です。
芸人は、決まったカリキュラムを踏むのではなく
感覚的に身につけていくことが多いのですが、
限られた授業の中で着実に身につけるには、
カリキュラムに基づいた「型」のお稽古が必要だと考えます。
ぼくがイシスの編集稽古を応用したものとして、
例えば、「謎掛け」というお遊びがあります。
「~とかけて、~と解く、その心は~」というものですが、
最初に「リンゴ」なら「リンゴ」に関連する言葉を浮かべるのですが、
すぐには多くの言葉がなかなか出てこないものです。
そこで、リンゴを「要素」「機能」「属性」に分けてみました。
「要素」
① 芯・・・リンゴとかけて、武士道と解く/その心は、真ん中に芯が通っています
② 赤い・・・信号/青いと思えば黄色くなったり赤くなったり
③ 種・・・マジック/種もある
④ 皮・・・入れ歯/刃(は)の当たりが気になる
⑤ 酸味・・苦み走ったいい男/高倉健/酔いも甘いも噛み分けます
⑥ 虫・・・かまって欲しい/無視は嫌!
⑦ 肥料・・・声楽家/声(肥え)を気にします
⑧ 腐る・・・マンネリ夫婦/熟したり腐ったり
⑨ 落ちる・・落語家/落ちがいいのは熟れている
⑩ アップル・・・コンピューター/アップルもあります
アップル・・・ジャイアント馬場/アップー
⑪ リンゴ追分・・・四谷怪談/お岩け~
⑫ 椎名林檎・・・石田ゆり子/椎名とくっつきます
⑬ リンゴスター・・60年代の若者風俗/ビートルズと共に・・・
⑭ ジューシー・・・中学2年制/十四(歳)
「機能」
① かじると歯茎から血が出る・・・じゃんけん/パー(歯)から血(チー・チョキ)が出ることがあります
② かじると歯に挟まる・・・新米政治家の答弁/かじったばかりで歯に挟まったみたいです
③ かじると酸っぱい・・・何にでも首を突っ込んだ青春時代/かじってばかりの酸い思い出です
④ リンゴジュースにして飲む・・・テニスの試合/ジュースに持ち込むこともあります
⑤ リンゴパイにして食べる・・赤ちゃん/パイも気になる
⑥ カレーに入れる・・・愛する乙女/彼(カレー)の中へ飛び込むの
⑦ デザート・・・18番/コースの最後に楽しみます
「属性」
① 青森産・・・今日からお友達/つがるに声をかけてね
② 果実・・・あれが私の元居た場所です/古巣(フルーツ)
③ 八百屋・・・東大阪の向こう/やお(八尾)や!(大阪ローカルネタです)
④ 箱入り・・・良家の娘の縁談/箱入りで送られます
⑤ 無農薬・・・阿呆の振り/無能役
如何でしょうか?
この「フィルター」をかけるという方法。
これはイシス編集学校の「守」「破」「離」の三つのコースのうち、
「守」の38のお稽古のひとつを応用したものです。
どんな職業であれ、プロには必ず理屈があります。
様々な思考の方法を用いながら、
「頭の中のカーソル」を動かしていく術を身につけていく。
これをぼくも皆さんと共に実践していこうと思うのです。
ぼくにとってもアウトプットは、最高のインプットとなります。
・・・・・・何だか『イシス』の宣伝みたいになりましたね。
『イシス編集学校』
桂蝶六のホームページはこちらです
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