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58.教えて教えられる 繁昌亭落語家入門講座2


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花團治のホームページ(2015年6月にリニューアルしました)


今日は「落語教室」3軒の掛け持ちでした。

朝一番は、9時半より「繁昌亭落語家入門講座13期」二回目の講座。

hannjouteikutiutusi_20130425040626.jpg

総勢27名をA・Bの二班に分け、
A班は、高座にて桂米輔師匠。B班は、客席通路にてぼくの担当。
本日の出席者は25名。うち13名が女性。女性が多いと、会場も華やか。

hannjouteijosei.jpg

受講生に、小咄「くちなし」を演じてもらう。

「目が泳ぐと、話しかけている相手がどこにいるか分かりません
 相手の存在を目で表現するのです」


 ・・・米輔師匠の指南にも熱がこもる。

初心者に多いのは、このカミシモを切る時、
肩ごと動いてしまうパターン。

「右向いて、左向いて」という意識に囚われすぎなのか
目の置きどころをしっかりと定めることが大切。


顔は後から勝手についてくるものだ。

また、感情移入の過多なのか、面白く演じようとするからなのか、
自己アピールの気持ちの賜なのか、
声を作りすぎたり、演じすぎたり・・・・・・

「あのですね、言い方の面白さではなく、
 話のかみ合わないところが面白いのです」と米輔師匠。
 

でも、いいですよね。
仲間の稽古を他の大勢が見つめているというこの状況。

厳しい中にも和気あいあいで、
一対一だと、稽古中の笑いなんて、なかなかこうは起こりません。

hannjouteikouzagumi.jpg


講座が終わると、ぼくはしばし米輔師匠と楽屋で談笑。

「兄さんの説明をぼくも聞かせてもらいましたが、
 すっごく分かりやすくて・・・・・・」
 
「へへ、私はもう、これ(繁昌亭講座)、7年もやってますから」と米輔師匠。

落語家はとかく「見て盗め」の世界ですが、
講師を勤めるからには、
方法を言語化していくことが大切と、改めて感じさせられる。

・・・・・・さて、繁昌亭講座が終わると、
今度はそのまま箕面にある大阪青山大学へ。

aoyamadaigakuamenohi.jpg

「こども文化論」という授業では、
「子ども相手に、落語の方法をどう生かすか」が狙いのひとつ。
彼らは、将来保育士や小学校の教諭を目指している。

今日は、宿題に出しておいた小咄を発表してもらいました。

「おい、お前、何してんねん」
「あ、わいか。わい、あの星があんまりきれいやさかい、
 この棒で取ってやろうと思うて」
「アホやな。あんな高いところにあるもんが、そんなところから
 取れるはずがないやないか・・・屋根へ上がれ、屋根へ」
 
「発表会で、実際に聞いてくれる相手は、子どもらやで」の一言に、
彼らの「言葉の粒」も見事に立ってきました。
目の前で聴いている子どもの姿をイメージすることで、彼らの飲み込みも早くなります。

次いで、『明礬丁稚』という5分弱の咄をぼくが3回演じ、
それを耳で覚えてもらって、その場で彼らに演じてもらうことに。
落語家でいう「三べん稽古」。 

発表する学生ら、
しどろもどろになりながらも、何とか『明礬丁稚』の下げまでクリア。

出席カードには、「緊張したけど楽しかった」といった文字が躍っていた。
ストレスもまた楽し。

今どきの若いもんは、なかなか捨てたもんやおまへん。

大学から梅田まで、
上司であり、「愚か塾」のメンバーでもある住岡英毅教授と共に移動。

「師匠ねえ、ぼくは最近つくづく思うんですよ。
 教え子の育ちが、何より自分の喜びですかねえ・・・・・・」
 
教え子の就職が決まったことなど

とても嬉しそうに語る住岡教授こと、愚家小がん氏であった。


さて、本日の締めは、自宅稽古場での落語教室=「愚か塾」。
一番乗りでやってきたのは、名古屋のご住職。
今日は、体験入塾の男性(26歳)を入れて6名が揃う。

orokajukumoyou.jpg

『東の旅・発端』(通称・叩き)と、『蝦蟇の油』を全員で唱和して、
それぞれのお稽古に入る。終了したのが21時30分。

皆さん、6月1日(土)の発表会を目指して頑張ります。


落語教室『愚か塾』の最新情報はこちらです

阿呆でおっちょこちょい、
したたかなところもあるが、皆に愛される「喜六」。

おおらかで面倒見のいい町内の「ご隠居」。

落語の登場人物に学ぶ点は多い。

「私は、部下の失敗に対して、いつもカリカリしてましたが、
 落語を始めてから、『しゃあないやっちゃ』と
 ずいぶん寛大に見られるようになったと思います」
 
「私は、自ら阿呆になることを覚えました。
 我ながら、コミュニケーションも上手くなりました」。
 


・・・・・・塾生に学ぶ落語の力。


今夜もぐっすり眠りにつけそうだ・・・あ、もう朝ではないか。


三代目桂花團治の公式サイト
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コメント
9:ご苦労様でした by へなちょこ on 2013/04/25 at 10:36:40 (コメント編集)

