61.落語に生きるバックボーン・楽走さんの巻
今日の『愚か塾』は、8名の参加を予定していたが、
このところの急激な寒の戻りからか、5名の出席となりました。
「発表会」まで、あと1ヶ月とあって、皆、稽古に熱が入っています。
19時に始めて、終わったのが23時前。
心地よい疲れと共に、ちょっと晩酌。
それから、このブログ記事に取りかかっています。

水壷を猫に割られてしまった男。
新しい水壷を買うため、知恵のまわる買い物上手な兄貴分に
瀬戸物屋まで付き合ってもらうことに。
落語『壺算』の一席。
○「買いもんには上手下手があるそうでんな」
△「まあ、ちょっとした持っていきようや。
まず商人(あきんど)に足元見られんよぉにせんならん。
これが一番肝心なこっちゃ。
例えば、これから俺とお前が坐摩の前へ古着を買いに行くとせんかい」
○「え?誰が古着買いに行くちゅうてますねん。
瀬戸物町へ壺買いに行きまんねんで」
△「いや、仮に行くとせんかいな。
そこでお前が紋付の羽織を欲しぃときに
『紋付の羽織おくれんか』てなこと言ぅたらあけへんで」
○「無茶言ぅたらどんならん、紋付の羽織欲しぃときに
『紋付の羽織おくれんか』言わな、紋付の羽織欲しぃのに
『スイカおくれんか』てなこと言えまへんで。
△「誰がスイカくれっちゅうねん。
違うがな。『縞もんの羽織を見せてんか』と、
その店にあるもんを言わな……そこで出された品もんにキズ付けるねん」
○「破りまんの?」
△「違うがな、口でキズを付けんねん」
○「食い付きまんの?」
△「そやない。ケチを付けるんや。
縞柄がぼやけてるとか、裏の模様がオモロないとか・・・」
この阿呆は、いつだって大真面目である。わざとスカタンを言っているわけではない。
互いに大真面目でやり取りしながら生まれるこの食い違い。そこに生まれる可笑しみ。
ツッコミで笑うのは、それがお客の共感するところだから。
「しゃあないやっちゃ」とか「どう言うてあげたらええねやろう」という兄貴分の思い。
それは、呆れであったり、困りであったり・・・・・・愛情に裏打ちされている。
そこから生まれる笑いは、何だかやっぱりあったかい。
ツッコミは、愛情である。
さて、冒頭に掲げた写真は、『壺算』を演じる賑わい亭楽走(島野哲司)さん。
現在、大阪府高齢者大学校文化芸能教科研究部長。毎日をとても忙しく過ごされています。
以前は、某大手保険会社の教育部長をされていました。
それで、ぼくがいつも感心させられるのは、
とにかく「人の話を聞く」ことのプロだなということ。
それに、相手を穏やかにさせる物言い。相手を優位に立たせる物言い。
「愚か塾」で時折催す宴でも、楽走さんの役割はかなり大きい。
単に、話術とか台詞術といった次元ではなくて、
気持ちのコントロールの問題かなとか思ってみたりします。
以前、「それぞれの持つバックボーンが落語にどう生かされるか」が
「愚か塾」発表会のみどころだと申し上げましたが、
つまり、こういうことが言いたいんです。
是非、「発表会」にも足をお運びください。
6月1日(土)12時50分より(終演予定:16時)
高津神社にて 500円
高津神社地図
12時50分 「演者紹介」司会:桂蝶六
13時00分 「寿限無」愚家水蜜桃(名村靖子)
13時10分 「子褒め」天満家痴療(木本正英)
13時30分 「親子酒」愚家かゑる(米田薫)
13時50分 「つる」愚家楽記(吉村吾郎)
14時10分 「親子茶屋」愚家小がん(住岡英毅)
14時30分 中入り
14時40分 「蝦蟇の油」おしゃべり亭一服(尾花正敏)
15時00分 「壺算」賑わい亭楽走(島野哲司)
15時20分 「お楽しみ」桂蝶六
15時30分 「大喜利」司会:桂蝶六
16時00分 終演予定
(時間は、あくまでも目安です)
三味線:はやしや香穗
高津神社地図
桂蝶六のホームページ
このところの急激な寒の戻りからか、5名の出席となりました。
「発表会」まで、あと1ヶ月とあって、皆、稽古に熱が入っています。
19時に始めて、終わったのが23時前。
心地よい疲れと共に、ちょっと晩酌。
それから、このブログ記事に取りかかっています。

水壷を猫に割られてしまった男。
新しい水壷を買うため、知恵のまわる買い物上手な兄貴分に
瀬戸物屋まで付き合ってもらうことに。
落語『壺算』の一席。
○「買いもんには上手下手があるそうでんな」
△「まあ、ちょっとした持っていきようや。
