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78.作為・無作為 世阿弥考

もう25年以上も前の話だ。
当時、ぼくは摂津市千里丘に住んでいて、
地元のある会社の社長に、ずいぶんお世話になっていた。

毎晩のように、ご馳走してもらっていたし、
仕事もよく紹介してもらっていた。
ちょっとした余興や司会のお仕事、たまに落語。
その頃のぼくは、この社長なしには生きていけなかった。

その社長がお亡くなりになったのが、2001年。
社長のお嬢さんは、今、ミュージシャン、タレントとして
最近も、バラエティー番組などでよく見かける。

「オーラ」という話になると、
ぼくがまずイの一番に思い浮かべるのは、今でもこの社長だ。
存在感がまるで違っていた。

ある時、ぼくはその社長からこんなことを言われた。

「蝶六くん、あのな、
君は、こうして一緒に遊んでいる時には、
本当に楽しい男やなと思うんや。
けど、落語になると、実につまらん男になる。
それが俺にはどうも不思議でしゃあないんや。
この調子が、落語でも出るとええんやけどな」。


25年前のプロフィール写真
25年前のぼく
 
 
その同じ頃、兄弟子からは、こう言われた。

「あのな、君の芸はな、作為が見え過ぎやねん」。

また、別のある先輩に稽古をつけてもらった時には、こうも言われた。

「蝶六くん、これは笑わさん稽古やで」。

「東の旅」、いわゆる「叩き」の稽古だった。

ぼくが以前ブログで紹介した拙文『38.話し言葉の句読点』をご参照ください。 

そう言えば、ぼくが高校3年の頃、クイズバラエティーに出演した際、
チームリーダー役の萩本欽一さんにこっぴどく叱られたこともあった。

「あのね、無理に笑わさなくていいの。
 ちゃんと真面目にクイズに応えていればいいの」。
 

それは、ちょうどコマーシャルに入った時だった。
あざとく笑いを取ろうと、無理にボケたのが全て災いしていた。
今も、その恥ずかしい映像は、書斎の本棚の奥に眠っている。

いっちょもみざくら
高校時代、左から二番目がぼく。ちなみに後ろ向きに立つ先生は後藤保二先生。現在は東住吉高校に勤務。


「笑ってもらいたい」という欲を隠し通す。

「芸という作為」をできるだけ感じさせない。

これらは意外にムツカシイ。



『世阿弥の稽古哲学』には、こうあった。

※ 松岡正剛の千夜千冊『世阿弥の稽古哲学』 もぜひ併せてご覧ください。


世阿弥の稽古哲学世阿弥の稽古哲学
(2009/11)
西平 直

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演者ならば観客を惹き付けたい。
しかしその欲が見えてしまったら観客は反発する。

無作為でいることが、結果的には、最も作為的行為を遂行する。
しかしそれを「意識」してしまったら作為になる。

「離見の見」とは逆説の多層的な重なりである。
意識の働きから離れることである。しかし、自己陶酔ではない。
むしろ自分の姿を「見つめて」いる。

観客を引き込む意図ではない。
にもかかわらず、結果として、引き込むことになる。
観客の側から言えば、最も魅惑的である。
惹きつけられ吸い込まれてしまう。
しかし演者はその「期待」を見せてはならない。観客に隠す。
そのためには自分自身に対して隠す。つまり意識しない。
そのための仕掛けであったことになる。



世阿弥は「禅」をも究めてた。
いや、「禅」を究めていたからこその、世阿弥である。



ぼくが『愚か塾』でよく申し上げること。

「あまり、声をつくらないようにね」

「肩で喋らず、肚からね」

「オモシロく喋ろうと思わなくていいです!」

「落語に身を委ねましょうよ」

「喜六は、いつも大真面目なんです」
 
 

……この時、ぼくは、自分にも強く言い聞かせている。

芸をするって、とどのつまりは、
気持ちの置きどころ(コントロール)なんだと思います。

よくよく気をつけていないと、
「笑わそうという欲」が顔を出し過ぎ、芸はカラカラ空回り。

「欲、見せない」が、「良く、見せる」なんてね。。。。

ときには、「能」に学ぶのもいいかも知れませんよ。

慣れてくると、結構心地のいいものです。

「能で、いやす日本 ―― 世阿弥」



第24回 「フレイムハウス落語講座」
平成25年6月11日(火)19時00分~20時30分
地下鉄北浜駅下車、5番出口から徒歩5分、フレイムハウス     
2000円、予約制(20名様まで)
(お申込み)
フレイムハウス06-6226-0107(営業時間11時~17時)
桂蝶六のホームページ「桂蝶六 口は賑わいのもと」
もしくは、このブログのコメント欄にて。


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Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

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