これから6か月間、お世話になります。

落語は難しいものと、認識していましたが、
奥の深かぁ~~い話芸だと、改めて思った
実技指導でした。

蝶六師匠のこのHPは、すごく勉強になりました。

自然体で演じること・・・
大声を出すのではなく、声を届ける・・・

今の私には、すごく勉強にもなり納得すること
ばかりです。

噺家の方々は、繊細な感受性で噺を解釈し
それを演じられることがよぉ~~くわかりました。まだまだ、これ以上に奥が深いと思いますが。

まずは、“兵庫船”取り組みます^0^

10:Re: ご苦労様でした by 桂蝶六 on 2013/04/25 at 11:45:16

13期の方ですね。昨日はどうもお疲れ様でした。
ぼくが皆さんに申し上げていることって、
結局、ぼく自身が言われてきたことでもあるんですね。
ぼくに一番稽古をつけて下さったのは、
今や伝説の人になりつつある桂昇蝶兄貴ですが、
本当によく叱られたものです。

「お前の咄は、作為が鼻につくねん」とか、
「そこで息を詰めるんや」とか、
「お前は落語が好きか?」とか、
「俺(の落語)をもらってくれ」とか・・・・・・

泣きそうになったことも多々ありましたが、
曲がりなりにも、今、この生業で生活させてもらっているのは、
この兄貴や師匠方のおかげです。

どこかで書いたかも知れませんが、
稽古の際、師匠(二代目春蝶)に最初に言われたのは、

「プロというものには、どんな世界にだって理屈がある」
ということ。

28.ティッシュ配りも是非ご覧になって下さい。


ともあれ、落語は日本の財産。みんなの財産。
皆で、その恩恵に与りましょう。

また、コメントくださいね。嬉しいです。ありがとうございました

12:楽しく(^○^) by miyagi on 2013/04/30 at 00:47:01

13期のみやぎです。
これから半年お世話になります。
蝶六さんのコメントはとても的を射ていて
わかりやすかったです。
人それぞれに特にここ!というところを
感じとられさくっとご指導されるところは
やはりすごいですね、勉強になりました。
ご自身の経験談なども話してくださいまして
それが、高いハードルの距離が少し縮まるような
気になりました。
ここではいかに早く身につけるか
一つの形にするかを目標に
シンプルに教えてくださるのが
いいと思います。
私もたくさん学ぶことはありますが、
その中でシンプルな目標を持って
それを習得できるようガンバりたいと思います。
よろしくお願いします。

13:Re: 楽しく(^○^) by 桂蝶六 on 2013/04/30 at 14:44:01

みやぎさんへ

お褒めの言葉をいただき、何だかお尻がこそばいです。

二代目桂春蝶が亡くなってから、もう20年も経ちますが、
今から思えば、うちの師匠は
ずっとぼくの「過程」を見ててくれたような気がします。

気がついたことを全てそのまま言うのではなく、
今、ぼくにとって何が必要なのかということを見極めたうえで
示唆してくれました。

ぼくは本当にひどかったんですよ。
素行も、芸に対する考え方も。
今もたいして変わらないかも知れませんが、
昔に比べたら、ちょっとはましだと思います。

ぼくが、専門学校等で落語の授業を始めた時には、
出来損ないのオタク少年みたいに、
とにかく思いついたことや知っていることを
ひけらかすようなダメ出しをしていたんです。

最近は、「方法」ということにこだわっています。
落語の持つ「スキル」を抜き出して方程式に整理する。
そうすることで、
落語以外にも、落語が多く生かせるんじゃないかということです。
保育士や小学校の教諭を目指す学生らを指導するようになって、
その思いがますます強くなりました。

ぼくも今、過程です。
落語を通じて共に成長していければいいなと思います。
ぼくは「教育」とか「教える」といった技能はまだまだです。
「指南」=方向を指さす、なら何とか頑張れるかなあ。

分かりにくかった点や、疑問も寄せてくださいね。

こちらの方こそ、どうか半年、よろしくお願いします。

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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