74.指南の技 繁昌亭落語家入門講座4
ダイアリー > 繁昌亭落語家入門講座 - 2013年05月24日 (金)
「繁昌亭落語家入門講座」13期も、この日で4回目。25名の出席。
今、受講生は『兵庫船』に取り掛かっている。
登場人物も増え、所作も複雑になってきて、少し戸惑いも見えるが、
ぼくのほんのちょっとした一言にもよく反応して笑ってくださるところを見ると、
概ね皆さん方は、まあまあ楽しんでおられるのでしょうか。
ぼく自身は、サブ講師として結構楽しませてもらってます。
これが、米輔師匠のように主任となれば、いろいろ気苦労が加わるんでしょうが。

この咄は、何といっても「おなじみの喜六と清八、うまの合うた二人連れ」。
仲の悪そうな二人になっては、どうも具合が悪い。
稽古の最中、緊張が勝ち過ぎると、
つい口調がキツクなったり、顔が強張ったり……
それ、よく分かります。
「笑わそう」意識が強くなり過ぎると、
必要以上にツッコミがきつくなったり、
それも、よく分かります。
台詞が肚に落ちてないと、目が宙を泳ぎだす。
これも、よくありがちです。
「他人より上手くやろう」「褒めてもらおう」という気持ちも大事ですが、
それが裏目に出ることの方が多い。
これは、おそらく「ぼく」ですね。
いや、み~んな、ぼくですね。
それから、あえて、ぼくが申し上げることではないでしょうが、
「ここで落語の稽古をする」ということは、
「気持ちのコントロールを身につける」ということにも
繋がっているような気もします。
単に「落語が話せるようになった」というだけではつまらないわけで、
「分かりやすく話せるようになった」はもちろんのこと、
「穏やかに話せるようになった」とか、
「落語をするようになって、人間が好きになった」とか、
「部下が自分の言うことをよく聞くようになった」とか、
「話すより、むしろ聞くようになった」とか、
「気が長くなった」とか、
……ぼくのこれまでの講師経験のなかでも、このような色んな事例がありました。
ただですね。いつも思うんですよ。
ぼくのような者が、偉そうに「教えて」いていいんだろうかって。
だからね、ぼくは最近いい言葉を覚えました。
「教える」んじゃなくて、「指南」でいいじゃないかって。
「指南」は、「教える」というより、
進むべき方向を「指し示す」というニュアンスがありますよね。
だから、「指南」の心持ちで行こうと思っています。
ぼくは皆さんより落語の道を少し先に歩いている者として、
一緒に学んでいこうじゃないかって。
それに「教える」っていうことが、過剰な思い上がりになって、
どこか「上から目線」に繋がりそうで、自分でもちょっと怖い気もしますし。
ともあれ、受講生の皆さんが少しずつ「らしく」なっていく様は、
ぼくとしても非常に嬉しい限りです。
こんな指南ですが、どうかあと半年、お付き合いください。
「お願いやから、指南と居てくれ!!」
桂蝶六のホームページはこちらから
今、受講生は『兵庫船』に取り掛かっている。
登場人物も増え、所作も複雑になってきて、少し戸惑いも見えるが、
ぼくのほんのちょっとした一言にもよく反応して笑ってくださるところを見ると、
概ね皆さん方は、まあまあ楽しんでおられるのでしょうか。
ぼく自身は、サブ講師として結構楽しませてもらってます。
これが、米輔師匠のように主任となれば、いろいろ気苦労が加わるんでしょうが。

この咄は、何といっても「おなじみの喜六と清八、うまの合うた二人連れ」。
仲の悪そうな二人になっては、どうも具合が悪い。
稽古の最中、緊張が勝ち過ぎると、
つい口調がキツクなったり、顔が強張ったり……
それ、よく分かります。
「笑わそう」意識が強くなり過ぎると、
必要以上にツッコミがきつくなったり、
それも、よく分かります。
台詞が肚に落ちてないと、目が宙を泳ぎだす。
これも、よくありがちです。
「他人より上手くやろう」「褒めてもらおう」という気持ちも大事ですが、
それが裏目に出ることの方が多い。
これは、おそらく「ぼく」ですね。
いや、み~んな、ぼくですね。
それから、あえて、ぼくが申し上げることではないでしょうが、
「ここで落語の稽古をする」ということは、
「気持ちのコントロールを身につける」ということにも
繋がっているような気もします。
単に「落語が話せるようになった」というだけではつまらないわけで、
「分かりやすく話せるようになった」はもちろんのこと、
「穏やかに話せるようになった」とか、
「落語をするようになって、人間が好きになった」とか、
「部下が自分の言うことをよく聞くようになった」とか、
「話すより、むしろ聞くようになった」とか、
「気が長くなった」とか、
……ぼくのこれまでの講師経験のなかでも、このような色んな事例がありました。
ただですね。いつも思うんですよ。
ぼくのような者が、偉そうに「教えて」いていいんだろうかって。
だからね、ぼくは最近いい言葉を覚えました。
「教える」んじゃなくて、「指南」でいいじゃないかって。
「指南」は、「教える」というより、
進むべき方向を「指し示す」というニュアンスがありますよね。
だから、「指南」の心持ちで行こうと思っています。
ぼくは皆さんより落語の道を少し先に歩いている者として、
一緒に学んでいこうじゃないかって。
それに「教える」っていうことが、過剰な思い上がりになって、
どこか「上から目線」に繋がりそうで、自分でもちょっと怖い気もしますし。
ともあれ、受講生の皆さんが少しずつ「らしく」なっていく様は、
ぼくとしても非常に嬉しい限りです。
こんな指南ですが、どうかあと半年、お付き合いください。
「お願いやから、指南と居てくれ!!」
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