48.繁昌亭落語入門講座
ダイアリー > 繁昌亭落語家入門講座 - 2013年04月12日 (金)
繁昌亭落語入門講座の13期が始まった。
今回は総勢27名の受講生。
ぼくは、12期から桂米輔師匠のサブとして講師を勤めている。
初回はまず「落語を演じる際の基礎の基礎」というわけで、
着物の着付け指導から始まった。
女性陣は、三味線の花登益子師が担当。
次に、米輔師匠による小咄「くちなし」の口演。

「おい、植木屋」
「へえ、お越しやす」
「お前とこ、どんな花でもあるか」
「へえ、うちはこの通り、どんな花でも木でもおまっせ」
「ほたら、物言う花ちゅうのん、あるか」
「物言う花?こいつ、なぶりにきやがったな・・・・・・へえ、おまっせ」
「あるか?」
「へえ、おます。うちはどんな花でも木でも、みな物言いよります。
何なら名前なとなんなと尋ねてみなはれ」
「ええ、ほんまか・・・おい、お前、名前、何ちゅうね」
「桜」
「おい、こいつ、ほんまに物言いよったで。不思議なこともあるもんやな」
ほたら、お前の名前は?」
「梅」
「関心なな。ちゃんと返事しよったがな」
「ぼたん」
「えらいもんやな、お前は・・・お前は・・・・・・おい、植木屋、こいつ物言えへんで」
「ああ、そら、くちなしや」
・・・・・・カミシモはどのように決めているのか?その目安となる角度は?
目の高さ、落語を語るときの心得、発声の工夫・・・・・・エトセトラ。
「歌舞伎でも、吉本新喜劇でも、屋台(舞台の上の大きな作り物)は
大体、客席から向かって右手にありますわな。これが上手(かみて)。
それで、下手から『こんにちは』を人が訪れて・・・・・・
これを座布団の上でやりますと、こうなります」
受講生から、ホ~という声が湧き起こる。
「舞台の向かって左から入っていくちゅうのは、誰が決めたんやろう?
右から『こんにちは』やったらいかんねやろか?」
はいはい。
そういうささいな疑問にも、米輔師匠はちゃんと答えます。
「映画でもそうですが、画面の左から右へ抜けていく方が安定感がある。
電車が走るシーンでも、明日へ向かっていくという気分を出すには
左から右でっしゃろ?・・・逆に、右から左へ抜けたら不安な気分になる」
何故、そうなっているのか?を説明していきます。
「ほな、何で、右から左へやったら、不安なんやろう?」
・・・それは、科学者に聞いて欲しい。
ここまでくると、もう落語家の領域ではない。
さすがに米輔師匠には、言えなかったのか、
後で、受講生の一人が、ぼくにこっそりこう言った。
「あのう、円形舞台ちゅうのんもありますが、
あれはどういうふうに考えたらいいんでしょうか?」
知らんがな(笑)
なかなか皆さん、笑わせてくれはります。
受講生からの質問攻めはどんどん続く。
「どうすれば台詞が覚えられるか?」
「その時、指は指した方がよろしいやろか?」
「アレンジはどこまで許されるまっか?」
「うちの家、大きい声、出せまへんねんけど」
そのひとつひとつに丁寧に応えていく米輔師匠。
「ええと、近くに公園があったら、そこでもええし・・・・・・
高速道路の高架下なんかよろしいで」。
どこまでも丁寧な米輔師匠。
それにみんな、大真面目である。
模範演技を何度か繰り返した後、今度は全員で口移し。
「おい、植木屋」「おい、植木屋」・・・・・・
最後は、着物の畳み方を、皆で覚えました。
「あのう、米輔師匠、着物を洗う時はどうすればいいんでしょうか?」
「ああ、これは家でも洗えまんな。そのやり方はね・・・・・・」と米輔師匠。
下の写真は、その時の稽古風景。
神聖な舞台ですが、この時ばかりはステテコ一丁が許されています。

