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42.妄想福井

落語を通して街づくりを考えよう。
福井・片町の料亭「寿ずや」は、市民や学生ら約30人が集まった。
人と人との交わりが、活気を生み出す原動力になる。
落語世界の理想的コミュニティーに学ぼうというのが今回の企画。
題して『福井むかし語り』
ぼくの演目は、『牛褒め』と『豊竹屋』の二席。

『牛褒め』における阿呆に対しての「しゃあないやっちゃなあ」という眼差し。
「狂言は、愚かな人間を描いているのではなく、
人間の愚かさを描いている」とは、狂言師・山本東次郎師の弁。

これは落語とて同じこと。。
その阿呆の愚かな行いは、自身の姿に映ることもあろう。
立川談志師のいう「業の肯定」にも繋がっている。
落語のなかで、彼はどこまでも愛すべき人間なのだ。

『豊竹屋』では、浄瑠璃狂いの亭主に向かって放つ女房の一言。
「何でこんな人と、一緒になったんやろう」。
呆れと愛情の入り交じったこの言葉は、何とも微笑ましい。


落語世界の基底にあるものは、助け合いの精神。
他人に対する優しい眼差し。
必ずしも、その全てが現実社会と符合するとは到底思わないが、
少なくとも、そうあって欲しいという思いは演者の側にある。

お客がわざわざ寄席小屋にまで足を運んで共に笑う。
それは価値観を共有するということ。

そこが暖かい笑いに満ち溢れた時、
「世の中って、まだまだ捨てたもんじゃない」という気持ちになれる。

笑いを共有した時ほど、お互いの距離感はぐんと縮まる。
「お茶の間」という言葉が死語になりつつある今だからこそ、
落語会という場が必要とされている。


元福井放送のアナウンサーで、現・福井街角放送の鳴尾健氏、
福井工業大学デザイン学科准教授で、都市計画が専門の木川剛志氏。
今回の企画は、この二人の出会いから始まった。
両人ともに、落語が大好きで、
今回もそれぞれが、ぼくの前に『七度狐』『猫の茶碗』を演じてくれた。
ほどよく客席が笑いで温もった後へ出るのは、
ぼくとしても非常にやりやすかった。

mouzouhukui2.jpg
左から蝶六、木川氏、鳴尾氏

鳴尾氏とぼくの出会いは、かれこれ25年ほど前。
ぼくが福井放送でパーソナリティーを勤めさせてもらった時の
ニュースアナウンサーであり、ディレクターであった。
放送の右も左も分からないぼくに、本当に懇切丁寧に教えてくれた。
いわば、今回は大恩人との25年ぶりの再会だった。

木川氏は、今回初めてお会いしたが、
人柄が大きな身体から滲み出ている。
何かこれから、もっともっと面白いことをやらかしそうな
そんなオーラを感じさせる人物だった。
『妄想福井』というプロジェクトを主宰している。
これについては、氏のブログからそのまま引用させて頂く。


今は、人通りが少なく、シャッター通りと呼ばれる商店街、
しかし、そこを歩き、今は閉まった店、昔の看板を眺めて、
懐かしさを胸にかかえてそっと目を閉じると、
かつての賑わった頃の福井が目に浮かんでくる。
家にコンピュータゲームもテレビもなかった頃、
人はマチにでた。
多くの人が集まる駅前にバスで向かう期待感。
群衆の中に知り合いの姿を見つける安心感。
ヨソイキの服に身をつつんで、商店街に出かける光景。
胸を躍らせたマチの景色がないのなら、
自分が楽しいと思うマチを想像し、それを形にしてみよう。
福井駅前に直接つながる海水浴場、
駅から直接足羽山までつながるエスカレーター。
現実には存在しないけど、それがあったらわくわくする。
そんな想像を一つの絵に描いてみれば、それをみんなで共有できる。
表現すること。それを、ぼくらは、妄想と呼ぶ。
そして、行動すること、それがぼくらの、妄想福井プロジェクト。


ちなみに、この「妄想」は「もうそう」ではなく「もうぞう」と読む。

木川氏は、このシンポジウムで
「車ではなく、歩くことで人と人が触れ合える。
生活感を感じることのできる街づくりの仕組みを」と訴えた。

鳴尾氏と木川氏。
この二人が出会ったことで、福井の面白い人々が
引き寄せられるようにして集まってきた。

mouzouhukui.jpg

打ち上げでは、今後の展開の話で盛り上がった。
やりたいことは山ほどある。
街づくりのこと、周波数に因んだ773分落語会のこと、
福井ばなしの創作のこと・・・・・・

次回はどうやら年末になりそうだ。
開局記念日は、12月15日。
もう、今から日を開けて待っている。
どうせ夜通しになりそうだから、翌日も開けておかねばならない。
福井街角放送
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蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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