まず商人(あきんど)に足元見られんよぉにせんならん。
これが一番肝心なこっちゃ。
例えば、これから俺とお前が坐摩の前へ古着を買いに行くとせんかい」
○「え?誰が古着買いに行くちゅうてますねん。
瀬戸物町へ壺買いに行きまんねんで」
△「いや、仮に行くとせんかいな。
そこでお前が紋付の羽織を欲しぃときに
『紋付の羽織おくれんか』てなこと言ぅたらあけへんで」
○「無茶言ぅたらどんならん、紋付の羽織欲しぃときに
『紋付の羽織おくれんか』言わな、紋付の羽織欲しぃのに
『スイカおくれんか』てなこと言えまへんで。
△「誰がスイカくれっちゅうねん。
違うがな。『縞もんの羽織を見せてんか』と、
その店にあるもんを言わな……そこで出された品もんにキズ付けるねん」
○「破りまんの?」
△「違うがな、口でキズを付けんねん」
○「食い付きまんの?」
△「そやない。ケチを付けるんや。
縞柄がぼやけてるとか、裏の模様がオモロないとか・・・」
この阿呆は、いつだって大真面目である。わざとスカタンを言っているわけではない。
互いに大真面目でやり取りしながら生まれるこの食い違い。そこに生まれる可笑しみ。
ツッコミで笑うのは、それがお客の共感するところだから。
「しゃあないやっちゃ」とか「どう言うてあげたらええねやろう」という兄貴分の思い。
それは、呆れであったり、困りであったり・・・・・・愛情に裏打ちされている。
そこから生まれる笑いは、何だかやっぱりあったかい。
ツッコミは、愛情である。
さて、冒頭に掲げた写真は、『壺算』を演じる賑わい亭楽走(島野哲司)さん。
現在、大阪府高齢者大学校文化芸能教科研究部長。毎日をとても忙しく過ごされています。
以前は、某大手保険会社の教育部長をされていました。
それで、ぼくがいつも感心させられるのは、
とにかく「人の話を聞く」ことのプロだなということ。
それに、相手を穏やかにさせる物言い。相手を優位に立たせる物言い。
「愚か塾」で時折催す宴でも、楽走さんの役割はかなり大きい。
単に、話術とか台詞術といった次元ではなくて、
気持ちのコントロールの問題かなとか思ってみたりします。
以前、「それぞれの持つバックボーンが落語にどう生かされるか」が
「愚か塾」発表会のみどころだと申し上げましたが、
つまり、こういうことが言いたいんです。
是非、「発表会」にも足をお運びください。
6月1日(土)12時50分より(終演予定:16時)
高津神社にて 500円
高津神社地図
12時50分 「演者紹介」司会:桂蝶六
13時00分 「寿限無」愚家水蜜桃(名村靖子)
13時10分 「子褒め」天満家痴療(木本正英)
13時30分 「親子酒」愚家かゑる(米田薫)
13時50分 「つる」愚家楽記(吉村吾郎)
14時10分 「親子茶屋」愚家小がん(住岡英毅)
14時30分 中入り
14時40分 「蝦蟇の油」おしゃべり亭一服(尾花正敏)
15時00分 「壺算」賑わい亭楽走(島野哲司)
15時20分 「お楽しみ」桂蝶六
15時30分 「大喜利」司会:桂蝶六
16時00分 終演予定
(時間は、あくまでも目安です)
三味線:はやしや香穗
高津神社地図
桂蝶六のホームページ
- 関連記事
-
- 86.オチってなあに? ようこそアーティスト1 (2013/07/27)
- 77.名曲ワライ 「愚か塾」落語発表会 (2013/06/02)
- 73.合わせ鏡・愚家楽記さんの巻 愚か塾発表会 (2013/05/17)
- 72.保育士のための落語 大阪青山大学 (2013/05/16)
- 71.声に出して聴く落語 フレイムハウス (2013/05/15)
- 68.落語の方法 大阪シナリオ学校 (2013/05/10)
- 67.落語エクササイズ いきいきエイジングセンター (2013/05/10)
- 61.落語に生きるバックボーン・楽走さんの巻 (2013/05/02)
- 59.愚か塾の落語発表会6月1日(土) (2013/04/25)
- 53.You Raise Me Up IN 大阪城ホール (2013/04/18)
- 52.秋田實と大阪シナリオ学校 (2013/04/16)
- 21.分からんけど分かった (2012/09/19)
- 17.心身と発声 (2012/08/26)
- 16.落語の体験授業 (2012/08/24)
- 12.落語発表会パンフより 1 (2012/08/12)