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93.リラックスな緊張 繁昌亭落語家入門講座10

「せやなあ、
 ・・・・・・なんかひとつでええさかい、
 印象を残せたらそれでかまへん。
 こいつ可愛いやっちゃなあとか、
 一生懸命喋っとるなァとか
 ……何かあるやろ?」
 


初高座の直前、師匠はぼくにそうおっしゃいました。

でも、ぼくの頭のなかは「ただただ喋りきる」
それ以外、考えられませんでした。

蝶六、両手をひろげて

受講生の一人が、ある時、
ぼくにこんなことをおっしゃいました。

「稽古の前の日からいつも緊張するんです。
 ああ、また叱られるんじゃないかって。
 でも、私はこの緊張感を得るために
 講座に通ってるようなもんです」


仕事でもないのに、わざわざ緊張しに通うなんてと
お思いの方もなかにはおられましょうが、
「緊張」するって素晴らしい。
つくづくぼくはそう思うのです。

落語で目指すべきは「リラックスした緊張」。

例えば、サッカーのゴールキーパーなどは、
球の流れを読んでそれを止めるわけですが、
集中=緊張と同時に
身体の柔軟性、瞬発力というものが求められます。

緊張ばかりではいけないし、
風呂上がりにビールを飲んだ時のようなリラックス状態でも困る。

いわゆる「緊張と緩和の同居」。

ブログ「緊張の薦め」もご覧ください。


・・・・・・さて「繁昌亭落語家入門講座」も大詰め。
来る9月18日(水)には修了式を迎えます。

9時30分~繁昌亭・入場無料


23名の受講生を代表して6名が落語を発表します。
また当日には、六代桂文枝会長命名による芸名が、
受講者全員に授与されます。

さぞかし発表される6名はすでに緊張モードに
入っておられることでしょう。

繁昌亭講座13発表者5名


  自分に自信がある、うまくやろうと意識している人間が
  緊張しないはずがない。緊張しないやつは、
  そういったものを超越しているか、全然ダメなやつ。
  超越している奴なんていないんだから、
  結局緊張しないやつは全然ダメなやつだと思う。
                   (イチロー)


 「高校野球がどうしてあんなに人気があるか考えてみろ」
  ミーティングで私は選手に問いかけることがある。
  あたりまえの話だが、
  高校生の野球はプロに比べればはるかに稚拙だ。
  技術やパワーでは比較にならない、にもかかわらず
  広い甲子園球場を満員にし、
  あれだけ日本中を熱狂させる。
 「その理由を考えてみろ」と選手に問うてみるわけだ。
  やはり一所懸命さなのだ。
  人間が一番美しくみえるとき
  ――それはひたむきに、
  一所懸命何かに打ち込んでいるときだと私は思う。
  その姿に人々は胸を打たれる。感動を覚える。
  だからこそ、人は高校野球に魅せられるのである。
                   (野村克也)
                   

  人間に「無欲」はありえない。
  うまくなりたい、強くなりたい、豊かになりたい
  ――さまざまな欲がある。
  「意欲」がなければ、人間に進歩はありません。
  しかし、その「意欲」が結果を気にするようになってしまえば、
  かえって逆効果です。
  王貞治は「ホームランを打ちたい」と意欲に燃えていた。
  だが、「ホームランを打とう」とはしません。
  「いいスイングをしよう」
  「ジャストミートを心掛けよう」とする。
  それが集中力となり、驚異的な爆発力を生むのです。
  結果を考えず、「ホームランを打つ心構え」でスイングする。
  これが、世界の王の平常心だったのでしょう。
  そこに「無心」が生まれる。
  成功するよりも、そこにたどり着くためのプロセスが
  重要なのです。 (野村克也)




人生を勝利に導く金言人生を勝利に導く金言
(2012/04/20)
野村克也

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それにしても、発表会はいつも楽しみです。
ことに今回は「初高座」の方ばかりがずらりと並びます。

「ドキドキハラハラ」。

先に挙げたことは、
きっと落語でも体感できることでしょう。

高座に向かう。
何かひとつ、自分へのテーマがあればいい。


ご健闘を。


・・・・・・今回、落語の出番がない方も、
この先、いくらでもチャンスがあります。



せっかく「落語」と出会えたのだから、
ずっと「落語を演じる人」をやり続けて欲しいし、
どんどん「緊張」も味わってもらいたい。


いかに「緊張」と向き合うか。
ここに「落語」と向き合う意義がある。


「緊張に対処する」





蝶六のホームページはここをクリック
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プロフィール

蝶六改メ三代目桂花團治

Author:蝶六改メ三代目桂花團治
落語家・蝶六改め、三代目桂花團治です。「ホームページ「桂花團治~蝶のはなみち~」も併せてご覧ください。

http://hanadanji.net/

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