どうか受講生の皆さん、よろしくお願いします。
あ、それから米輔師匠から紹介のあった米朝師匠の書かれた本。
これ、お薦めです。入門の必読書。
桂蝶六のホームページ「口は賑わいのもと」が変わりました。
只今、工事中ですが。
下記をクリックしてください。
口はにぎわいのもと
今回は総勢27名の受講生。
ぼくは、12期から桂米輔師匠のサブとして講師を勤めている。
初回はまず「落語を演じる際の基礎の基礎」というわけで、
着物の着付け指導から始まった。
女性陣は、三味線の花登益子師が担当。
次に、米輔師匠による小咄「くちなし」の口演。

「おい、植木屋」
「へえ、お越しやす」
「お前とこ、どんな花でもあるか」
「へえ、うちはこの通り、どんな花でも木でもおまっせ」
「ほたら、物言う花ちゅうのん、あるか」
「物言う花?こいつ、なぶりにきやがったな・・・・・・へえ、おまっせ」
「あるか?」
「へえ、おます。うちはどんな花でも木でも、みな物言いよります。
何なら名前なとなんなと尋ねてみなはれ」
「ええ、ほんまか・・・おい、お前、名前、何ちゅうね」
「桜」
「おい、こいつ、ほんまに物言いよったで。不思議なこともあるもんやな」
ほたら、お前の名前は?」
「梅」
「関心なな。ちゃんと返事しよったがな」
「ぼたん」
「えらいもんやな、お前は・・・お前は・・・・・・おい、植木屋、こいつ物言えへんで」
「ああ、そら、くちなしや」
・・・・・・カミシモはどのように決めているのか?その目安となる角度は?
目の高さ、落語を語るときの心得、発声の工夫・・・・・・エトセトラ。
「歌舞伎でも、吉本新喜劇でも、屋台(舞台の上の大きな作り物)は
大体、客席から向かって右手にありますわな。これが上手(かみて)。
それで、下手から『こんにちは』を人が訪れて・・・・・・
これを座布団の上でやりますと、こうなります」
受講生から、ホ~という声が湧き起こる。
「舞台の向かって左から入っていくちゅうのは、誰が決めたんやろう?
右から『こんにちは』やったらいかんねやろか?」
はいはい。
そういうささいな疑問にも、米輔師匠はちゃんと答えます。
「映画でもそうですが、画面の左から右へ抜けていく方が安定感がある。
電車が走るシーンでも、明日へ向かっていくという気分を出すには
左から右でっしゃろ?・・・逆に、右から左へ抜けたら不安な気分になる」
何故、そうなっているのか?を説明していきます。
「ほな、何で、右から左へやったら、不安なんやろう?」
・・・それは、科学者に聞いて欲しい。
ここまでくると、もう落語家の領域ではない。
さすがに米輔師匠には、言えなかったのか、
後で、受講生の一人が、ぼくにこっそりこう言った。
「あのう、円形舞台ちゅうのんもありますが、
あれはどういうふうに考えたらいいんでしょうか?」
知らんがな(笑)
なかなか皆さん、笑わせてくれはります。
受講生からの質問攻めはどんどん続く。
「どうすれば台詞が覚えられるか?」
「その時、指は指した方がよろしいやろか?」
「アレンジはどこまで許されるまっか?」
「うちの家、大きい声、出せまへんねんけど」
そのひとつひとつに丁寧に応えていく米輔師匠。
「ええと、近くに公園があったら、そこでもええし・・・・・・
高速道路の高架下なんかよろしいで」。
どこまでも丁寧な米輔師匠。
それにみんな、大真面目である。
模範演技を何度か繰り返した後、今度は全員で口移し。
「おい、植木屋」「おい、植木屋」・・・・・・
最後は、着物の畳み方を、皆で覚えました。
「あのう、米輔師匠、着物を洗う時はどうすればいいんでしょうか?」
「ああ、これは家でも洗えまんな。そのやり方はね・・・・・・」と米輔師匠。
下の写真は、その時の稽古風景。
神聖な舞台ですが、この時ばかりはステテコ一丁が許されています。

どうか受講生の皆さん、よろしくお願いします。
あ、それから米輔師匠から紹介のあった米朝師匠の書かれた本。
これ、お薦めです。入門の必読書。
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口はにぎわいのもと
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