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66.個性って滲み出るもの 繁昌亭落語家入門講座3 

小咄を卒業して、今日からいよいよ本格的なお稽古。

ぼくも、サブ講師を勤めさせてもらうようになって、
棚の奥から本を引っ張り出してくることが増えました。


まだ駆け出しの頃の志ん朝さんが、
「お父ちゃん!噺てぇのどうやったら面白くできるの?」
と、父子の間だから、さぞ秘訣を伝授してくれるだろうと思ったのだろう。
「ツマリソレハ、面白くやろうと思わないことだよ」
と志ん生師が答えた。
「落語はもともと面白くできているんだから、素直にそのままやればいいのだ。
それを無理に笑わせようとしたり、
わざと面白くやろうとするからつまらなくなっちゃう」

ギャグや入れごとがいのちという人の噺には心の底からボクは幸せになれない。
笑うことは笑っても、笑わせられたという疲労感が残るし、
多くの場合は笑えない。

まともにやって面白い、それを芸というのだ。

芸って奴は、何かの節度を持つということではないのだろうか。

セリフは教わったまんまでもいい。
特に、噺の口調もできておらず、
人物のメリハリも満足につかない初心の段階では、
まんまでなくてはいけないぐらいのものだ。
とても大事な時期で、噺の口調や噺の匂いを体で憶える段階であって、
笑ってもらうことを第一目標とすると危険な時期だ。


柳家小三治師匠の『落語家論』は、最初のわずか20ページを
パラパラッとめくっただけで、上記のような「珠玉の言葉」の連続。

落語家論 (ちくま文庫)落語家論 (ちくま文庫)
(2007/12/10)
柳家 小三治

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『繁昌亭落語家入門講座』受講生の皆さんは、
これをお読みになって、
きっと米輔師匠の言葉を思い出されることでしょう。

「こうすると、押しつけがましくなりますから・・・・・・」
「多少違っても構いませんが、極力、この通りに憶えてください」
「ここはサラッと・・・品がなくなりますからね」


hannjouteiyonesuke.jpg
お手本を示す桂米輔師匠(舞台袖より撮影)

それに、お稽古は師匠のそっくりそのままを
真似するところから入るわけですが、
たとえ同じ咄でも、それが見事な十人十色。

個性って、つくるもんじゃなくて、滲み出るもの。

それぞれがこれまでに培ってきたバックボーンを、落語にどう反映させるか。
それは受講者全員に言えること。非常に楽しみなところであります。


あるご年配の男性は、ネタがまだすっくり腹に落ちていないのか、
手元にその焦りが、すこ~し見て取れるものの、
自然な声の響きや表情に、人徳を思わせます。
色んな経験をされて来られたんだろうな。

ぼくとほぼ同年代のさるご婦人の場合。
普段の振る舞いが、もっとそのまま落語に映えればなあ。
だって、人が集ういいオーラを
すっごく持ちあわせておられるんですもの。

また、こちらのご年配の男性。
独特の心地良いメロディーと響きが相手を酔わせます。
あとはどう落とすか。え?落語の話ですよ。


落語を聴いてるとさ、
下げがもう、楽しみで、楽しみで、

「オチ、オチ、寝てられねえや」
今は、初級ですが、
中級、上級・・・・・・と段階を踏んでいくにつれ、
ダメ出しの内容もきっとまた変わっていきますよ。
それを楽しみにまずは「初級講座」、共に楽しみませう。

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(1986/03)
桂 米朝

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コメント
17:シナンのワザ by 愚家 楽記 on 2013/05/10 at 21:00:37

同じ師匠から噺を教わっても
本当に皆さん
表現力や感性で
その方だけしか出せない色を出されますね。
各々の感性を
導き出す
“至難の技”を
お持ちの師匠方の
【指南の技】
あればこそ!!

18: by 桂蝶六 on 2013/05/11 at 01:12:19

指南の技は、至難の技ねえ・・・・・・
ぼくらはなかなか至難までいきませんなあ。
非難されるんは馴れてまっけどな。

こういうものは、「教える」ではなくて「指南」であるべきと思っています。
「方向を指す」とか、「道筋を照らす」とか・・・・・・

けど、芸は素直が一番。
楽記さんを見てて思います。
この調子で、6月1日、よろしく。

プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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