58.教えて教えられる 繁昌亭落語家入門講座2
ダイアリー > 繁昌亭落語家入門講座 - 2013年04月25日 (木)
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今日は「落語教室」3軒の掛け持ちでした。
朝一番は、9時半より「繁昌亭落語家入門講座13期」二回目の講座。

総勢27名をA・Bの二班に分け、
A班は、高座にて桂米輔師匠。B班は、客席通路にてぼくの担当。
本日の出席者は25名。うち13名が女性。女性が多いと、会場も華やか。

受講生に、小咄「くちなし」を演じてもらう。
「目が泳ぐと、話しかけている相手がどこにいるか分かりません
相手の存在を目で表現するのです」
・・・米輔師匠の指南にも熱がこもる。
初心者に多いのは、このカミシモを切る時、
肩ごと動いてしまうパターン。
「右向いて、左向いて」という意識に囚われすぎなのか
目の置きどころをしっかりと定めることが大切。
顔は後から勝手についてくるものだ。
また、感情移入の過多なのか、面白く演じようとするからなのか、
自己アピールの気持ちの賜なのか、
声を作りすぎたり、演じすぎたり・・・・・・
「あのですね、言い方の面白さではなく、
話のかみ合わないところが面白いのです」と米輔師匠。
でも、いいですよね。
仲間の稽古を他の大勢が見つめているというこの状況。
厳しい中にも和気あいあいで、
一対一だと、稽古中の笑いなんて、なかなかこうは起こりません。

講座が終わると、ぼくはしばし米輔師匠と楽屋で談笑。
「兄さんの説明をぼくも聞かせてもらいましたが、
すっごく分かりやすくて・・・・・・」
「へへ、私はもう、これ(繁昌亭講座)、7年もやってますから」と米輔師匠。
落語家はとかく「見て盗め」の世界ですが、
講師を勤めるからには、
方法を言語化していくことが大切と、改めて感じさせられる。
・・・・・・さて、繁昌亭講座が終わると、
今度はそのまま箕面にある大阪青山大学へ。

「こども文化論」という授業では、
「子ども相手に、落語の方法をどう生かすか」が狙いのひとつ。
彼らは、将来保育士や小学校の教諭を目指している。
今日は、宿題に出しておいた小咄を発表してもらいました。
「おい、お前、何してんねん」
「あ、わいか。わい、あの星があんまりきれいやさかい、
この棒で取ってやろうと思うて」
「アホやな。あんな高いところにあるもんが、そんなところから
取れるはずがないやないか・・・屋根へ上がれ、屋根へ」
「発表会で、実際に聞いてくれる相手は、子どもらやで」の一言に、
彼らの「言葉の粒」も見事に立ってきました。
目の前で聴いている子どもの姿をイメージすることで、彼らの飲み込みも早くなります。
次いで、『明礬丁稚』という5分弱の咄をぼくが3回演じ、
それを耳で覚えてもらって、その場で彼らに演じてもらうことに。
落語家でいう「三べん稽古」。
発表する学生ら、
しどろもどろになりながらも、何とか『明礬丁稚』の下げまでクリア。
出席カードには、「緊張したけど楽しかった」といった文字が躍っていた。
ストレスもまた楽し。
今どきの若いもんは、なかなか捨てたもんやおまへん。
大学から梅田まで、
上司であり、「愚か塾」のメンバーでもある住岡英毅教授と共に移動。
「師匠ねえ、ぼくは最近つくづく思うんですよ。
教え子の育ちが、何より自分の喜びですかねえ・・・・・・」
教え子の就職が決まったことなど
とても嬉しそうに語る住岡教授こと、愚家小がん氏であった。
さて、本日の締めは、自宅稽古場での落語教室=「愚か塾」。
一番乗りでやってきたのは、名古屋のご住職。
今日は、体験入塾の男性(26歳)を入れて6名が揃う。

『東の旅・発端』(通称・叩き)と、『蝦蟇の油』を全員で唱和して、
それぞれのお稽古に入る。終了したのが21時30分。
皆さん、6月1日(土)の発表会を目指して頑張ります。
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阿呆でおっちょこちょい、
したたかなところもあるが、皆に愛される「喜六」。
おおらかで面倒見のいい町内の「ご隠居」。
落語の登場人物に学ぶ点は多い。
「私は、部下の失敗に対して、いつもカリカリしてましたが、
落語を始めてから、『しゃあないやっちゃ』と
ずいぶん寛大に見られるようになったと思います」
「私は、自ら阿呆になることを覚えました。
我ながら、コミュニケーションも上手くなりました」。
・・・・・・塾生に学ぶ落語の力。
今夜もぐっすり眠りにつけそうだ・・・あ、もう朝ではないか。
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